After-eve
kneading 第7章
いわゆる
[信金さん、イキナリ羽目外しちゃったよ!]
事件から、数日。
のどかでいつもの日々が過ぎていた。
仕事の顧客である、山奥の農家さんへ向かった。広く真っ平らなジャガイモ畑を見て、季節が確実に進んでいる事を実感する。
ここの農家さんは三代続いている。三代目は自分より1つか2つ年齢が上の、いわゆる若手。今だに二代目のご主人もバリバリ畑仕事をこなし、とても元気。
農家は定年が無い。70歳80歳代でも、やっている方もいる。
三代目は35ぐらい。若手と言わざるを得ない。
歳が近い事も有り、話しも合い、良い付き合いをさせて貰ってる。若かりし頃はヤンチャしてたらしいが、今では真面目で3人の子供の良きパパ。
いきなり、トラクター等が置いてある大きすぎる倉庫?の前に呼ばれ大きな鍋に入った牛乳を指差し。
「飲む? 近くの酪農やってる人から貰った牛乳。絞りたて!」三代目。
「頂きますよ、遠慮なく。」いつも色んな物をご馳走してくれる。
「マコちゃんさー、釣りとかしないの?」
「釣り…は 、しないと言うか…した事ないっす。」
「やってみない?道具はあるからさー」
三代目が、牛乳を鍋からすくうオタマを釣竿に見立て振りながら言った。
「釣りって、川っすか?海っすか?」
「川。渓流釣り。俺は、海釣りもやるけどね。近くの川、結構デカイのいるんだよ、虹鱒。」三代目が両手で50センチ程のサイズをとる。
折角この大自然の中にいて釣りのひとつも、やらないなんて勿体無いと思い、
「やってみたいけど、出来ますかね?」
「出来るよ。初めてなら餌釣りよりルアーの方がいいかな?餌とか触れないだろ?」
餌って。やっぱりミミズとか…かな?
「ルアーで。お願いします!」即答、ヘタレ マコちゃん。
と言う事で近々やらせて貰う事になった。勿論今日伺ったのは、仕事の用事なのでキチンと仕事の話も三代目と済ませ、釣りの予定も決め帰る事に。
無趣味な自分が釣りをする事自体、今迄考えられなかったが、この自然豊かな地がアクティブにさせるのか…。
色んな楽しみ方をしているこの地の人達に憧れているのか…。
何にせよ、ワクワクと不安が駆け巡ってていた。
早速、休みの前の日に三代目の家へ伺った。朝早くに釣りをするので前日の夜、仕事終わり後に行き泊まらせて貰う。
申し訳無い感じはしたが、この街では遠慮する事が逆に失礼。お言葉に甘える。
「今日は、少し暑い位だから外で肉でも焼いて食おう!」三代目が大きなバーベキューセットを出しながら。
3人の子供も明るく迎えてくれ、何よりバーベキューをする事に興奮気味。
まだ日が完全に沈んでおらず夕陽が少し残った空の下、大家族プラス自分での賑やかで豪勢なバーベキュー祭が始まった。採れたて野菜や奥さんの手料理。外でワイワイやりながらの食事。
マズイ訳ない!
元気な子供達に負けない位、ご馳走になった。
久々に他人の家にお泊りでドキドキしながらも、朝早く起きないといけないので
早めに寝る事に。起きれるか不安だったが要らぬ心配だった。
早速準備をして軽トラックに乗って、道では無い所をガンガン進む。近くの川って言っていたが、何せ畑がデカイ。畑を横切るだけでも結構な距離。
要は、私有地の中を軽トラで移動。
スケールが違います。
大きな木が生い茂る澄んだ川。簡単なレクチャーを受け、早速やってみる。
初めは木に引っ掛けたり、川の中の石に引っ掛けたりと苦戦したが少しずつ要領を得ていった。三代目は少し離れた所で、既に何匹か釣っていた。
やっぱり難しいのか?ビギナーズラックは釣りには無いのか?
竿に、ドクドクっと感触。
思わず竿を少し持ち上げた瞬間、水面に魚が跳ねたっ!
焦りながらもリールを巻く。三代目も気付いてくれたみたいで
「焦らないで、ゆっくり巻け〜!」
と、アドバイス。
綺麗な模様に朱色のライン。虹鱒。
レインボートラウトと呼ばれる魚だけにまさに虹色。釣れた喜びと魚の美しさに感動。
「まあまあいいサイズだね。」そう言って三代目が携帯で写真を撮ってくれた。
40センチは、なかったが大きさは自分にとってどうでも良かった。
その後も何匹か釣る事ができ、大満足で三代目にお礼を言い家に帰った。
家に着くなり朝早かったのと慣れない川歩き、釣りに集中し過ぎたせいか爆睡してしまった。夕方やっと起き、ちょっと自慢したくなりアキさんの店に向かった。
アキさんの店[アフター イブ]に入ると珍しくユウさんも居た。パンがとっくに売り切れた後の店でアキさんがレザークラフトをしながらユウさんと談笑していた。
「釣りに行って虹鱒釣りましたよ〜」
「釣り⁈釣り行ってたのマコちゃん?」
ユウさんが少し驚いた感じで訊き返す。
「これからはアングラーマコとお呼び下さい。」(信金さん)並みの軽さの自分。
「いや、釣りしたかったなら早く言えばねー」ユウさんが少し呆れながら言った。
「ユウさんも釣りやるんですか?」
慌てて訊く自分。
「大体やるよ!みんな。アキもやるし。」
ユウさん。
「そこの裏手の川も結構釣れるしね」
アキさん。
「そうなんすか? 早く言ってくれたら
一緒に行けたじゃないすか〜」
悔しがる自分。
「あっ、そう?でもアングラーマコさんとご一緒は、恐れ多くて(笑)」
ユウさんが笑いを堪えきれずに言った。
「ボンクラ〜マコ!ってな〜に?」
急に入ってきたカオリさんがブッ込んだ。
何か、ガクッと膝から砕けそうになった。
そんな中、アキさんは器用に革を手縫いで縫っていた。
笑いをこらえながら…。
第7章     終
[信金さん、イキナリ羽目外しちゃったよ!]
事件から、数日。
のどかでいつもの日々が過ぎていた。
仕事の顧客である、山奥の農家さんへ向かった。広く真っ平らなジャガイモ畑を見て、季節が確実に進んでいる事を実感する。
ここの農家さんは三代続いている。三代目は自分より1つか2つ年齢が上の、いわゆる若手。今だに二代目のご主人もバリバリ畑仕事をこなし、とても元気。
農家は定年が無い。70歳80歳代でも、やっている方もいる。
三代目は35ぐらい。若手と言わざるを得ない。
歳が近い事も有り、話しも合い、良い付き合いをさせて貰ってる。若かりし頃はヤンチャしてたらしいが、今では真面目で3人の子供の良きパパ。
いきなり、トラクター等が置いてある大きすぎる倉庫?の前に呼ばれ大きな鍋に入った牛乳を指差し。
「飲む? 近くの酪農やってる人から貰った牛乳。絞りたて!」三代目。
「頂きますよ、遠慮なく。」いつも色んな物をご馳走してくれる。
「マコちゃんさー、釣りとかしないの?」
「釣り…は 、しないと言うか…した事ないっす。」
「やってみない?道具はあるからさー」
三代目が、牛乳を鍋からすくうオタマを釣竿に見立て振りながら言った。
「釣りって、川っすか?海っすか?」
「川。渓流釣り。俺は、海釣りもやるけどね。近くの川、結構デカイのいるんだよ、虹鱒。」三代目が両手で50センチ程のサイズをとる。
折角この大自然の中にいて釣りのひとつも、やらないなんて勿体無いと思い、
「やってみたいけど、出来ますかね?」
「出来るよ。初めてなら餌釣りよりルアーの方がいいかな?餌とか触れないだろ?」
餌って。やっぱりミミズとか…かな?
「ルアーで。お願いします!」即答、ヘタレ マコちゃん。
と言う事で近々やらせて貰う事になった。勿論今日伺ったのは、仕事の用事なのでキチンと仕事の話も三代目と済ませ、釣りの予定も決め帰る事に。
無趣味な自分が釣りをする事自体、今迄考えられなかったが、この自然豊かな地がアクティブにさせるのか…。
色んな楽しみ方をしているこの地の人達に憧れているのか…。
何にせよ、ワクワクと不安が駆け巡ってていた。
早速、休みの前の日に三代目の家へ伺った。朝早くに釣りをするので前日の夜、仕事終わり後に行き泊まらせて貰う。
申し訳無い感じはしたが、この街では遠慮する事が逆に失礼。お言葉に甘える。
「今日は、少し暑い位だから外で肉でも焼いて食おう!」三代目が大きなバーベキューセットを出しながら。
3人の子供も明るく迎えてくれ、何よりバーベキューをする事に興奮気味。
まだ日が完全に沈んでおらず夕陽が少し残った空の下、大家族プラス自分での賑やかで豪勢なバーベキュー祭が始まった。採れたて野菜や奥さんの手料理。外でワイワイやりながらの食事。
マズイ訳ない!
元気な子供達に負けない位、ご馳走になった。
久々に他人の家にお泊りでドキドキしながらも、朝早く起きないといけないので
早めに寝る事に。起きれるか不安だったが要らぬ心配だった。
早速準備をして軽トラックに乗って、道では無い所をガンガン進む。近くの川って言っていたが、何せ畑がデカイ。畑を横切るだけでも結構な距離。
要は、私有地の中を軽トラで移動。
スケールが違います。
大きな木が生い茂る澄んだ川。簡単なレクチャーを受け、早速やってみる。
初めは木に引っ掛けたり、川の中の石に引っ掛けたりと苦戦したが少しずつ要領を得ていった。三代目は少し離れた所で、既に何匹か釣っていた。
やっぱり難しいのか?ビギナーズラックは釣りには無いのか?
竿に、ドクドクっと感触。
思わず竿を少し持ち上げた瞬間、水面に魚が跳ねたっ!
焦りながらもリールを巻く。三代目も気付いてくれたみたいで
「焦らないで、ゆっくり巻け〜!」
と、アドバイス。
綺麗な模様に朱色のライン。虹鱒。
レインボートラウトと呼ばれる魚だけにまさに虹色。釣れた喜びと魚の美しさに感動。
「まあまあいいサイズだね。」そう言って三代目が携帯で写真を撮ってくれた。
40センチは、なかったが大きさは自分にとってどうでも良かった。
その後も何匹か釣る事ができ、大満足で三代目にお礼を言い家に帰った。
家に着くなり朝早かったのと慣れない川歩き、釣りに集中し過ぎたせいか爆睡してしまった。夕方やっと起き、ちょっと自慢したくなりアキさんの店に向かった。
アキさんの店[アフター イブ]に入ると珍しくユウさんも居た。パンがとっくに売り切れた後の店でアキさんがレザークラフトをしながらユウさんと談笑していた。
「釣りに行って虹鱒釣りましたよ〜」
「釣り⁈釣り行ってたのマコちゃん?」
ユウさんが少し驚いた感じで訊き返す。
「これからはアングラーマコとお呼び下さい。」(信金さん)並みの軽さの自分。
「いや、釣りしたかったなら早く言えばねー」ユウさんが少し呆れながら言った。
「ユウさんも釣りやるんですか?」
慌てて訊く自分。
「大体やるよ!みんな。アキもやるし。」
ユウさん。
「そこの裏手の川も結構釣れるしね」
アキさん。
「そうなんすか? 早く言ってくれたら
一緒に行けたじゃないすか〜」
悔しがる自分。
「あっ、そう?でもアングラーマコさんとご一緒は、恐れ多くて(笑)」
ユウさんが笑いを堪えきれずに言った。
「ボンクラ〜マコ!ってな〜に?」
急に入ってきたカオリさんがブッ込んだ。
何か、ガクッと膝から砕けそうになった。
そんな中、アキさんは器用に革を手縫いで縫っていた。
笑いをこらえながら…。
第7章     終
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