神様から見た転生者

アイリ

第一話 新たなる天使の誕生

ー天界ー

    今日は、百年に一度の大創造神による新たな神様の誕生を祝う日だった。その名も、「誕神祭たんじんさい」。この祭りで生まれた新たな神様は、神様の卵…所謂、『天使』として天界で過ごしてから神様となり下界を見守ることになる。
    それは、下界でも認知されるほどの大規模な行事であった。
    今日は天界下界すべての世界で誕神祭が開かれていた。全ては、新たに生まれる神を祝って、盛大な催し物が行われていた。


    誕神祭は2日間行われる。1日目に大創造神による神様の誕生の儀式がされ、名付けをされることになっている。誕生してすぐに名付けを行うのは、存在を固定されるためだ。以前、その日の内に名付けをされなかった天使が、内に秘める能力が低すぎて消滅したことがあった。その時から名付けは誕生してすぐに行われることになったのだ。
    そして2日目に新たな神様の師となる神が選ばれる。天使はその神の下につき、様々な事を学んで知識を広げていくのだ。そしてより賢明な神へと成長していく。その役目は毎回、大創造神によって任命されてきた。その役目はとても名誉であり、今回誕生する天使の師となるものは誰かと全ての神が心のどこかで考えていた。

ーそんな者達がいるなかで、新たな神様の誕生の儀式は静かに行われていった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ー会場は、眩い光に包まれた。

「………おおっ!」

その場にいた多くの神はどよめき、そして喜びに満ち溢れた。
大創造神による新たな神様誕生の儀式は無事に成功した。その場に顕現されたのは、幼い容姿の少女だった。金に輝くロングヘアに、サファイアのような大きく輝く瞳。
その姿はまさしく、‘‘天使’’だった。

    新たに生まれた神の卵は、名付けがされると存在が固定され、思考能力が大幅に上昇する。そして、新たに誕生した天使は『ミラ』と名付けられた。彼女はどのような神になられるのかと、全ての生き物が彼女の誕生を喜んだ。

    会場にいた神たちは儀式の成功に安堵や喜びの念を抱いていたが、唯一無二の神である大創造神にはただ驚きだけがあった。それは、ミラの潜在能力の高さにあった。知力、身体能力、思考力の全てが飛び抜けていた。

ーこれは、新たなる創造神が生まれるやもしれぬ。

まだミラが目指す神が決まった訳では無いが、大創造神の中には確信めいた何かがあった。


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