After-eve

本宮 秋

ferment 第4章



夏の温泉に入って来た後、早速ユウさんの店[ピッグペン]にアキさんと共に行った。


まだ開店には大分早く、ユウさんは仕込みの真っ最中。忙しい時にお邪魔したので、


「何なのよ!こんな時間に、忙しいのよ!こっちは…」せわしなく動きながらユウさんが、少しイラついた感じで言った。


「いや〜ね、天気良くなったらキャンプでもしたいね〜って、マコちゃんと話しててさ〜。」と、アキさんが切り出す。


と!急にユウさんの手が止まる。


ユウさんの表情が、一変した。
「おいおいおい、早くそれを言えよー。
何?何?いつやる?キャンプ?」


ユウさん!見事です!その変貌ぶり!
無類のキャンプ好きでしたか〜。


「晴れたらだけど…」アキさんの言葉途中で、ユウさんが
「あっ大丈夫。もう天気良くなるみたい」


ユウさん!天気予報では、まだ少し天気の悪い日は続くって言ってましたけど?
この人、多少天気悪くてもやりそうですよ!アキさん!


「へーそうなの? ユウちゃん、やろうと思ったらすぐ出来るの?」
アキさん!だからまだ天気は良くならないって!天気予報見てくださいよ!2人共!


「山?海?湖?何処にする?」
もう、仕込みすら辞めてしまったユウさん。
「マコちゃんの行きたいとこでいいんじゃない?」アキさんが自分にふった。


天気の悪い中。山?ヤバイだろ〜三代目の処みたいになりそう。海?ヤバイだろ〜大荒れで寒そ〜!湖?ヤバイだろ〜何がヤバイのかはわからないが…。
思わず、
「天気が完全に良くなったらですよね?」


「マコちゃん。キャンプに天気は関係ないんだよ。天気が良くても悪くてもそれを楽しむ!それがアウトドアさっ!」
ユウさんが、とうとう言い切ってしまった。
やっぱりこの人は、始めから天気なんてどうでも良かったんですね。


アキさ〜ん 、あなたなら常識人だから…


「天気悪い方が、ある意味思い出になるしね。」
ぶーー!アキさん!何言ってるんですか!


ん〜、この人達の年代は、無茶をする年代なのか?ワイルド?バブル?  もう、わかりません。


「山と湖なら、釣りできるぞ。マコちゃん」ユウさんが悪魔の一言。
不覚にも釣りという言葉に揺らいでしまった。


「まあ、場所はユウちゃん大体、知ってるんでしょ?だからとりあえず日にちとメンバーだね。それによって変わってくるし」
アキさんもドンドン話を進める。


「カオリ、風邪だって?めずらしー。メンバーはどうでも良いけど多い方がオモロイし、楽だぞ。」


そんな感じで、第1回作戦会議は終了した。


家に帰り、天気予報を見る。
やっぱりまだ天気は回復しませんけど?


悪くてもやっちゃうんですよね?
思い出に残るんですよね?


寝よ…。


次の日。
朝から快晴!昨日までの天気が嘘の様に。


えっ!天気予報…どうなってるの?
近頃の天気予報は、かなり信頼度あるはずなのに。ユウさんのキャンプやりたい思い(念)が、晴れにしたのか?


まぁ久々の晴れ。スッキリした感じには、なったが…暑い!朝から暑い!
最近の天候からすっかり忘れていたが、夏だった事を思い知らされる。
会社に行っても「暑いね〜」の言葉が飛び交う。
そんな暑い中、最近の雨続きの被害状況とお見舞い がてらあちこち飛び回る。


おかげで汗だくのふらふら。


人間は贅沢な生き物だ。
天気が悪いと愚痴をこぼし、天気が良いとアツイアツイと愚痴をこぼす。


夕方になっても暑さが街に篭っていた。


こんな日は、やっぱり冷たいアレでしょ!
真っ直ぐユウさんの店に行き、
「とりあえずキンキンに冷えたのお願いします。」おしぼりで顔やら首やら拭きながら。
「なっ!だから言ったろ!天気すぐ良くなるって!」ユウさんが泡を綺麗に入れながら。
「ユウさんのキャンプやりたい執念じゃないすか?」泡のアレが 待ちきれない自分。


「ほれ、飲め。ぐ〜っと。あ、キャンプ女の子2人誘ったから…農協で働いてる臨時職員。知ってる?」


ユウさんの話は、ほぼほぼ聞かずグビグビと冷たいアレを喉に流し込む事に無中。
「生き返るな〜! えと、何でしたっけ?
農協の女の子?知らないっす。農協さんとは、ウチの会社直接交流ないので。」
冷たいアレのおかげで冷静になった自分。


「折角だからさ、色々居た方が面白いし。
どう、いいでしょ?」キラキラした目でユウさんが言った。


女の子2人と言う事で、全く断る理由も無く、
「いいっすけど、何処にするんすか?やっぱ折角だから釣りの出来る山か湖かな?」


…ドアが開く。


開口イチバン


「う〜み〜!海、行きたい!」
カオリさん久々の登場。
「キャンプと言ったら海でしょ!山は、虫いるし。湖は…何か、えーと…つまんなそうだし」
風邪をひいていた筈なのに元気でいつものカオリさんが言った。


というか、自分の要望が全否定ですカオリさん。


「風邪治ったんか?カオリ。どうせ腹でも出して寝てたんだろ。」ユウさん。


アキさんと同じ事を言ったユウさんの言葉に、思わずツボにハマり肩を揺らして笑ってしまった。


バシッ!
背中をカオリさんに平手打ちされ
「笑い過ぎ!腹は出してません!かよわいだけです!」


その一言が、自分とユウさんに更に笑いを誘った。


「アキさんと温泉行ったんだって?私を誘わずに…。」
カオリさんは前にアキさんにやられた、こめかみグリグリを自分にやりながら言った。


「う、痛いっす!カオリさん!でも風邪ひいてたから、しょうがないでしょ!
心配してたんですよ。自分もアキさんも。」


「アキさん心配してた?心配かけちゃったか〜アキさんに。」
グリグリを止めてくれたカオリさん。


「自分も心配したんですよ!自分も。」
一応、念をおして言っておく。


「キャンプいつ行くの?何処の海、行こうかね〜?」
わざとなのか、見事にキャンプの話に戻すカオリさん。


というか、カオリさん登場でキャンプは海に…ほぼ決まりですかね…。



第4章       終

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