After-eve
Kneading 第1章
初夏を思わせる暑い日が来たと思ったら、季節が戻った様な冷たい風が吹く日もあったりと天候さえも人を惑わす微妙な時が過ぎていた。
小さな街。小さなコミュニティ。此処の住人は互いの事は何でも知ってるアットホームな関係かと思いきや、実際はそうでもなかった。やはりそれぞれ人には色んな事情、生活、悩み、が有る事を改めて実感していた。
この街に来て、何故か店の雰囲気に惹かれそのドアを
開け、出逢った[After-eve]のアキさん。そこから[Pig pen]のユウさん、役場勤めのカオリさん。この3人に
出逢ってから、何かが凄く変わった様な変わらない様な
不思議な感覚。
自分自身の考え方なのか、他の人に影響されたのか、
一回り大きな男になったのか、変わらないのか。
そんなことをシミジミと日曜日の昼間から考えていた。
昨日の土曜日。
臨時休業にして何処かへ行ったアキさん。
今日は帰って来たのだろうか?
アキさんの事も気になるけれど、今はカオリさんの方が気になってしまう。昨日、目の前であんな切なそうなカオリさんの姿を見てしまったから当然といえば当然。
いつもは明るく気軽に声をかけてくれる人なのに…
そんなモヤモヤしてる気分を晴らすため出掛けようと外に出る。
昨日は少し暑い位の気温だったのに今日は、冷たい風が吹いていて気分も落ち込みそうな曇り空だった。
車に乗りドライブがてら、アキさんの店の前を通ってみたがやはりアキさんの車は無く、心なしか街自体もとても静かに思えた。
山に囲まれた一本道。何処に行き着くかも分からずただ走ってみる。小高い小さな峠に止まり今住んでいる小さな街を見下ろした。大きな建物も無く寂しい感じがする風景。
今の心境と今日の天候がより寂しい雰囲気を醸し出していた。
余りの寒さと寂しい雰囲気から逃げる様に街へ戻った。
そんな時でも腹は減る。
街で唯一の蕎麦屋でもと思い駐車場に車を止める。
同時に車が隣に止まった。
「おっ!そば食べるの?」ユウさんだった。
「ユウさんも蕎麦ですか?」
「うん。何か今日は、寒いからね~」と、ゴツい体を丸めてユウさんが言った。
「ユウさん1人なんすか?」
「奥さんと子供は、買い物に出かけてね。1人さ~」
余り寂しそうな感じはユウさんの顔からはしなかった。
「じゃ、一緒に食べようよ」
「あ、はい」
暖かい蕎麦をすすり何度かアキさんの事を聞こうかと、ためらっていた。
「カオリ、迷惑かけてない?」いきなりユウさん。
びっくりしてちゃんと返事が出来なかった。
「あの娘、結構真っ直ぐだからね~」
「それだけアキさんの事が好きなんじゃないんすか?」と、自分。
「だね、でもよりによって相手がアキだとね~」
含みを持たすユウさん。
「えっ、なんかダメなんすかね?」思いきって聞いてみる。
「…詳しい事はね、俺の口からは…ね。 ただ あいつは
ちょっとね、ツライ事あって恋愛だとかそういうのは、まだね。」
「そうなんすか…」これ以上何も聞けなかった。
「昨日が16日だから、そろそろ帰って来て何食わぬ顔で、またパン焼いてると思うよ。」
「16日…何か大事な日なんすかね。あっ別にいいですけど。」一言多い自分。
「ふふっ、まぁそういうこった!」
「カオリには15日と16日は、そっとしてやれって言ったと思ったんだけどな~」
「面倒なら、ほっといていいよ。カオリの事は。」
「全然面倒ではないっす!」言い切った。自分。
「ぷっ。ちょっと好き?カオリの事?」ニヤケながらユウさん
「いやいや、やめて下さいよ~」
「いーじゃんカオリ綺麗だし年齢より若く見えるし。
みんな、すぐ惚れるよ。」
「確かにそうですけど…でもアレです。」アレって、
相変わらずアホな自分。
「アレか~ぷぷっ。 カオリは人当たりいいけど恋愛となるとシビアって言うか、かなり固いぞ。みんなフラれてる。」
「3年位経つかな帰って来て。…唯一アキだけには本気らしい」
何も言え無くなった。
お会計はユウさんが全部払ってくれ店を出た。
車に乗る時、ユウさんが
「アキは、まだ帰って来て1年経ってないからまだ色々引きずってる事あるんだよ。そういう奴と思ってそっとしてあげて。色々あるでしょ、長い事生きてりゃ。」
ただ、うなずくだけしか出来なかった。
アキさんは普段は優しいし良い人だし凄く大人なので、過去を引きずってると聞き、意外ではあったが自分がアキさんに対して何処か影のある人と思ったのはそういう事かなと少し納得していた。
家に帰る途中。
ユウさんとアキさんの関係が改めて羨ましく思い、
またカオリさんの真っ直ぐな想いをより実感しながら
やはり、この3人に出会えて良かったと冷たい風が吹いている事を忘れる位、暖かい気持ちになった。
元彼女は、若い男にサッサと乗り換えた事を思い出し
真っ直ぐなカオリさん やっぱり好きだな~
叶わぬ恋だけど。 あう~。
第1章 終
小さな街。小さなコミュニティ。此処の住人は互いの事は何でも知ってるアットホームな関係かと思いきや、実際はそうでもなかった。やはりそれぞれ人には色んな事情、生活、悩み、が有る事を改めて実感していた。
この街に来て、何故か店の雰囲気に惹かれそのドアを
開け、出逢った[After-eve]のアキさん。そこから[Pig pen]のユウさん、役場勤めのカオリさん。この3人に
出逢ってから、何かが凄く変わった様な変わらない様な
不思議な感覚。
自分自身の考え方なのか、他の人に影響されたのか、
一回り大きな男になったのか、変わらないのか。
そんなことをシミジミと日曜日の昼間から考えていた。
昨日の土曜日。
臨時休業にして何処かへ行ったアキさん。
今日は帰って来たのだろうか?
アキさんの事も気になるけれど、今はカオリさんの方が気になってしまう。昨日、目の前であんな切なそうなカオリさんの姿を見てしまったから当然といえば当然。
いつもは明るく気軽に声をかけてくれる人なのに…
そんなモヤモヤしてる気分を晴らすため出掛けようと外に出る。
昨日は少し暑い位の気温だったのに今日は、冷たい風が吹いていて気分も落ち込みそうな曇り空だった。
車に乗りドライブがてら、アキさんの店の前を通ってみたがやはりアキさんの車は無く、心なしか街自体もとても静かに思えた。
山に囲まれた一本道。何処に行き着くかも分からずただ走ってみる。小高い小さな峠に止まり今住んでいる小さな街を見下ろした。大きな建物も無く寂しい感じがする風景。
今の心境と今日の天候がより寂しい雰囲気を醸し出していた。
余りの寒さと寂しい雰囲気から逃げる様に街へ戻った。
そんな時でも腹は減る。
街で唯一の蕎麦屋でもと思い駐車場に車を止める。
同時に車が隣に止まった。
「おっ!そば食べるの?」ユウさんだった。
「ユウさんも蕎麦ですか?」
「うん。何か今日は、寒いからね~」と、ゴツい体を丸めてユウさんが言った。
「ユウさん1人なんすか?」
「奥さんと子供は、買い物に出かけてね。1人さ~」
余り寂しそうな感じはユウさんの顔からはしなかった。
「じゃ、一緒に食べようよ」
「あ、はい」
暖かい蕎麦をすすり何度かアキさんの事を聞こうかと、ためらっていた。
「カオリ、迷惑かけてない?」いきなりユウさん。
びっくりしてちゃんと返事が出来なかった。
「あの娘、結構真っ直ぐだからね~」
「それだけアキさんの事が好きなんじゃないんすか?」と、自分。
「だね、でもよりによって相手がアキだとね~」
含みを持たすユウさん。
「えっ、なんかダメなんすかね?」思いきって聞いてみる。
「…詳しい事はね、俺の口からは…ね。 ただ あいつは
ちょっとね、ツライ事あって恋愛だとかそういうのは、まだね。」
「そうなんすか…」これ以上何も聞けなかった。
「昨日が16日だから、そろそろ帰って来て何食わぬ顔で、またパン焼いてると思うよ。」
「16日…何か大事な日なんすかね。あっ別にいいですけど。」一言多い自分。
「ふふっ、まぁそういうこった!」
「カオリには15日と16日は、そっとしてやれって言ったと思ったんだけどな~」
「面倒なら、ほっといていいよ。カオリの事は。」
「全然面倒ではないっす!」言い切った。自分。
「ぷっ。ちょっと好き?カオリの事?」ニヤケながらユウさん
「いやいや、やめて下さいよ~」
「いーじゃんカオリ綺麗だし年齢より若く見えるし。
みんな、すぐ惚れるよ。」
「確かにそうですけど…でもアレです。」アレって、
相変わらずアホな自分。
「アレか~ぷぷっ。 カオリは人当たりいいけど恋愛となるとシビアって言うか、かなり固いぞ。みんなフラれてる。」
「3年位経つかな帰って来て。…唯一アキだけには本気らしい」
何も言え無くなった。
お会計はユウさんが全部払ってくれ店を出た。
車に乗る時、ユウさんが
「アキは、まだ帰って来て1年経ってないからまだ色々引きずってる事あるんだよ。そういう奴と思ってそっとしてあげて。色々あるでしょ、長い事生きてりゃ。」
ただ、うなずくだけしか出来なかった。
アキさんは普段は優しいし良い人だし凄く大人なので、過去を引きずってると聞き、意外ではあったが自分がアキさんに対して何処か影のある人と思ったのはそういう事かなと少し納得していた。
家に帰る途中。
ユウさんとアキさんの関係が改めて羨ましく思い、
またカオリさんの真っ直ぐな想いをより実感しながら
やはり、この3人に出会えて良かったと冷たい風が吹いている事を忘れる位、暖かい気持ちになった。
元彼女は、若い男にサッサと乗り換えた事を思い出し
真っ直ぐなカオリさん やっぱり好きだな~
叶わぬ恋だけど。 あう~。
第1章 終
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