After-eve

本宮 秋

mixing 第1章

山に囲まれた小さな田舎街。
これといって名物も観光名所もない、静かな街。


住宅の立ち並ぶ道路の角に、真っ白な漆喰風の壁の建物がひっそりと佇んでいる。
入り口のドアの上に、ひときわ目立つアルミで作られた看板が、青白い光をはなっている。
「After  eve」
それだけ、描かれた看板。
シンプル⁈というか、素っ気ないだけのお店。


ただ…     何故か素っ気ない店に反して、いい香りが…。
パン?
パン屋さん?ケーキ屋さん?
地方のスナックに、ありそうな黒っぽい地味な扉を開けてみる。


匂いとは関係ない物が、まず目に飛び込んだ。
…革の鞄。
ん?   戸惑ったの一瞬だけだった。
何気なく並べられた、革のバッグ。革の財布。革の小物。その先に、やはり香ばしい匂いの物が並んでた。
いい色に焼きあがっているパンがアンティーク調のダイニングテーブルに、並んでる。
何故、パン屋さんなのに革製品が入り口近くにあるのか…
んんっ?
1番奥に何やら道具やら機械らしきもの。
パン屋さんだけでは、ないのか?
革製品も作ってる店なのか?
何故に、革工房とパン屋さんを一緒にやってるのだろう。そんな事を考えながらパンが並んでるところに。近くに寄るとパリパリとパンの表面から聞こえる。焼き上がったばかりのパンだと誰もがわかるほど熱さが感じられるパン。
少し暗めの店内だけどパンには、しっかり明かりが照らされてより美味しそうな感じがする。


奥からカツカツと足音が聞こえて、全身黒っぽい格好の男性がバケットを運んできた。
「いらっしゃいませ」
忙しそうにバケットを並べながら…。


何故か、少し恐縮してしまい
「あっ、どうも。」
「パン屋さんだったんですね。」と、きりだしてみた。
「ええ。まぁそうです。色々ですけど。」
店主らしき人が応えてくれた。


色々⁈   あ〜そうか。革の鞄!


「革製品も売ってるんですか?」


「まぁ、趣味程度の物ですけどね。」
少し笑顔で、そう応えてくれた。


「すいません、はじめ何の店だかわからずに。
店の名前からも想像できなくて…でもなんかパンの様な匂いしたんで     入ってみました。」


「すいませんでした。あまり店の事わかる物、外に置いてないので。よく言われるんですけど」     店主らしき人。


「ちなみにお店の名前。なんか意味あるんですか?」  少し舞い上がってついつい聞いてみた。


「あ〜それもよくきかれるんですけど。大した意味では…    [アフターイブ]  午後(アフタヌーン)から夜(イブニング)までの営業って事で。」
「パン屋なのに午後から夜ってやっぱり変ですかね。」店主らしき人。



少し変わった人?というか変わったパン屋さんだな。と思いながら焼きたてのパンの香りに、やられてしまいそうになっていた。


第1章        終

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