とある鋭き針の物語

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バトルロイヤル

 みんなが準備完了したのを見計ったかのように、また別のスタッフが、息を吸い込んだ。


「さあ、それでは始めますよ。
3...2...1...

 スタート!!!」

彼の合図により、この闘いの火蓋が切り落とされた。

 皆一斉に動き出し、それぞれが狙っていた奴を襲い始める。こういうやつでは弱そうな奴から真っ先に消されていくものだが、どうやら私もその〔弱そうな奴〕の1人らしい。
二十数人程が、私に襲いかかって来る。だが私はそいつらの攻撃を、なんの問題もなく躱す。


「そんなんじゃ私には効かないよ!」

続いて私は、鍛え上げたフットワークを駆使して間合いを調整する。


「横ががら空きだよ!!」

そして、がら空きになっている横腹に、強力なストレートを叩き込んでいく。その拳は容易に骨を粉砕し、すぐさま獲物をノックアウトしていく。殺すつもりはないですからね。


『なんだこいつ!? 見た目に合わないほど強ぇ!!』

「私を甘く見てるんじゃないよ!!」

続いて私は、怯えつつも地味にディスっている奴らを、1人ずつ確実に叩きのめしていく。
数秒後、二十数人全てを返り討ちにしていた私は、淫魔とかいう脳筋種族の恐ろしさを実感していた。私の場合〔成長の針〕を刺していたから、一ヶ月間でも通常五ヶ月分に相当するほどの成長を見せているはずだ。そうなると、ここまで普通の魔物が弱く感じるのか...と、感慨にひたってしまう。

はっ!こんなとことで何考えてるんだ、私!?
余計なことを考えていることに気づき、すぐ気を戻す。ついでに周りの様子をうかがってみた。ルール上仕方のないことではあるが、やはり強い奴だけ目立つの絵ができていた。
ふと左側を見たときだった。私は誰かが吹き飛ばされてくるのに気づく。避けるのには間に合いそうもなかったので、その体を正面から受け止めようとするが、予想以上の圧力がかかっていた。少しのけぞってしまったが、被害は最小限に抑えることができた。
一体誰の仕業だ?と思った私は、すぐに正面を向き直す。そこには、明らかに格闘に特化したミノタウロスがいた。


『お前はシャープレイン!?なぜ生きている?』

どうやらあいつは私のことを...、それどころか私が邪神に殴り飛ばされたことも知っているようだ。

一応「あんた誰?」と聞いてみた。


『俺は四天王が1人、〔強打のブロウス〕だ!』

やはり魔王関係者だったか。しかし、私が邪神に勝負を挑んだ時には、こんな奴いなかった。


『俺が買い出しに出ている時に魔王様に戦いを挑むとは酷いじゃないか。』

「あ、そういうことか。だから見覚えがなかったのか。」

しまった。つい思ったことが口に出てしまった。どうやらその言葉は、彼のプライドを傷つけてしまったようだ。


『何だと!?生意気な奴め。今すぐ俺の格闘技で叩きのめしてやる!!』

「いいよ、望むところだ!あんたも他の四天王たちのところに送ってやるよ。」


 まさかこんなところで四天王相手に今のフィジカルがどれくらい通用するかを試せるとは。
私たちはこの闘いに、血をたぎらせていた。



忘れていたメンタルポイントについての補足

•マジックポイントとは違い、手動回復を行うには極端にリラックスした状態を作る必要がある。

•自動回復速度はマジックポイントを遥かに上回る。

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