部の中心的な弓道部員だった私が異世界に転生したら長耳族でした

クラヤシキ

第五十六話 「赤眼軍勢」

私達は人々に囲まれていた。

「いやぁ、まさかこんな事になるなんてねー…」
「本当だよ。久々の再開っていうのによぉ…ったく」
「逃げた先が敵の本拠地なんて事はよくある事だ。気にするな」
「それ本当によくある事なのかい?」
「チャゼルさん。なるべく私の後ろに居て下さいね」
「分かったのだ」

私はあの後、おじ様やクレイさんと再会したが、そこからハッピーエンドと行かず、眼を赤くした人々が大量に近寄って来て囲まれてしまったって感じである。

「にしてもラルダ、この5ヶ月ですげえ急成長っぷりだな!こんなに背ぇ伸びてよ!」
「はははー。私だって伸びたくて伸びたんじゃ無いんですよ?」
「月神に何かされたんだろう?」
「『戦殺』さんは凄いねぇ。その通りだよ」
「へぇ。何されたんだ?」
「えっとね…」
「はいはい其処の三人、話は後でしようね。まずは周りの人達を片付けて剣聖と月神に合流するよ!」
「おう!承ったぜエルドラさん!俺が道を切り開いて押し通す!」

嬉々としてその人混みの中に入っていったのはクレイさんだった。戦闘大好きなのは変わりないなー。
瞬時に巻き起こるのは爆発。聞こえてくるのは爆撃音とそれに混じって聞こえてくる笑い声。赤い眼をした人達は瞬く間に、ぶっ飛ばされた。

「はっっはははははははははぁ!良いぶっ飛びっぷりだぜあんたら!100点満点だ!」
「奴に続くぞ」
「分かった!」
「二人とも、手加減してあげてね。さ、二人とも僕に乗って」
「はい」
「うん」

クレイさんの猛攻に私達も続く。爆撃、剣空、雷撃が周りの人々を蹴散らしていく。しかし暫くして『戦殺』が気付いた。

「おい」
「どうした師匠?」
「此処まで色々と攻撃をして散らして来たが、今までで絶命した奴を見た事が有ったか?」
「……いや、ねえ」
「お前の爆撃や、龍帝や『救世』の雷撃、俺の剣撃は奴らに必殺のダメージを与えている筈だが…それでも立ち上がり俺たちに襲いかかってくる。龍帝、此処まで言ってなにかわかる事が有るはずだが?」
「あぁ…いくら蹴散らしても無駄だね。減らない、死なないんじゃ埒があかない」
「どうやら、こうして操っている奴が居るらしいな。其奴を抹殺出来れば恐らく収まるが…因果応報はサテラに封じられているから使えない、どうしたものか…」
「そんなもの!力づくで押し通せば良いじゃねぇか!」

そうだ。確かに力づくで押し通せば良い。だけど、私にはそれが出来ない。だって私の力は_____。

「ラルダ!お前もチマチマしてねえでフルスロットルで行け!今の火力じゃ全然足りねえ!月神の所で修行したんだろ!?」
「そうだけど…!出来ないよ…!」
「何でだ!やんねえと火力負けしちまう!こいつら、段々と耐性が付いて来て…おわぁっ!?」

クレイさんが引っ張られ、人にもみくちゃにされる。たちまちクレイさんは見えなくなった。覆い尽くされたのだ。

「爆撃によるダメージはほぼ0になったか。剣撃はまだ少し通じるようだが…いつまで保つか分からんな」
「僕の雷撃ももう殆ど効果が無いみたいだね。いやはや参った。これじゃ僕たちは足手まといだね。ラルダはそろそろ本気でやるべきだ。僕にも君の成長を見せてくれないだろうか?」
「でも…この人達を殺したら、この街は…」
「滅びるさ。僕等の戦力も大きく削り落とされる。だけど今はそれどころじゃない。まずは、この街に現れたっていう旧英雄を撃退、討伐しなきゃいけないんだ。だからまず、此処を突破しなきゃいけない」
「分かってるけど」
「時間がない。『戦殺』の剣撃も通用しなくなって来ている。急いでくれ!早くしないと僕らも!」
「………っくぅぅ!」

私は黒い箱の様な物を取り出し、魔力を込める。箱は形状をどんどん変えていき、最終的に、大きな弓へと変貌した。月帝弓シエラガレスト。無限の殲滅を行える弓。

「ぶはっ!ってなんだあの弓!?」
「ほう?あれが月神より賜りし神器か」
「まるで星空の様な…綺麗な弓ですね」
「あれが…神器!」

周囲は私の弓に気をとられている。私はそれを尻目に、更に魔力を込める。矢の装填数は99999本。射出は同時射出。一本の束として、一気に射出する。

「あぁぁぁぁぁぁああ!『殲滅する破星の轟矢レブダントエンドレーザ』ぁぁぁぁぁぁ!」

射出。蒼白い閃光が辺りを覆い尽くし、私達の正面方向の人達を総て跡形も無く消滅させた。それを見ていた人々は動きを止めた。ピタリと。何か危険を察知したかの様に。

「皆、今の内だ!一気に突っ切るぞ!」
「「「「はい!」」」」

私達はその隙にその群れから抜け出す事に成功した。その後に剣聖と月神に再会し、近くの路地裏に身を潜めて、話し合いをする事になった。

_____________

八十九級と五十四級は海の方角を見ていた。二人は冷や汗に似た者を垂らしていた。

「…今の見た?」
「あぁ…この時代に終末定理を扱う者が居ようとはな」
「貴方が用意した宿主達もやられたかもね」
「ふん。所詮奴らは捨て駒よ。だが、想定外だ。明らかに速すぎる。打開するまでの速さが…」
「これはあの降臨者を潰すしかないようね。生かしておくと危険だもの」
「あぁ…」

二人は、意を決した様に海の方へと歩き出した。

「部の中心的な弓道部員だった私が異世界に転生したら長耳族でした」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く