After-eve
kneading 第5章
カオリこと、山崎 香(カオリ) 33歳。
3年前程に中学までいた、この街に戻って来た。
高校は一応、進学校。その為、高校生からこの街を離れていた。
大学、就職とこの街とは全く違う大きな街で日々過ごしていた。
前職は大手ゼネコンのOL。
別にキャリアウーマンに憧れている訳でも無かったが、見事な男運の悪さで結婚する事なく30歳を迎えていた。急に色んなことに疲れて田舎へ帰る。実家暮らしになり、楽に生活している。
役場の仕事もすぐ決まり、もう3年も経つ。正直、この街の暮らしに少し飽きて来てつまらなさを感じた頃、アキさんに出逢った。
初めて会ったのはアキさんがこの街に戻り、この地に転入届け等の手続きをしに役場に来た時。
暗い感じ。静かで淡々と手続きをしていた印象。
田舎は、この地から出て行く人は多いが入って来る人はとても少ない。
最近は山奥で、新規就農者(新しく農業を始める人)の移住者が、たまに入って来る位。
私自身も大きな街から戻って来たのでわかるのだが、はじめは浮いてるというか目立ってしまう。
静かで暗い印象のアキさんだったが、記憶には残っていた。
ただ、それから2ヶ月程は見かける事すら無かった。
ある日、役場に見覚えのある顔が…アキさんだった。初めて見た時よりも少し明るい感じがした。
お店を始めるという事で手続き的な用事で来たらしい。
アキさんのお店[After-eve]は元々、スナックをやっていた空き店舗。建物自体古くなっていたけれど自分でリフォームして小洒落た店になった。
お店のリフォームを始めた頃、[Pig pen]のマスター、ユウさんがアキさんと共にお店を作っているのを見かけ話掛けてみた。
その時、ユウさんとアキさんが同級生だった事。昔、ユウさんがこの街に戻って来る迄は、アキさんと仲の良い友達だった事を聞かされた。
それから私も一緒に、お店作りの手伝いを始めた。
それがキッカケで、一気にアキさんに夢中になった。
ただ、今だに一方通行の恋。よくアキさんがわからないという事が、余計私の気持ちを煽っていた。
私自身、今迄恋愛に対していい思いは、ない。それなりに恋愛してお付き合いもして来たけど裏切られる事が多かった。男を見る目が無いと言えばそうかもしれない。
そんな、恋愛に対し少し消極的になっていた自分なのにアキさんに対しては思いもよらず積極的に。
ただ…   ただ… 好きな気持ちと裏腹に 、どこか…なんとなく……悲観的な…。
マコちゃん。えと…田辺  誠(マコト)? だっけ?
マコちゃんと出会って仲良く⁈なって、確かに少し楽しい日々になっていた。
マコちゃんがユウさん、アキさん、そして私(カオリ)を上手く繋いでくれてる感じ。
全く知らない土地にやって来た新参者なのに(笑)。
マコちゃんの存在がそれぞれに刺激というか影響を与えている⁈
それはやはり言い過ぎだが、マコちゃん自身の人の良さに、みんな気付いているのだろうと思う。
マコちゃんの暇つぶし?に付き合い、海へ行った翌週。約束通りアキさんとデートをする事になった。
当然、気合いを入れ田舎のこの街では、大して気にしてなかったオシャレ感も倍増。以前、アキさんが化粧が濃いのは苦手と言っていたのでナチュラルメイクで、いざ出陣!
(ちゃんとしたデートがしたい!)と言ってたのでアキさんも普段よりもビシッとした格好だった。
車で1時間半。全く長くは感じなかった。
静かな小さな湖の湖畔に建つホテル&レストラン。いわゆるオーベルジュ。
水面が揺れる事無く鏡の様な湖を窓越しに見ながら、銀のカトラリーが並べてあるテーブルに着く。
ゆっくりゆっくり時間を掛け贅沢なランチを味わった。
「なんか、優雅で美味しくてずっと居たい気分〜。」素直に言ってみた私。
「ここホテルもやってるから泊まっていく?」笑いながらアキさん。
「泊まる!絶対泊まるよ〜!」
強引な気持ち丸出し私。
今の私とアキさんでは絶対に有り得ない事は、わかっていながら…。
アキさんは、いつも以上に優しく楽しく、ちゃんとしたデート気分を味わせてくれた。
その優しさと楽しさの裏には、私には言えない何かを背負っているのに…。
いつか、半分…いや  ひとかけらでも一緒に背負ってあげたい…。
第5章      終
3年前程に中学までいた、この街に戻って来た。
高校は一応、進学校。その為、高校生からこの街を離れていた。
大学、就職とこの街とは全く違う大きな街で日々過ごしていた。
前職は大手ゼネコンのOL。
別にキャリアウーマンに憧れている訳でも無かったが、見事な男運の悪さで結婚する事なく30歳を迎えていた。急に色んなことに疲れて田舎へ帰る。実家暮らしになり、楽に生活している。
役場の仕事もすぐ決まり、もう3年も経つ。正直、この街の暮らしに少し飽きて来てつまらなさを感じた頃、アキさんに出逢った。
初めて会ったのはアキさんがこの街に戻り、この地に転入届け等の手続きをしに役場に来た時。
暗い感じ。静かで淡々と手続きをしていた印象。
田舎は、この地から出て行く人は多いが入って来る人はとても少ない。
最近は山奥で、新規就農者(新しく農業を始める人)の移住者が、たまに入って来る位。
私自身も大きな街から戻って来たのでわかるのだが、はじめは浮いてるというか目立ってしまう。
静かで暗い印象のアキさんだったが、記憶には残っていた。
ただ、それから2ヶ月程は見かける事すら無かった。
ある日、役場に見覚えのある顔が…アキさんだった。初めて見た時よりも少し明るい感じがした。
お店を始めるという事で手続き的な用事で来たらしい。
アキさんのお店[After-eve]は元々、スナックをやっていた空き店舗。建物自体古くなっていたけれど自分でリフォームして小洒落た店になった。
お店のリフォームを始めた頃、[Pig pen]のマスター、ユウさんがアキさんと共にお店を作っているのを見かけ話掛けてみた。
その時、ユウさんとアキさんが同級生だった事。昔、ユウさんがこの街に戻って来る迄は、アキさんと仲の良い友達だった事を聞かされた。
それから私も一緒に、お店作りの手伝いを始めた。
それがキッカケで、一気にアキさんに夢中になった。
ただ、今だに一方通行の恋。よくアキさんがわからないという事が、余計私の気持ちを煽っていた。
私自身、今迄恋愛に対していい思いは、ない。それなりに恋愛してお付き合いもして来たけど裏切られる事が多かった。男を見る目が無いと言えばそうかもしれない。
そんな、恋愛に対し少し消極的になっていた自分なのにアキさんに対しては思いもよらず積極的に。
ただ…   ただ… 好きな気持ちと裏腹に 、どこか…なんとなく……悲観的な…。
マコちゃん。えと…田辺  誠(マコト)? だっけ?
マコちゃんと出会って仲良く⁈なって、確かに少し楽しい日々になっていた。
マコちゃんがユウさん、アキさん、そして私(カオリ)を上手く繋いでくれてる感じ。
全く知らない土地にやって来た新参者なのに(笑)。
マコちゃんの存在がそれぞれに刺激というか影響を与えている⁈
それはやはり言い過ぎだが、マコちゃん自身の人の良さに、みんな気付いているのだろうと思う。
マコちゃんの暇つぶし?に付き合い、海へ行った翌週。約束通りアキさんとデートをする事になった。
当然、気合いを入れ田舎のこの街では、大して気にしてなかったオシャレ感も倍増。以前、アキさんが化粧が濃いのは苦手と言っていたのでナチュラルメイクで、いざ出陣!
(ちゃんとしたデートがしたい!)と言ってたのでアキさんも普段よりもビシッとした格好だった。
車で1時間半。全く長くは感じなかった。
静かな小さな湖の湖畔に建つホテル&レストラン。いわゆるオーベルジュ。
水面が揺れる事無く鏡の様な湖を窓越しに見ながら、銀のカトラリーが並べてあるテーブルに着く。
ゆっくりゆっくり時間を掛け贅沢なランチを味わった。
「なんか、優雅で美味しくてずっと居たい気分〜。」素直に言ってみた私。
「ここホテルもやってるから泊まっていく?」笑いながらアキさん。
「泊まる!絶対泊まるよ〜!」
強引な気持ち丸出し私。
今の私とアキさんでは絶対に有り得ない事は、わかっていながら…。
アキさんは、いつも以上に優しく楽しく、ちゃんとしたデート気分を味わせてくれた。
その優しさと楽しさの裏には、私には言えない何かを背負っているのに…。
いつか、半分…いや  ひとかけらでも一緒に背負ってあげたい…。
第5章      終
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