とある鋭き針の物語

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竜也の魔法?

 とりあえず私は、距離をとってみた。何をしてくるかすらわからないのに至近距離にいるのは、正直自殺行為だからだ。
だが、今回の場合はそうではなかったらしい。


『火の息吹!』

彼は息を吸い込み、口から火を吹いてきた。私はどうにかして横に避ける。全速力で動いたあと、背後に熱量が通り過ぎるのを感じる。


「やるじゃない」

『牽制用ではあったが、あれを躱したのはおぬしで二人目じゃ。』

続いて彼は、一気にスピードを落としたことにより若干の隙ができている私にに対して接近してくる。


『これでも喰うがいい!』

そして、思いっきり殴りかかってきた。がしかし、私はその一撃を両手で受け止めた。いつもなら、カウンターとしてストレートをお見舞いする所だが、今回は掴みを入れてみる。


「なるほど〜これが掴みってやつか。このまま………よいしょっ!!」

さらに私は、彼を投げ飛ばす。ちゃんと掴めばここまで簡単に投げを行えるのか…と関心しつつ、彼に追撃を加えにいく。


「隙だらけだよ!おるぁぁ!!!」

続いて私はストレートを加えつつ、反対の手で彼の片足を掴み、地に叩きつける。さらに、彼の両肩に翼を突き刺し、逃げ道を奪う。


『がはっ…痛ってえ。』

「これでトドメだ、おりゃぁ!」

そして、トドメとばかりにかかと落としをお見舞いしようとする。が…


『烈風刃!』

突然、自然現象としては絶対起こらないような強風が吹き荒れる。
もはや斬撃と言える風は、刺さっていた翼を微塵に切り刻み、次に私の体を襲う。


「くっ、」

私は咄嗟に飛び退いた。無理な体勢からの行動には慣れているので足を挫くことはなかったが、地を蹴った方の足は風によってズタズタにされてしまう。

とうの竜也の方は…


『ごほっ、ごほっ、
…やっぱり思考詠唱で烈風刃を使うのは無茶じゃな。脳が擦り切れてしまいそうじゃ。


だから言ったでしょ、思考詠唱は〔12巻き分〕までにしとかないと危ないって。少しは私の力も信用してよ。


なんか面白そうなことしてるじゃないか。


主、いつの間に戻っておられたのですか?


ん?、時空竜が烈風刃を発動した後からかな。一応俺の体だからな。
とりあえずあれやるぞ。準備はいいか?生命竜


はい、いつものあれですね。』



今、誰か別の人と喋ってなかった?気のせいかしら…
彼には疑問しか感じない。そんなことを考えていたら、彼が動き始めた。


『いくぞっ、纏竜!』

その瞬間、彼の身体を竜のような形の模様が包みこむ。その模様は暖かい光を放ち、彼の傷を癒していく。
数秒後には、完全に傷の癒えた彼の姿があった。


『さあ、ここからが本番だ。纏竜の本領を見せてやる!!』

また雰囲気が変わった!?そんなことを考えているうちに、彼の攻撃は始まっていた。



生命竜について

壁画みたいな形をしたペラペラな竜。張り付いた部位の治癒能力を活性化させる能力を持つ。また、単体でも再生技を持っている。

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