After-eve

本宮 秋

ferment 第7章

浮ついたうえ情けない自分。
そんな自分に声を掛けてくれるアキさん、ユウさん、カオリさん。
それ以外にも会社の人達や普段お世話になってる方々にまで、声を掛けて貰い気遣って貰った。改めてこの街の皆さんに支えられ、見守って貰っている事を実感した。


釣りを教えてくれた三代目の所に、仕事で行った。


「マコちゃん、やらかしたみたいだね。大丈夫だった?」と言われ、返す言葉も無くうなだれてしまった。
「ありゃ、かなり凹んでるねー。でも何とかなったんだろ?じゃ良いじゃん!」


「でも…色々、迷惑掛けちゃったし…」
ブツブツと小さな声で自分が言った。


「迷惑掛けるのは、お互い様!俺らだってわがまま言ったり迷惑掛けてるよ。
でもさー 互いに信頼があるから成り立ってんだよ。」
汗を拭いながら三代目が笑顔で続ける。
「ちょっと言うのはハズいけど。俺も含めみんなさ〜今までマコちゃんが一生懸命だった事、知ってるから気にするんだよ。もうとっくにマコちゃんは、みんなから認められて信頼されているんだよ。」


また、泣きそうになった。


「うわっ!やっぱりハズい!こんな事言わせんなって。反省する事も大事だけど、素直に受け入れる事も大事!遠慮すると付き合い難くなるぞ!田舎では、」
軽くお尻に蹴りを入れながら三代目が言ってくれた。


「三代目まで気を遣わせてしまって…すいま…せ」すいませんと自分が言う前に、


「だ〜か〜ら〜 それが余計だって!俺は何も関係ないし。お互いがんばろうや〜 コツコツやるしかないだろ!」
三代目が腕を組み、胸を張って言った。


三代目は自分と歳があまり変わらないのに、とても堂々としていて…自分と比べると如何に自分が『甘ちゃん』だった事を思い知った。


家に帰っても何もする気力も無かった。
アレからユウさん、アキさん、カオリさんは静かで、気を遣ってくれてるのかなっと
思った。そんな中、マイちゃんが連絡をくれた。あまり気がのらなかったが…。
流石、農協に勤めているだけあって農家さんの情報は知っていた。
大分、歳下の女の子にも気遣って貰い微妙な気持ちだった。
マイちゃんが今度の日曜日の予定を聞いてきた。仕事も溜まってるし、自分のミスで余計やる事が増えたので会社行くよって言った。
それでもマイちゃんは、少し息抜きしてリフレッシュした方が良いのでは?と言ってくる。どうやら一緒に行きたい所が、あるらしい。渋ってはみたが、少しだけという事でオッケーした。珍しくマイちゃんが強引だったので、押しきられた感じ。


日曜日。マイちゃんとの約束は昼なので、午前中は会社に行き一人で仕事をした。静かな会社で、たった一人。黙々と仕事をした。自分への戒めの様に。


昼になり家に戻る。待ち合わせは、自分の住んでいるアパートの前。何処でも迎えに行くのに、何故アパートの前なんだろうと思った。あまり深くは考えず、ただマイちゃんをボーっと待っていた。


「お待たせしました。すいません。早速行きましょ。」マイちゃんが明るい笑顔で言った。
「何処? 車、使わないの?」
戸惑いながら訊く。
「あっち!」と指を指すだけのマイちゃん。
ただマイちゃんに付いて行くだけだった。
中心部、ユウさんの店近く。
何やら賑やかな感じがする。
飲食店が並ぶ建物の間にある公営の駐車場で何かやっていた。
「何、やってるの?」思わずマイちゃんに訊いた。
「ビアガーデン!」マイちゃんがそう言いながら自分の背中を押し、中へ入れる。簡単なテーブルと簡単な椅子が置かれた、手作り的な会場。炭火が焚かれ肉を焼いて煙がモクモクする中、ご機嫌な人達がビール片手に楽しんでいた。


「あっ、来たな!お二人さん。ヒューヒューだぞ〜」カオリさんがいきなり冷やかす。


「さっ、座った、座った!」
ユウさんが急かす。


「ちょうど良い時来たね〜ピザ焼きたてだよ!」
アキさんが大きなピザを運びながら…


大ジョッキがテーブルの上に並べられ
「じゃ、早速!乾杯するか?」
「ん〜ビアガーデンに乾杯かな?」
ユウさんがそう言いながらジョッキを持ち上げた時、カオリさんが言った。


「マコちゃん、やらかして半ベソかいた記念に…かんぱ〜い!」


「乾杯〜!」「かんぱーい!」「カンパ〜イ!」皆が、ジョッキを打ち鳴らした。
ガクッとなった自分だか、三代目の言葉『素直に受け入れる。遠慮すると付き合い難くなる。』を思い出し、
「皆さんにも迷惑掛けてすいませんでした!乾杯〜!」と周りにも聞こえる位の声で言った。


「別にウチらは、迷惑かかって無いし。」
ユウさんが何食わぬ顔で言う。
「だね〜私達に迷惑掛けてたら、とっくにこの街から叩き出してるよ〜」
相変わらず言葉がキツいカオリさん。


「でも、色々気を遣って貰ったし。自分の事考えて、そっとしてくれてたし…」
目を見て話せない自分。


「気を使ってやりたかったけど、こっちも忙しくて、このビアガーデンの仕切り任されてたから。」


えっ?ユウさん、そうだったの?最近静かだったのは、そっとしてくれてたんじゃ?


「マコちゃ〜ん?自意識過剰じゃない?人の事、構ってる暇ないよ!みんな!特にマコの事なんて、めんどくさそうだし(笑)」
カオリさん、面倒って!キツすぎる。


「あーあのパンどうだった?朝、持って行ったやつ。新作パンを考えていてさー、徹夜しちゃったよ。」
ア、アキさん?ワザワザ朝焼いてくれたんじゃ?


「マコちゃん!急いで取り戻そうとしても駄目よ!ゆっくりやりなよ仕事!」
ユウさんがビールのジョッキを更にテーブルに並べながら。


「今日はさ〜お祭りみたいな日だからさ。お祭り好きでしょ?今日は、仕事忘れてパ〜っと」両手に大ジョッキを二つ持つ、カオリさん。二つ持ってどうするの?飲んじゃうんですか?カオリさん。


「良かったね。マコちゃん。みんな、ちゃんと見てたから信頼できるんだよマコちゃんの事。」アキさんが肩をポンとしてくれながら言ってくれた。
本当は自分の事、気にしてくれて気遣ってくれて心配してくれてたのは分かってます。
感謝です。この人達に出逢えて。


「で、マコっ!どんくらい、会社に負債出したんだ〜?」
カオリさん、ピッチ早くないすか?べろべろじゃないすか!
で!聞きます?そういうデリケートな事!



第7章       終

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