継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》
ヘルマンを招待
現在俺は、パーティーが終わって家に向かっている途中だ。
馬車にはリーナも乗っている。
「今日のパーティーはなんだか疲れました」
「あ~そういえば、姉ちゃんに散々可愛がられていたね」
「はい。楽しかったのですが……少し恥ずかしかったです」
「恥ずかしい? いったい、何を聞かれたの?」
「そ、それは秘密です!」
リーナは顔を赤くして、全力で拒否してきた。
「余計、気になるけど……わかったよ」
いったいどんなことを聞かれたのか……。
めっちゃ気になる。
「レオくんは、生徒会長と楽しそうにしてましたけど、いったいどんなことを話していたのですか?」
それは……会長が姉ちゃんのどんなところが好きなのかについてだけど……。
「えっと……それは秘密で……」
ここで言ってしまったら、会長が可哀そうだからね。
それに俺は、助けてくれた人の秘密をばらしてしまうような恩知らずな人間ではない。
「ふふ、これでお互い様ですね」
リーナは嬉しそうに笑った。
「そうだね。お互い様だ」
俺も笑った。
「ところで、レオくんはこの後、家に帰ったら何をするのですか?」
「この後? この後は友達の魔力特訓をやるよ」
ヘルマンと約束しているんだ。
「え? どこでやるのですか?」
「家だよ」
「もう家に招待できるような友達が出来たのですか?」
「うん。ヘルマンは魔力が少ないんだけど、剣術が凄く上手いから絶対に強くなると思って誘ったんだ」
ヘルマンの剣術に無属性魔法が加われば絶対に強くなる。
「ヘルマンさんって……あの魔法の先生にいじめられていた……」
リーナの顔が急に暗くなった。
「そうだよ。あの先生はひどかったね」
適性魔法のことも良くわかってないし、無属性魔法が使えない魔法なんて言っているんだから。
これから、あの先生に魔法を教わると思うとゾッとするよ。
「私もあの先生は嫌いです! でも、あの水魔法は凄かったですけど」
「あれくらいならシェリーでも出来るよ」
単純に魔力の方向を操作してやれば、特に難しいことはない。
「そ、そうなんですか?」
「うん、ただ使い慣れてないとあそこまで細かい動きは出来ないだろうけどね」
「やっぱりシェリーは凄いんですね」
「リーナの聖魔法のレベルもシェリーの魔法とあまり変わらないよ」
リーナの聖魔法のレベルも異常だと思う。
というか、よく自力でこんなに速いスピードで成長できたよ。
「そ、そんなことないですよ」
リーナは両手を前に出して否定した。
「またまた~謙遜しちゃって。あ、着いたみたいだね」
馬車が止まった。
馬車から降りるとばあちゃんと聖女が待っていた。
「ニ人ともお帰りなさい。初めての授業はどうだったかい?」
「楽しかったよ」
「楽しかったですけど……レオくんが魔法の授業や午後のパーティーで『無能』って馬鹿にされたのが許せなかったです」
リーナは暗い顔をして言った。
「そんなことがあったの……」
聖女は、心配そうな顔で俺を見て来た。
しかしばあちゃんは
「こればかりはレオが耐えるしかないわね」
と厳しいことを言った。
「相変わらず孫に厳しいわね」
「しょうがないわ。これからもっと適性魔法で差別されることは増えていくだろうから、今から我慢していくしかないさ」
「それに、実際はそんなことを言っている奴らと実力の差が天と地ほどあるんだから、気にする必要はないわ」
まあ、無能と言われてもあまりどうも思ってないんだけど。
ばあちゃんの言う通り、実際は無能じゃないんだもん。
「うん。気にしてないから大丈夫だよ」
「そうかい……ただ、何かあったら一人で抱え込まないで相談するんだよ」
「わかりました。あ、そういえばこの後、友達を家に呼んだけど大丈夫だよね?」
「呼ぶのは大丈夫だけど、そこまで仲良くなった友達がもう出来たのかい?」
「うん、ヘルマン・カルーンって名前の子なんだけど」
それを聞いたばあちゃんは驚いた顔をした。
「カルーン家の次男じゃないか」
「やっぱりカルーン家のことは知っているんだね」
「知っているも何も、その子の父親は、私と爺さんの部下だった男だよ」
「そうなの? ヘルマンのお父さんがじいちゃんの弟子だったことは聞いたんだけど」
「そういえば爺さんが無属性魔法を教えていたわね……」
「やっぱりそうなんだ~」
「がたいは良いくせして、いつも爺さんに腰が低くてね……真面目な男だよ」
「なるほど……ヘルマンはお父さんに似たんだな」
「ん? レオは既にその子のことを従えているのかい?」
「そ、そういうわけじゃなくて……ただ、あっちが敬語なだけだからね!」
そうそう、ただヘルマンが敬語をやめようとしないだけ。
「そうかい、まあ友達は大切にしなさい。まあ、そのままレオの部下になる未来しか見えないけど」
「そ、そんなことは……ない……もん」
否定できない……。
それから少し時間が経ち、ヘルマンが家に到着した。
「師匠! 今日はお招きありがとうございます」
ヘルマンは馬車から出てくるとすぐ俺に頭を下げた。
「いやいや、友達なんだからそこまで堅苦しくならないでよ」
「やっぱり従えているわね」
後ろから恐れていた言葉が……。
「そ、そんなことはないはず....」
そう、従えてなんか……。
「あ、魔導師様! 初めまして、ヘルマン・カルーンです」
「こちらこそ。レオとこれからも仲良くしてあげて」
「は、はい!」
「それじゃあ、ゆっくりしていきな」
「ありがとうございます」
「それじゃあ俺の部屋で魔法の特訓をやろうか」
それから部屋にヘルマンを案内した。
「それでは魔法特訓を始めたいと思います」
「本当に今日は、わざわざ僕の為にありがとうございます」
「もう気にするなってせっかくの友達なんだから」
「と、友達ですか……」
ヘルマンは少し納得いかない顔をしたが、嬉しそうな顔をした。
「じゃあ始めるよ」
「わかりました。でも、魔法特訓って何をするのですか?」
「それは、後で教えるから少し待っててね。まず、今から秘密道具を造る」
そう言って、俺は部屋の端のリュックからミスリルと魔石を取り出した。
「うわ~綺麗なミスリルと魔石ですね」
「ミスリルは買った物だけど魔石は自分で魔力を注いだ物だよ」
「え!? このとても輝いている魔石を師匠が作ったのですか?」
「そうだけど、これくらいで驚いていたらこれから大変だよ?」
「これより凄いことって……これから何をするのですか?」
「まあ、見てなって」
たぶん、今のままだとヘルマンの魔力は頑張ってもそこまで増えないと思う。
だから、俺が造った魔法アイテムで、成長スピードを底上げしようという考えだ。
本格的にアイテムを造るのは久しぶりだな……。
そんなことを考えていたら、目的の物は簡単に造ることが出来てしまった。
「い、今のは何があったのですか!?」
「魔法だよ」
「魔法? あ! そうか、師匠は創造魔法が使えるのですね」
納得という顔をした後、目を輝かせながら俺を見てきた。
「そ、そうだよ。ずいぶんと呑み込みが早いじゃないか」
「だって、師匠が無能のはずがないですから、きっと創造魔法は使えるのだと授業の時から思ってました」
「あ、ありがとう」
やっぱり、ヘルマンは良い友達になりそうだ。
「それは……腕輪ですか?」
「うん。でもただの腕輪じゃないよ」
「え? 見た目はミスリルで造られた高級品に見えますが……いったいどんな腕輪なんですか?」
「えっと……」
さっそく腕輪に鑑定をしてみた。
<忠誠の腕輪>
魔力の成長を促進
この腕輪の創造者に忠誠心がある限り
状態異常にならない
速さが1.5倍
創造者:レオンス・フォースター
なんかヤバい。
ヘルマンに後半の内容を言ったら俺に忠誠を誓いそう……。
「師匠?」
「あ、えっと....これは魔力の成長を促進してくれる物だからなるべく常に着けといて」
「わ、わかりました! ……え? 貰っていいんですか?」
「気にしないで貰ってよ。これから頑張ってくれればいいから(魔力の特訓を)」
俺は、そう言って笑顔で腕輪を渡した。
「は、はい! これから一生懸命頑張らせて頂きます(師匠に仕えることを)」
ヘルマンは顔を引き締めて、主から物を受け取るような動きをした。
あれ? なんだか……ヘルマンの頑張るの重みが俺の頑張ると違う気がするんだが……。
馬車にはリーナも乗っている。
「今日のパーティーはなんだか疲れました」
「あ~そういえば、姉ちゃんに散々可愛がられていたね」
「はい。楽しかったのですが……少し恥ずかしかったです」
「恥ずかしい? いったい、何を聞かれたの?」
「そ、それは秘密です!」
リーナは顔を赤くして、全力で拒否してきた。
「余計、気になるけど……わかったよ」
いったいどんなことを聞かれたのか……。
めっちゃ気になる。
「レオくんは、生徒会長と楽しそうにしてましたけど、いったいどんなことを話していたのですか?」
それは……会長が姉ちゃんのどんなところが好きなのかについてだけど……。
「えっと……それは秘密で……」
ここで言ってしまったら、会長が可哀そうだからね。
それに俺は、助けてくれた人の秘密をばらしてしまうような恩知らずな人間ではない。
「ふふ、これでお互い様ですね」
リーナは嬉しそうに笑った。
「そうだね。お互い様だ」
俺も笑った。
「ところで、レオくんはこの後、家に帰ったら何をするのですか?」
「この後? この後は友達の魔力特訓をやるよ」
ヘルマンと約束しているんだ。
「え? どこでやるのですか?」
「家だよ」
「もう家に招待できるような友達が出来たのですか?」
「うん。ヘルマンは魔力が少ないんだけど、剣術が凄く上手いから絶対に強くなると思って誘ったんだ」
ヘルマンの剣術に無属性魔法が加われば絶対に強くなる。
「ヘルマンさんって……あの魔法の先生にいじめられていた……」
リーナの顔が急に暗くなった。
「そうだよ。あの先生はひどかったね」
適性魔法のことも良くわかってないし、無属性魔法が使えない魔法なんて言っているんだから。
これから、あの先生に魔法を教わると思うとゾッとするよ。
「私もあの先生は嫌いです! でも、あの水魔法は凄かったですけど」
「あれくらいならシェリーでも出来るよ」
単純に魔力の方向を操作してやれば、特に難しいことはない。
「そ、そうなんですか?」
「うん、ただ使い慣れてないとあそこまで細かい動きは出来ないだろうけどね」
「やっぱりシェリーは凄いんですね」
「リーナの聖魔法のレベルもシェリーの魔法とあまり変わらないよ」
リーナの聖魔法のレベルも異常だと思う。
というか、よく自力でこんなに速いスピードで成長できたよ。
「そ、そんなことないですよ」
リーナは両手を前に出して否定した。
「またまた~謙遜しちゃって。あ、着いたみたいだね」
馬車が止まった。
馬車から降りるとばあちゃんと聖女が待っていた。
「ニ人ともお帰りなさい。初めての授業はどうだったかい?」
「楽しかったよ」
「楽しかったですけど……レオくんが魔法の授業や午後のパーティーで『無能』って馬鹿にされたのが許せなかったです」
リーナは暗い顔をして言った。
「そんなことがあったの……」
聖女は、心配そうな顔で俺を見て来た。
しかしばあちゃんは
「こればかりはレオが耐えるしかないわね」
と厳しいことを言った。
「相変わらず孫に厳しいわね」
「しょうがないわ。これからもっと適性魔法で差別されることは増えていくだろうから、今から我慢していくしかないさ」
「それに、実際はそんなことを言っている奴らと実力の差が天と地ほどあるんだから、気にする必要はないわ」
まあ、無能と言われてもあまりどうも思ってないんだけど。
ばあちゃんの言う通り、実際は無能じゃないんだもん。
「うん。気にしてないから大丈夫だよ」
「そうかい……ただ、何かあったら一人で抱え込まないで相談するんだよ」
「わかりました。あ、そういえばこの後、友達を家に呼んだけど大丈夫だよね?」
「呼ぶのは大丈夫だけど、そこまで仲良くなった友達がもう出来たのかい?」
「うん、ヘルマン・カルーンって名前の子なんだけど」
それを聞いたばあちゃんは驚いた顔をした。
「カルーン家の次男じゃないか」
「やっぱりカルーン家のことは知っているんだね」
「知っているも何も、その子の父親は、私と爺さんの部下だった男だよ」
「そうなの? ヘルマンのお父さんがじいちゃんの弟子だったことは聞いたんだけど」
「そういえば爺さんが無属性魔法を教えていたわね……」
「やっぱりそうなんだ~」
「がたいは良いくせして、いつも爺さんに腰が低くてね……真面目な男だよ」
「なるほど……ヘルマンはお父さんに似たんだな」
「ん? レオは既にその子のことを従えているのかい?」
「そ、そういうわけじゃなくて……ただ、あっちが敬語なだけだからね!」
そうそう、ただヘルマンが敬語をやめようとしないだけ。
「そうかい、まあ友達は大切にしなさい。まあ、そのままレオの部下になる未来しか見えないけど」
「そ、そんなことは……ない……もん」
否定できない……。
それから少し時間が経ち、ヘルマンが家に到着した。
「師匠! 今日はお招きありがとうございます」
ヘルマンは馬車から出てくるとすぐ俺に頭を下げた。
「いやいや、友達なんだからそこまで堅苦しくならないでよ」
「やっぱり従えているわね」
後ろから恐れていた言葉が……。
「そ、そんなことはないはず....」
そう、従えてなんか……。
「あ、魔導師様! 初めまして、ヘルマン・カルーンです」
「こちらこそ。レオとこれからも仲良くしてあげて」
「は、はい!」
「それじゃあ、ゆっくりしていきな」
「ありがとうございます」
「それじゃあ俺の部屋で魔法の特訓をやろうか」
それから部屋にヘルマンを案内した。
「それでは魔法特訓を始めたいと思います」
「本当に今日は、わざわざ僕の為にありがとうございます」
「もう気にするなってせっかくの友達なんだから」
「と、友達ですか……」
ヘルマンは少し納得いかない顔をしたが、嬉しそうな顔をした。
「じゃあ始めるよ」
「わかりました。でも、魔法特訓って何をするのですか?」
「それは、後で教えるから少し待っててね。まず、今から秘密道具を造る」
そう言って、俺は部屋の端のリュックからミスリルと魔石を取り出した。
「うわ~綺麗なミスリルと魔石ですね」
「ミスリルは買った物だけど魔石は自分で魔力を注いだ物だよ」
「え!? このとても輝いている魔石を師匠が作ったのですか?」
「そうだけど、これくらいで驚いていたらこれから大変だよ?」
「これより凄いことって……これから何をするのですか?」
「まあ、見てなって」
たぶん、今のままだとヘルマンの魔力は頑張ってもそこまで増えないと思う。
だから、俺が造った魔法アイテムで、成長スピードを底上げしようという考えだ。
本格的にアイテムを造るのは久しぶりだな……。
そんなことを考えていたら、目的の物は簡単に造ることが出来てしまった。
「い、今のは何があったのですか!?」
「魔法だよ」
「魔法? あ! そうか、師匠は創造魔法が使えるのですね」
納得という顔をした後、目を輝かせながら俺を見てきた。
「そ、そうだよ。ずいぶんと呑み込みが早いじゃないか」
「だって、師匠が無能のはずがないですから、きっと創造魔法は使えるのだと授業の時から思ってました」
「あ、ありがとう」
やっぱり、ヘルマンは良い友達になりそうだ。
「それは……腕輪ですか?」
「うん。でもただの腕輪じゃないよ」
「え? 見た目はミスリルで造られた高級品に見えますが……いったいどんな腕輪なんですか?」
「えっと……」
さっそく腕輪に鑑定をしてみた。
<忠誠の腕輪>
魔力の成長を促進
この腕輪の創造者に忠誠心がある限り
状態異常にならない
速さが1.5倍
創造者:レオンス・フォースター
なんかヤバい。
ヘルマンに後半の内容を言ったら俺に忠誠を誓いそう……。
「師匠?」
「あ、えっと....これは魔力の成長を促進してくれる物だからなるべく常に着けといて」
「わ、わかりました! ……え? 貰っていいんですか?」
「気にしないで貰ってよ。これから頑張ってくれればいいから(魔力の特訓を)」
俺は、そう言って笑顔で腕輪を渡した。
「は、はい! これから一生懸命頑張らせて頂きます(師匠に仕えることを)」
ヘルマンは顔を引き締めて、主から物を受け取るような動きをした。
あれ? なんだか……ヘルマンの頑張るの重みが俺の頑張ると違う気がするんだが……。
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コメント
べりあすた
「さうかい……ただ、何かあったら一人でってとこ、
“そ”うかいだと思うの
エルス・ギルバート
いいですねぇ
ノベルバユーザー149078
面白いです。これからも頑張って下さい。
ノベルバユーザー262395
いい師弟関係ですね(*^^*)