とある鋭き針の物語
潜在力
彼は動き出し、中途半端に接近したあたりで右手を持ち上げつつ、声を張り上げる。
『纏霊技ー竜の爪!!』
すると彼の腕が、巨大な竜の腕に変化した。
…いや、よく見てみると、纏っているような形になっている。
…はっ!しまった!?
見たことのない攻撃方法に見とれていた私はその攻撃を回避し損ねてしまう。
私は仕方なく受け止めることになる。が…
「ぐぅっ!?」
めちゃくちゃ重たい。先ほどのストレートとは比較できないほどに、その攻撃は重かった。片足がズタズタの状態にある私はその攻撃を受け止めきれず、叩き潰されてしまう。
………
「こんなところじゃ…終われないわよ!!」
私はその腕の下敷きになりつつも片手で持ちこたえ、もう片方でその腕を殴って弾き飛ばした。
私は追撃を避ける為、一旦距離をとった。どうやら肋骨が数本逝ってしまったらしい。肺に刺さっているような気もする。
『結構いい乱数引いたかな。だがまだまだいくぜ、纏霊技ー竜の尾!!』
彼が体をくねらせながらそう叫ぶと、腰のあたりに竜の尻尾のようなものが現れた。その尾は鞭のようにしなり、既にぼろぼろになっている私の体を襲う。
私はなんとかその攻撃を受けた。…のだが、見た目以上に弱かったため、難なく受け止めることができた。
『ありゃりゃ、ひでぇ乱数を引いちまったな。
…主、乱数もそうじゃが、何故広範囲の最弱攻撃を選んだのじゃ?
ん?ああ、そういえばこれ、弱かったんだったな、忘れてたよ。最低乱数と合わせると、ここまで弱くなるのか。』
また独り言を言ってる。それに、さっきから乱数って何だ?
『よし、確殺戦法をとろう。
よろしいでしょうか、鼓動竜の恩方。
……
ありがとうございます。ではやりましょう。』
彼は話し終えたようで、再度動き始めた。
『纏霊技ーゼロ鼓動!』
彼が言い終えると、何らかの見えない波が発生した。直撃しても痛みはなかったが、体に何らかの変化が起きたのは感じられた。だが、既にぼろぼろな体であるため、どこに変化があったのかをすぐに把握することはできない。
だんだんと…意識が薄れ…視界が暗闇に沈むような…はっ、まさか!?
その時私は気づき、自身の胸に手を当てた。
「…と、止まってる…」
心臓が脈打っていなかった。恐らくはゼロ鼓動とかいう技で止められたのだろう。
ただ、あまりに気づくのが遅すぎた。この時点での私はもう、自身が倒れている事にすら気付けていなかった。
ここで…終わるの…?
……
いや、
「こんな所で終わるもんか!!!」
私は強く意識を持った。一瞬ではあったが、思考が研ぎ澄まされていくのを感じる。
私は今持っている最大限の精神力を振り絞り、地面を構成している物質から針を作り出した。そして、それを体に突き刺して、事切れた。
俺はシャープレインの状態を確認した。間違いなく死んでいる。死ぬ直前に上げた叫び声が気がかりではあったが、死んでも動けるような淫魔などいないだろう。
『やっぱりやり過ぎちゃったかな。』
俺は再度、鼓動竜の恐ろしさを感じたのだった。
が、そのとき、背後に強い違和感と不安を感じた。急いで振り返ると、完全に鼓動を停止したはずのシャープレインが立ち上がっていた。
「さっきはよくもやってくれたわね、竜也!!」
彼女は、俺に対する怒りを叫ぶ。
『どうして生きている?鼓動は停止したはずだろ。』
「死んだよ!!
でもね、私には能力がある。まだ理屈は分かんないけど、それを使えば蘇る事だって出来るんだよ!!」
そう叫んだ彼女は、体に刺さっていた針を引き抜いた。その針は黒ずんでおり、地面との接触と同時に砕け散った。
「さあ、ここからが本番だよ!!!」
そして彼女は、俺との闘いを再開した。
纏霊技ー竜の(部位)ーについて
その名の通り、竜の身体の一部を身に纏う技。纏う対象は自身と契約している必要があったり、受けたダメージが直接本人にも返ってくるというデメリットもあるが、使いようによってはそれ相応の力を発揮する。
『纏霊技ー竜の爪!!』
すると彼の腕が、巨大な竜の腕に変化した。
…いや、よく見てみると、纏っているような形になっている。
…はっ!しまった!?
見たことのない攻撃方法に見とれていた私はその攻撃を回避し損ねてしまう。
私は仕方なく受け止めることになる。が…
「ぐぅっ!?」
めちゃくちゃ重たい。先ほどのストレートとは比較できないほどに、その攻撃は重かった。片足がズタズタの状態にある私はその攻撃を受け止めきれず、叩き潰されてしまう。
………
「こんなところじゃ…終われないわよ!!」
私はその腕の下敷きになりつつも片手で持ちこたえ、もう片方でその腕を殴って弾き飛ばした。
私は追撃を避ける為、一旦距離をとった。どうやら肋骨が数本逝ってしまったらしい。肺に刺さっているような気もする。
『結構いい乱数引いたかな。だがまだまだいくぜ、纏霊技ー竜の尾!!』
彼が体をくねらせながらそう叫ぶと、腰のあたりに竜の尻尾のようなものが現れた。その尾は鞭のようにしなり、既にぼろぼろになっている私の体を襲う。
私はなんとかその攻撃を受けた。…のだが、見た目以上に弱かったため、難なく受け止めることができた。
『ありゃりゃ、ひでぇ乱数を引いちまったな。
…主、乱数もそうじゃが、何故広範囲の最弱攻撃を選んだのじゃ?
ん?ああ、そういえばこれ、弱かったんだったな、忘れてたよ。最低乱数と合わせると、ここまで弱くなるのか。』
また独り言を言ってる。それに、さっきから乱数って何だ?
『よし、確殺戦法をとろう。
よろしいでしょうか、鼓動竜の恩方。
……
ありがとうございます。ではやりましょう。』
彼は話し終えたようで、再度動き始めた。
『纏霊技ーゼロ鼓動!』
彼が言い終えると、何らかの見えない波が発生した。直撃しても痛みはなかったが、体に何らかの変化が起きたのは感じられた。だが、既にぼろぼろな体であるため、どこに変化があったのかをすぐに把握することはできない。
だんだんと…意識が薄れ…視界が暗闇に沈むような…はっ、まさか!?
その時私は気づき、自身の胸に手を当てた。
「…と、止まってる…」
心臓が脈打っていなかった。恐らくはゼロ鼓動とかいう技で止められたのだろう。
ただ、あまりに気づくのが遅すぎた。この時点での私はもう、自身が倒れている事にすら気付けていなかった。
ここで…終わるの…?
……
いや、
「こんな所で終わるもんか!!!」
私は強く意識を持った。一瞬ではあったが、思考が研ぎ澄まされていくのを感じる。
私は今持っている最大限の精神力を振り絞り、地面を構成している物質から針を作り出した。そして、それを体に突き刺して、事切れた。
俺はシャープレインの状態を確認した。間違いなく死んでいる。死ぬ直前に上げた叫び声が気がかりではあったが、死んでも動けるような淫魔などいないだろう。
『やっぱりやり過ぎちゃったかな。』
俺は再度、鼓動竜の恐ろしさを感じたのだった。
が、そのとき、背後に強い違和感と不安を感じた。急いで振り返ると、完全に鼓動を停止したはずのシャープレインが立ち上がっていた。
「さっきはよくもやってくれたわね、竜也!!」
彼女は、俺に対する怒りを叫ぶ。
『どうして生きている?鼓動は停止したはずだろ。』
「死んだよ!!
でもね、私には能力がある。まだ理屈は分かんないけど、それを使えば蘇る事だって出来るんだよ!!」
そう叫んだ彼女は、体に刺さっていた針を引き抜いた。その針は黒ずんでおり、地面との接触と同時に砕け散った。
「さあ、ここからが本番だよ!!!」
そして彼女は、俺との闘いを再開した。
纏霊技ー竜の(部位)ーについて
その名の通り、竜の身体の一部を身に纏う技。纏う対象は自身と契約している必要があったり、受けたダメージが直接本人にも返ってくるというデメリットもあるが、使いようによってはそれ相応の力を発揮する。
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