境目の物語

(ry

平原の主

 俺たちが旅の順路に戻ってからは特にこれといった出来事もなく、順調に目的地へと歩みを進めていった。
 その流れが変わったのは、昼飯を食い終わり、旅路に戻ってより1時間ほど進んだ時だった。


「ん?なんだあのでかい奴は。」

 俺たちの視界に、身の丈ほどもある巨大な棍棒をかついだ巨大な魔物の姿が入ったのだ。向き的に分かりづらいが、一つ目のようだ。


「あれはこの平原の主ですね。推奨Lv.25で、この土地では最強の魔物になります」

 ツネさんの言うことには、奴はここで最も強い【サイクロプス種】の魔物らしい。レベル的に下級冒険者には難しく、上級冒険者には弱過ぎて相手にしないという、かなり中途半端なあたりにいる為、ずっと放置され続けているのだとか。

「正直なところ無視してもいいのだが……、ラグ坊はどうしたい?」
「んな事聞かなくても分かるだろ。あいつを倒す!」

俺は強気で返事を返す。

「……でしょうね。
ですが、いまのラグ坊のレベルでは厳しい戦いを強いられてしまうでしょう」
「こんな時のための私たちでしょ、ツネちゃん!」
「はい、その通りです」

 トッキーの言葉に対し、ツネさんは快く返事を返す。

「場の状況もちょうど良いので、連携をやってみましょうか」
「連携?」

 連携といえば…ゴブリンたちがよく使ってくる、集団で計画的に攻めるあれか。

「俺たちは【常連トリオ】だ。トリオと呼ばれる所以をラグ坊にも見せてやらないとな」

 レンさんが気合い充分な感じで口を開く。

「その通りです、レンさん。
今回はいつもの【フォールスファランクス】作戦でいきます。お二人は理解できていると思いますので、ラグ坊には手短かに説明しますよ」
「分かった。なんか強そうな作戦名だな。」

 俺はその【フォールスファランクス】作戦とか言う名前だけで強そうな作戦にワクワクしながら、ツネさんから説明を聞き始めた。





…3分後…



「では皆さん、作戦通りにお願いしますよ」
「おー!」

 ツネさんから作戦内容の確認を受け、俺たちは掛け声で返事をする。

「オラよ、ラグ坊」

俺はレンさんから大剣を渡される。

「そんなちっぽけな剣じゃあ、奴の目を潰せないだろ!」
「そうだな。
……わかった。任せろ!」

 俺はずっしりとした大剣を両手で支えながら意志を示す。

「それでは、作戦開始!!」

ツネさんの一際大きな掛け声に合わせて、俺たちは前進を開始した。



(ryトピック〜レンさんの大剣について〜

真名は【防盗の大剣】
 凄まじいほどの重量をもつ金属を素材に作られており、盗みを働くような奴の筋力にはとうてい持ち上げられないほどの重量を誇る。
 大剣の質としては全く問題ないのだが、重量故にまともに扱えるものはレンさんぐらいらしい。

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