境目の物語
砂漠の依頼その1
……次の日……
俺たちは依頼人経由でギルドの宣伝をすべく、個々に依頼を受けていた。といっても最初はヘキサら元第六部隊と俺我道さんの二手に分かれ、受ける依頼も簡単なもの。
あ、ちなみに俺が受けたのは、推奨Lv.15【オリックスの角】10本の収集依頼。
オリックスってのはサバンナの地に生息している草食動物で、ちょうど前方200メートルあたりに見える鹿っぽい?やつらだ。依頼書にあった通り、丈夫そうな双角が生えている。
『そろそろ槍の指南を始めるぞ。まずは自分なりに1匹屠ってこい』
「拝承!」
俺は掛け声とともに飛び出す。砂地よりも強く踏み込めるため、デザートワームに突っ込んだ時以上のスピードで駆け寄れる。
風を切るように進み、あっという間に距離を詰める。あちらもさすがに気づいたようで、20匹の群れは逃走を図ろうと四方に散開する。だが魔物でない以上、個々の逃げ足は恐るるに足りない。
「1匹もらいッ!!」
気合いの声とともに、十文字槍を両手で持つ。そしてレイピアのように、水平に突き出す!!!
………のだが、
「うぉっ、重ッ!?」
思った以上に先端が重く、狙いが下に逸れてしまう。
それでも一応、獲物の腹部は貫いた。だが止まれぬままぶつかってしまい、余計なダメージまで受けてしまう。
『ははは、それではダメだな』
嘲笑いながら、着地する我道さん。その際ちゃっかり獲物にとどめを刺すのだが、今そこは重要でない。
『槍は構造上、重力の影響を受けやすい。水平に突くものなら、今のように下へと引っ張られてしまう。実践でそうなれば、あとは言うまでもない』
「あ、ああ……そうだな」
アドバイスを聞きながら、思わず固唾を呑む。下手に隙を見せれば痛手を受ける。それは焦土で何度も体験したことであった。
『それを避けたいならば、下から上へと突き上げる。もしくは強襲斬りの感覚で、降下に合わせて突いてみろ。ほら次2匹、行ってこい』
我道さんは簡潔に説明しながら、次の指示を出す。その動作を意識するよう心がけ、俺は獲物を追い掛ける。
幸いなことに獲物との距離はあまり開いておらず、5秒もすればリーチに持ち込める。
「下から上へ……突き上げるように!!!」
意識を口ずさみながら、構えた槍をやや上へと突き出す。少し上過ぎたため、胴への狙いは少し上へと逸れる。
ただ、それでも重さに体幹が崩れることはなく、突き出した槍は見事に獲物を貫き通す。無論、即死である。
「よし入った、次ッ!!」
成功を噛み締めながら、俺は獲物から槍を抜く。そして一番近くの標的に狙いを合わせ、すかさず高めに飛び上がる。
「よーく狙って……、翡翠斬りッ!!!」
斬ってはいないが、俺は技の掛け声とともに槍を突き出す。
上空からの強襲に技の推進力が乗り、思わぬスピードが獲物を穿つ。
もちろんこれは即死であるが、地上での突きよりはるかに強い。これなら実戦でも有用そうだと、俺は心の内で喜びに震えた。
『さすがだなラグ、15点だ』
いつのまにか側にいた我道さんが褒め………ん?これ褒めてるのか?
判断しかねる言い方をされたが、俺が意味を解すよりも先に、我道さんは言葉を続ける。
『ここからが本番だ。ちょっと殺意出すから怖気付くなよ』
「えっ?殺意って」
ドクッッッ!!!!!!
「うぐッ!!!?」
一瞬何が起きたのかすらもわからなくなるほどの、強力な殺意が解き放たれる。
心臓が音すら立てていそうなほどの脈動を起こし、痙攣した時ような痛みが走る。だがそれでいて、この殺意が引き起こしたのは恐怖ではなかった。
ドタッ!ドタッ!!ドタッ!!!
信じられない事に、獲物の足音が徐々に大きくなっていく。
周囲を見ると、ついさっきまで逃げ惑っていたはずのオリックス達が、血眼でこちらに向かって来ていた。
「なぜだ? あいつら草食動物だろ」
『確かにその通り。
だが今私が放った技は【死活の殺意】。浴びた者は何であろう、強い生存本能および防衛本能が芽生えてしまう。それはもう、外敵を刺し違えてでも生きようとするほどにな』
そんな技があるのかと、いつもなら関心していたいところ。だが今はそうもいかない。
我道さんの言た通りで守りを捨てているらしく、見かけのレベルも20に近い。それが同時に17匹。個々の脅威はそれほどでも、生身で直撃すれば大怪我は間逃れない。
俺は槍を構えなおし、慎重に敵を観察する。なるべく死角を突かれないように、下手な被害を抑えるように。
状況的な問題で、先に仕掛けるのは敵側。一番近くにいた個体が、脇目も振らず直進する。
俺は軌道から逃れるよう右に躱し、隙を逃さずその身を貫く。1匹
ところが死してなお残る推進力に絡まれて、槍ごと体を引っ張られる。
「ちくしょう、突きじゃ相性が悪いッ!」
続く攻撃に対処できないと判断し、槍を手放し剣を抜く。そして突進とのすれ違い様に、致命の一撃を叩き込む。2匹
『それでは槍の指南にならないだろう』
「え、ちょッ!?」
唐突に現れた我道さんに腕をはたかれ、力が緩むと同時に剣を抜き取られる。
さらに間の悪いことに、突進のタイミングが3つもかぶる。
『こういう時は斬ればいい』
我道さんは、瞬時に俺の槍を拾って握り、穂先を合わせて三度薙ぐ。振り方自体は軽そうなのに、その槍捌きは、瞬時に3匹を抉り飛ばしていた。5匹
『次はラグだ、間合いに気をつけて斬れ』
「了解!」
実演の後に槍が渡される。
正直なところ斬る、という単純な動作を思いつけなかったのは、とても恥ずかしい。
だがこれが先入観というもの。名前だけで使い方を限定することが、いかに愚かなものかを知れただけでも、十分な収穫だ。
気をとり直し、槍を構える。
そして向かって来る1匹を、躱しながら丁寧に斬る。6匹
遠心力が乗るからか、剣での一撃よりも楽に斬り通せる。当てることを意識してこれなのだから、きちんと振れば今以上に……!!!
好奇心に気分が高まる。
俺は迎え撃つことをやめ、むしろ敵へと突っ込んでいく。
無論、この行動に戦術的価値はない。こんな脅しが効くほど、生存本能で動くやつは弱くない。
ただ単に、早く馴染ませたい。たったそれだけの意志で、敵の中心へと飛び込んでいく。
そして斬る。
だが近すぎて、柄の部分に当ててしまう。
槍の適性は中距離。根元でも許される剣とは違う。
すかさずそいつを蹴り飛ばし、乱れ狂う他の敵たちを躱す。そしてすれ違い様に槍を振るい、
近すぎる、枝刃が代わりに敵を裂く。7匹
近すぎる、枝刃が代わりに………
近すぎる、枝じ………
「全然うまくいかねえッ!!!」
怒涛のミスに怒りを叫ぶ。
十文字槍の構造上、左右に伸びる枝刃が、まるで鎌のように敵を切り裂いてくれる。屠ることが目的であれば、それだけでも十分だろう。
だが今、俺が決めたいのは斬ることだ。鎌みたな使い方をしたいわけではないから、せめてあとの8匹は、間合いを掴んで斬り倒したい。
「もう少し距離を開けて……!」
突っ込む1匹を大きく躱し、槍を振るって胴を斬る。
入りが浅いと言いたいが、後ろからの突進に意識を優先させる。当たりたくないという前提は、覆すわけにはいかない。
「…っ! ここだッ!!!」
今回は躱した際の間合いがほぼほぼ槍と同じ距離。俺は踏み込んで槍を振るい、見事に敵を斬り裂いた。10匹
『最後は6匹、同時に屠れ』
俺が倒し切れていなかった1匹にとどめを刺していた我道さんから、おそらく最後の指示が出る。11匹
俺は「やってやるッ!」と勇ましい返事を返す。
そして襲い来るうちの1匹に急接近し、
「これくらいかッ!!!」
間合いに合わせ、全力で薙ぎはらう。
槍は止まることなく敵を切断し、次の標的へと向きを変える。12匹
それに合わせて踏み込み、斜め左へと振り下ろす。
槍は敵を叩き斬り、たやすく地へと伏せさせる。13匹
だがこれだけでは飽き足りない。
俺はちょうど右手から来る1匹を捉え、思い切りの斬り上げを喰らわせる。14匹
さらにその身を宙へ浮かせ、下を通らんとする1匹を狩る。15匹
着地した直後も間髪入れず、踏み込みに続く斬り払いで、さらに1匹を葬り去る。16匹
「これであとは1匹のみ!!!」
俺は周囲に目を配り、その1匹を探し出す。ところが背後に見つけたその獲物は、正気に戻ったように逃走を図っていた。
しかしそんなの無駄だ。俺の足が見逃すとでも
『最後は投擲で決めようか』
「えっ!? 投げろって?」
思わぬ指示にリズムが崩れる。しかもなぜか、体だけが投擲を行おうとする。
……で、双方の波長のズレが生み出した結果が、明後日の方向に飛んでいく俺の槍だった。
「あ! 待ってくれーッ!!!」
ーーークエストリザルトーーー
○所持金-【250.c】→【1,050.c】
○評判-達成分と動物虐待分の中和より
気持ち少しだけ上昇
我道さん評価-【15点】
最初だからと妥協はしない。だがこの15点は成長の兆しだ。
突きは必殺の一撃、むやみに出せば破滅を呼ぶ。間合いを掴み、斬りで牽制。【十字槍-妖断】は丈夫に仕立てておいたから、耐久性など気にせず存分に使え。
それと、明日からの1週間は鍛冶の修行で席を外す。師範の予定がそこしか空いてなくてな。
もちろん私が不在だろうと、サボるのは厳禁だ。基本、修練は実戦で行え。新たな技を求めるなら、技術書でも買うといい。無論、すべて自力でな。
以上。
(ryトピック〜依頼の受注について〜
もちろんのことだが、依頼は基本ギルドを通して受注する。ただこの際、そのギルドに所属している必要はない。冒険者であることを証明すれば、依頼自体は受けることができる。
ならなぜ所属の要素があるかと言うと、ギルドからのサービスが受けられるからである。ギルド施設での割引やオススメ依頼の紹介に、報酬額の優遇など………。
ギルドの評判に貢献すれば、その分サービスも充実させられるので、励みの一環としても所属は推奨されている。
俺たちは依頼人経由でギルドの宣伝をすべく、個々に依頼を受けていた。といっても最初はヘキサら元第六部隊と俺我道さんの二手に分かれ、受ける依頼も簡単なもの。
あ、ちなみに俺が受けたのは、推奨Lv.15【オリックスの角】10本の収集依頼。
オリックスってのはサバンナの地に生息している草食動物で、ちょうど前方200メートルあたりに見える鹿っぽい?やつらだ。依頼書にあった通り、丈夫そうな双角が生えている。
『そろそろ槍の指南を始めるぞ。まずは自分なりに1匹屠ってこい』
「拝承!」
俺は掛け声とともに飛び出す。砂地よりも強く踏み込めるため、デザートワームに突っ込んだ時以上のスピードで駆け寄れる。
風を切るように進み、あっという間に距離を詰める。あちらもさすがに気づいたようで、20匹の群れは逃走を図ろうと四方に散開する。だが魔物でない以上、個々の逃げ足は恐るるに足りない。
「1匹もらいッ!!」
気合いの声とともに、十文字槍を両手で持つ。そしてレイピアのように、水平に突き出す!!!
………のだが、
「うぉっ、重ッ!?」
思った以上に先端が重く、狙いが下に逸れてしまう。
それでも一応、獲物の腹部は貫いた。だが止まれぬままぶつかってしまい、余計なダメージまで受けてしまう。
『ははは、それではダメだな』
嘲笑いながら、着地する我道さん。その際ちゃっかり獲物にとどめを刺すのだが、今そこは重要でない。
『槍は構造上、重力の影響を受けやすい。水平に突くものなら、今のように下へと引っ張られてしまう。実践でそうなれば、あとは言うまでもない』
「あ、ああ……そうだな」
アドバイスを聞きながら、思わず固唾を呑む。下手に隙を見せれば痛手を受ける。それは焦土で何度も体験したことであった。
『それを避けたいならば、下から上へと突き上げる。もしくは強襲斬りの感覚で、降下に合わせて突いてみろ。ほら次2匹、行ってこい』
我道さんは簡潔に説明しながら、次の指示を出す。その動作を意識するよう心がけ、俺は獲物を追い掛ける。
幸いなことに獲物との距離はあまり開いておらず、5秒もすればリーチに持ち込める。
「下から上へ……突き上げるように!!!」
意識を口ずさみながら、構えた槍をやや上へと突き出す。少し上過ぎたため、胴への狙いは少し上へと逸れる。
ただ、それでも重さに体幹が崩れることはなく、突き出した槍は見事に獲物を貫き通す。無論、即死である。
「よし入った、次ッ!!」
成功を噛み締めながら、俺は獲物から槍を抜く。そして一番近くの標的に狙いを合わせ、すかさず高めに飛び上がる。
「よーく狙って……、翡翠斬りッ!!!」
斬ってはいないが、俺は技の掛け声とともに槍を突き出す。
上空からの強襲に技の推進力が乗り、思わぬスピードが獲物を穿つ。
もちろんこれは即死であるが、地上での突きよりはるかに強い。これなら実戦でも有用そうだと、俺は心の内で喜びに震えた。
『さすがだなラグ、15点だ』
いつのまにか側にいた我道さんが褒め………ん?これ褒めてるのか?
判断しかねる言い方をされたが、俺が意味を解すよりも先に、我道さんは言葉を続ける。
『ここからが本番だ。ちょっと殺意出すから怖気付くなよ』
「えっ?殺意って」
ドクッッッ!!!!!!
「うぐッ!!!?」
一瞬何が起きたのかすらもわからなくなるほどの、強力な殺意が解き放たれる。
心臓が音すら立てていそうなほどの脈動を起こし、痙攣した時ような痛みが走る。だがそれでいて、この殺意が引き起こしたのは恐怖ではなかった。
ドタッ!ドタッ!!ドタッ!!!
信じられない事に、獲物の足音が徐々に大きくなっていく。
周囲を見ると、ついさっきまで逃げ惑っていたはずのオリックス達が、血眼でこちらに向かって来ていた。
「なぜだ? あいつら草食動物だろ」
『確かにその通り。
だが今私が放った技は【死活の殺意】。浴びた者は何であろう、強い生存本能および防衛本能が芽生えてしまう。それはもう、外敵を刺し違えてでも生きようとするほどにな』
そんな技があるのかと、いつもなら関心していたいところ。だが今はそうもいかない。
我道さんの言た通りで守りを捨てているらしく、見かけのレベルも20に近い。それが同時に17匹。個々の脅威はそれほどでも、生身で直撃すれば大怪我は間逃れない。
俺は槍を構えなおし、慎重に敵を観察する。なるべく死角を突かれないように、下手な被害を抑えるように。
状況的な問題で、先に仕掛けるのは敵側。一番近くにいた個体が、脇目も振らず直進する。
俺は軌道から逃れるよう右に躱し、隙を逃さずその身を貫く。1匹
ところが死してなお残る推進力に絡まれて、槍ごと体を引っ張られる。
「ちくしょう、突きじゃ相性が悪いッ!」
続く攻撃に対処できないと判断し、槍を手放し剣を抜く。そして突進とのすれ違い様に、致命の一撃を叩き込む。2匹
『それでは槍の指南にならないだろう』
「え、ちょッ!?」
唐突に現れた我道さんに腕をはたかれ、力が緩むと同時に剣を抜き取られる。
さらに間の悪いことに、突進のタイミングが3つもかぶる。
『こういう時は斬ればいい』
我道さんは、瞬時に俺の槍を拾って握り、穂先を合わせて三度薙ぐ。振り方自体は軽そうなのに、その槍捌きは、瞬時に3匹を抉り飛ばしていた。5匹
『次はラグだ、間合いに気をつけて斬れ』
「了解!」
実演の後に槍が渡される。
正直なところ斬る、という単純な動作を思いつけなかったのは、とても恥ずかしい。
だがこれが先入観というもの。名前だけで使い方を限定することが、いかに愚かなものかを知れただけでも、十分な収穫だ。
気をとり直し、槍を構える。
そして向かって来る1匹を、躱しながら丁寧に斬る。6匹
遠心力が乗るからか、剣での一撃よりも楽に斬り通せる。当てることを意識してこれなのだから、きちんと振れば今以上に……!!!
好奇心に気分が高まる。
俺は迎え撃つことをやめ、むしろ敵へと突っ込んでいく。
無論、この行動に戦術的価値はない。こんな脅しが効くほど、生存本能で動くやつは弱くない。
ただ単に、早く馴染ませたい。たったそれだけの意志で、敵の中心へと飛び込んでいく。
そして斬る。
だが近すぎて、柄の部分に当ててしまう。
槍の適性は中距離。根元でも許される剣とは違う。
すかさずそいつを蹴り飛ばし、乱れ狂う他の敵たちを躱す。そしてすれ違い様に槍を振るい、
近すぎる、枝刃が代わりに敵を裂く。7匹
近すぎる、枝刃が代わりに………
近すぎる、枝じ………
「全然うまくいかねえッ!!!」
怒涛のミスに怒りを叫ぶ。
十文字槍の構造上、左右に伸びる枝刃が、まるで鎌のように敵を切り裂いてくれる。屠ることが目的であれば、それだけでも十分だろう。
だが今、俺が決めたいのは斬ることだ。鎌みたな使い方をしたいわけではないから、せめてあとの8匹は、間合いを掴んで斬り倒したい。
「もう少し距離を開けて……!」
突っ込む1匹を大きく躱し、槍を振るって胴を斬る。
入りが浅いと言いたいが、後ろからの突進に意識を優先させる。当たりたくないという前提は、覆すわけにはいかない。
「…っ! ここだッ!!!」
今回は躱した際の間合いがほぼほぼ槍と同じ距離。俺は踏み込んで槍を振るい、見事に敵を斬り裂いた。10匹
『最後は6匹、同時に屠れ』
俺が倒し切れていなかった1匹にとどめを刺していた我道さんから、おそらく最後の指示が出る。11匹
俺は「やってやるッ!」と勇ましい返事を返す。
そして襲い来るうちの1匹に急接近し、
「これくらいかッ!!!」
間合いに合わせ、全力で薙ぎはらう。
槍は止まることなく敵を切断し、次の標的へと向きを変える。12匹
それに合わせて踏み込み、斜め左へと振り下ろす。
槍は敵を叩き斬り、たやすく地へと伏せさせる。13匹
だがこれだけでは飽き足りない。
俺はちょうど右手から来る1匹を捉え、思い切りの斬り上げを喰らわせる。14匹
さらにその身を宙へ浮かせ、下を通らんとする1匹を狩る。15匹
着地した直後も間髪入れず、踏み込みに続く斬り払いで、さらに1匹を葬り去る。16匹
「これであとは1匹のみ!!!」
俺は周囲に目を配り、その1匹を探し出す。ところが背後に見つけたその獲物は、正気に戻ったように逃走を図っていた。
しかしそんなの無駄だ。俺の足が見逃すとでも
『最後は投擲で決めようか』
「えっ!? 投げろって?」
思わぬ指示にリズムが崩れる。しかもなぜか、体だけが投擲を行おうとする。
……で、双方の波長のズレが生み出した結果が、明後日の方向に飛んでいく俺の槍だった。
「あ! 待ってくれーッ!!!」
ーーークエストリザルトーーー
○所持金-【250.c】→【1,050.c】
○評判-達成分と動物虐待分の中和より
気持ち少しだけ上昇
我道さん評価-【15点】
最初だからと妥協はしない。だがこの15点は成長の兆しだ。
突きは必殺の一撃、むやみに出せば破滅を呼ぶ。間合いを掴み、斬りで牽制。【十字槍-妖断】は丈夫に仕立てておいたから、耐久性など気にせず存分に使え。
それと、明日からの1週間は鍛冶の修行で席を外す。師範の予定がそこしか空いてなくてな。
もちろん私が不在だろうと、サボるのは厳禁だ。基本、修練は実戦で行え。新たな技を求めるなら、技術書でも買うといい。無論、すべて自力でな。
以上。
(ryトピック〜依頼の受注について〜
もちろんのことだが、依頼は基本ギルドを通して受注する。ただこの際、そのギルドに所属している必要はない。冒険者であることを証明すれば、依頼自体は受けることができる。
ならなぜ所属の要素があるかと言うと、ギルドからのサービスが受けられるからである。ギルド施設での割引やオススメ依頼の紹介に、報酬額の優遇など………。
ギルドの評判に貢献すれば、その分サービスも充実させられるので、励みの一環としても所属は推奨されている。
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