剣の大陸

真樹真

1.とある傭兵団の一日.1

 ここゲオルグ大陸では、女神アストリアを信仰する南の大国マグス、女神ユスティーツァを信仰する北の大国軍事帝国グーラが大陸の大部分を占めていた。別の信仰を捧げるこの二つの大国はいがみ合いながらも長年にわたり均衡を保って来た。しかし近年、グーラの作物の収穫量が年々落ちていき。元々資源の乏しいグーラは、この均衡を破りマグスに侵攻を仕掛けようとしていた。
 そんな大戦の中心人物は南西の集落に居を構える傭兵団に今はまだ、静かに暮らしていた。




1.傭兵団の一日

「ほーら起きてよ!お兄ちゃん!」
「んー」
「またお父さんに怒られるよ!」
「ハァ、んあ、あーおはよう、カスミ」
「早く支度して、朝ごはん出来てるよ」
 団長の一人娘・・・であるカスミに起こされたツバサはいつものように傭兵団のみんなの待つ食卓へ向かう。
「よぉ!相変わらず寝坊助だなツバサは。またカスミに起こしてもらったのか」
「あはは、返す言葉もないや、いつも元気だねレックスは」
「おうとも!俺はお前と違ってもう一人前だしな!」
「ついこの前前線に参加させてもらえるようになったやつが何言ってる」
「うげっ!?にいちゃん」
「おはよう、オートル」
「あぁ、おはようツバサ、悪いな俺の弟がうるさくて」
「いやいや元気いっぱいなのはいいことじゃないか」
「おめー絶対バカにしてんだろ!?」
「おやおや朝から賑やかだな、お前たち。いいことだ」
「おはようございます。団長」
「おはようございます!団長!」
「おはようございます。団長さん」
「おはようみんな、全員揃ったか?」
「まだ副団長が寝ています」
「またか、困ったもんだよあいつは、起こしてもなかなか起きやしない」
「カナさんたら私が起こしにいっても全然起きてくれないの」
「また起こしにいってくれ、カスミ...とと起きて来た」
「ふあぁあ、おはよー」
「おせーぞ副団長!みんなもう飯食ってるぞ!」
「やかましいなーえーと...アックスは」
「レックスだよ!未だに俺のことちゃんと覚えてないのかよ!」
「ガルドとブルングは依頼の護衛任務中で、セルビアは修行に出してるから、とりあえずこれで全員揃ったな。みんなに話があるんだ」
「ツバサ、お前もそろそろ戦場に出てみないか?」
 2mはあるであろう大男、ムサシを団長としたムサシ傭兵団は
副団長にツバサと同年代であろう少女カナ
団長の娘カスミ
レックスとオートル兄弟
熟練の戦士のガルドとブルングコンビ
参謀セルビア
の構成員8人の小さな傭兵団である。
 そして、訳あってこの傭兵団に身を置く少年ツバサ
ゲオルグ歴1317年4月12日
この少年の運命が、幕を開ける。





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