日向ちゃんは甘えたい!

神崎律

16︰ドウシテ



〈兵藤陸〉
学校が終わり、勉強を開始してから2時間、時間は6時を回っていた。


絵里「もう…ムリです…」
そう言って絵里はテーブルに倒れこんだ。

美希「その…なんて言うか、大丈夫だから!もう少しだよ!」


いや、フォローにはなってないぞ?それ


絵里「うん…がんばる」


あ、そんなんでいいのか、チョロいなおい

絵里「でもちょっとトイレ行ってくる。」

そう言って彼女は席を外した。


そして園田さんと俺は2人きりになってしまった。


どうしよう・・・気まずい。ほぼ初対面だし・・・

多分向こうも同じ事を考えているらしく、こちらをチラチラ見たり、空っぽのコップに手をつけたりを繰り返している。

美希「えーっと、兵藤君と絵里って付き合ってるんだね?」

陸「ん?あぁ、そうだけど」
そう言った途端、一瞬暗い表情をしたが、それはすぐに消えた。

美希「どれくらい?」

陸「1ヶ月ちょっとかな?」

美希「そうなんだ。幼馴染なのは知ってたけど、そこまでの関係とは思わなかったなー」


陸「実際彼氏らしいこととかできてないんだよな・・・」

美希「?そーなの??」
と、彼女は不思議そうに尋ねる。


陸「正直俺としては絵里が幼馴染としてでも彼女としてでもあんまり異性として感じられないんだよ。」


美希「んー、幼馴染としてはわかるけど、彼女としても?」

陸「うん、付き合ってからカップルらしいこととかもしてないし、絵里が彼女って実感がイマイチないんだよ。」


美希「デートとかはしないの?」


陸「それらしきことはしたけど・・・」

美希「彼女って感じはしなかったと?」

陸「うん、まぁ、」

美希「でも好きか嫌いかだったら好きでしょ?」

陸「それはもちろん好きだよ。でもそれが異性としてなのか、それとも幼馴染としてなのか、微妙にわからないんだ。」

美希「ならさ、私とデートしてみない?」


陸「はい?」


美希「いや、だからデートだよ。そしたらちょっとはヒントになるんじゃないかな?」


陸「そういうもんなのか?」


美希「それはわかんないけど・・・兵藤君にとって変化にはなると思うよ。」

陸「なら、頼んでもいいか?」
そう言うと彼女は少し楽しそうに頷いた。

そうして俺達はテスト明けにデート(練習)をすることになった。




〈兵藤陸〉
その日の夜、園田からLINEが来た。

園田「まだ起きてる?」

陸「あぁ、起きてるよ」

園田「兵藤君はさ、絵里のどこが好きなの?」

そのメッセージを見た瞬間、俺は頭の中が真っ白になって。

どこが好きなんだろう。
どう思っているんだろう。

陸「すまない。わからない。」


園田「そっか、じゃあデートまでの宿題にしておくから。デートの日に答えを聞かせて?」

そうして俺達のやりとりは終わった。

その後しばらくベッドの上で天井をながめながら答えを探しているうちにいつのまにか俺は寝ていた。






(1週間後)

〈兵藤陸〉
テストも無事に終わり、今日は結果が帰ってきた。

絵里「見てみて!すごいよ!赤点取らなかった!」

そう言って彼女はテストをこちらに渡してきた。


国語94点
数学100点
世界史100点
英語100点
物理96点

合計490点

・・・すごくない?!とても前回まで赤点ギリギリのやつとは思えない!


そして無言で自分の結果を眺めた。


国語95点
数学86
世界史98
英語89点
物理96点
合計464点    


・・・マジか…。

よし、次は頑張ろう!

絵里「りっくん!今日どっかよって行かない?」

陸「悪い、今日は用事あるから、先帰っててくれ。」

そう、今日は園田との用事があるのだ。

絵里「そっか…気をつけてね?変な人について行っちゃダメだよ?」

陸「親か」




〈放課後〉

校門を出ると園田が待っていた。


園田「遅い…同じクラスなのに…」
彼女は少し不機嫌そうにこちらを見ていた。


陸「悪いわるい、それで今からどこに行くんだ?」

園田「それは秘密。さ、行こ?」

そう言って彼女は俺の手を握り、目的地へと向かった。

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