部の中心的な弓道部員だった私が異世界に転生したら長耳族でした

クラヤシキ

第三十九話 「霹靂の獲得」

 約2ヶ月の月日が過ぎた。未だに「霹靂レブダント」を会得出来ていないけど、それなりにできるようになったものがある。例えば、
「今日も有難うございました」「はい。今日もまた一段と「障壁」が破れにくくなってますね…これでは破れなくなる日も近くないです」「えへへ…最近魔力の同調のコツを掴んだので結構強固な壁が作れるんですよ」
 結構強固な壁を建てれるようになった。なんだそんな事かと思うだろうが、これは中々大きくて、クレスと剣聖の攻撃を約200ぐらい防ぐ事が出来るぐらいである。私は範囲の大きな壁を作ると脆くなるので、腕ぐらいで収まるサイズの物で毎回守護している。しかし、そのサイズだと必然的に動かなきゃいけないから体力を消費する。なので自然と体力が付いていくので、日々長時間動く事が出来る。
「魔力の同調ですか?何と同調してるんです?」「「律動ローカリング」です。これを使えば障壁が一定のリズムで精製出来て瞬間的に強固になるので、あれだけ守れる訳です」「へぇ。結構上手く扱えてるんですね」
 上手く扱えてるって言う辺り、やはりあの五つの魔力にはやはり扱い方があるんだな。少なくとも『律動』は万能だ。自分が指定しなくても一定リズムで魔術展開出来るから便利。『治癒』と合わせれば傷を負っても直ぐに回復出来る。『先導』は未だに使い方は分からないけど、恐らく…んー。『命令』の全体版と考えた方が良いかな。
「それにしても「霹靂」はまだ習得出来ていないんですか?」「あぁ。そうなんですよね…。よく原理が分かってなくて…」
 そう。原理が分かってない。霹靂という言葉はもう何というか分かっているんだけど…。その突然というのが起こらない。今パリパリって電気が走れば良いんだけど。
「まぁ、まだ時間はあります。気長にやりましょう」「そうですね。頑張りますか」
 まだ私は時間が掛かりそうだ。そう思っていた時、後ろから声がした。
「少しだけ、魔力を切ってみたらどうだ?」「え?」「クレス、それはどう言う事ですか?」「単純な話だ。霹靂という物は何も無い所で突然何かが起こる事を指す。つまり、魔力もなくしてしまえば何かが起こるかも知れないだろう?」
 私はその提案に賛成し、魔力を切る。すると、耳元にパチパチという音が聞こえてきた。
「あれ?静電気?」「ふむ、少し手を振ってみろ」「うん…ってわぁっ!?」
 凄い稲妻が垣間見えた。何故私の手が焼けないのか全くわからないけど恐らく自分の魔力には耐性があるのだろう。しかし、これが何なのだろうという顔をしているとさらにクレスが続けて言ってきた。
「うーんそうだな…もっと分かりやすいの…この槍とかどうだ?」「え?これをどうするんですか?」「投げる」「投げる、と…?」
 もはや意図が見えない。どういう事なんだ…。取り敢えず、庭が荒れない程度に弱めに投げた。すると、槍は私が投げた方向に思いっきり紫電を纏いながら飛んでいき、壁に刺さった。え?弱く投げたよね?
「習得済み、と」「え?いや、ちょっ…。全く分かんないんだけど」「魔力を切った状態なのに何故紫電が発生した?何故稲妻が発生した?何もないこの空間でそんなもの起こる筈が無いだろう?」「それじゃあつまり…私はとっくに?」「「霹靂」を習得していた、という事になるな」
 衝撃。まさか、魔力を切らないと発動しない魔力なんて…。いやはやそういうのもあるんだねぇ。
「そういえばそれは魔力と言えるんですか?」「なんだレイシュ。分からないのか?」「え?」「「霹靂」は魔力ではなく宿その物だ。」
 どういう事だ。私達が頭上に?の字を浮かべていると、クレスが付け足してくれた。
「まあ要するに、魔力を切っても使える奥義的な何かだ。それを月神は終末定理術と言っている。まともに扱う奴もいないし、使い過ぎれば世界が終わるからこの名なんだと」「「殲滅」もそんな事言ってたな…。「霹靂」もそんな物なの?」「あぁ。「殲滅雷霹弾レブダントエンドレーザ」っていう「霹靂」の終局魔術は国一つ滅ぼしかねない凶悪な物になってるし」
 そう聞いて、私は本当にそんな所まで来たんだな、と思い、そんな危険な物を扱わなければならないという恐怖と、やっと戦力として加担できる嬉しさがあった。そんなよく分からない感情を抑えていると、剣聖がこう切り出した。
「クレス、私はずっと前から気になっていたんですが」「何だ?」「月神様と長い知り合いであり、魔術にもかなり詳しい。それに加えて、私に並ぶほどの剣鬼と来ました。貴方は一体何者なんですか?」
 そう言ってクレスに歩み寄って行く。なんかいけない雰囲気だ。なんて思って見ていると、クレスは顔を歪めて、
「俺か?俺は…そうだな…えー…もういいか」
 なんだか様子がおかしい。そしてクレスはこう告げた。
「俺が今の月神だよ。クレスは奴の名前だな。あの廃れた魔術王はもうその座を降りた。どの道、俺の方が上位だったわけだしな」
 なんという衝撃の事実。剣聖も驚きを隠せないようだ。そりゃそうだろう、今まで月神と慕っていた人物が月神ではなく、親しくしていた友人のような存在が月神だったのだから。

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