境目の物語

(ry

マジック?それともメンタル?

 俺が一息つくと、後ろの方から彼らの声が聞こえてきた。

「いい戦いぶりだったぜ!ラグ坊」

「一気に強くなるから驚いちゃったよ」

 俺も彼らの方に近寄ると、ほぼ同じタイミングでツネさんも前に出た。


「戦いたいのはよく分かりますけど、ちゃんと戦略を練ってからにしてくださいよ。見てるこっちがヒヤヒヤしてしまいます」

「まあ勝てたんだからいいだろ」

「……ですね」

軽くお叱りを受けたが、ツネさんもそこまで怒っているわけではないようだ。


「ところで話は変わるのですが、ラグ坊はマジックとメンタルどちらなのですか?」

「え?なにそれ」

俺は彼からの質問を理解できていなかった。


「やっぱりギルドマスターは説明をしていないのですか」

「あ、そういえばそれが【精神力】を指しているって事は教えてもらったぜ」

「でもラグ坊がどちらなのかは調べてないのでしょう」

「確かに……」

ここでようやく質問の意味を理解した。


「調べるならやっぱり【魔法陣】を使うのが一番よね。それでいいでしょ、ツネちゃん。」

「ええそうですね。ではトッキー、魔導書を貸してください。」

「いいよ!はい。」

 トッキーはツネさんに一冊の本を手渡す。彼はすぐにそれを開いて俺に見せてくる。そこには円と、その中に線を複雑に書き込んだような図が載っていた。


「これは魔法陣と言って、触れるだけで詠唱無しで魔法を使うことができる優れものなのです。ただし、マジックを扱えなければ何も起きません」

「へぇー、そんなすごいものもあんるだな」

俺は思わず関心する。戦闘中の隙をなくす手段は、何であっても面白いものだ。


「ではラグ坊、これに右手で触れて見てください」

「了解!こうだよな……」

彼から許可が下りたので、言われた通りにそれに触れてみる。




……何も起こらない。


「ラグ坊は【メンタル型】のようですね」

「ちぇっ、どうせなら珍しい方が良かったな〜」

俺は軽く舌打ちをする。


「まあまあ、マジックは極めない限り使い物になりませんし、容量自体が小さいので技があまり使えないなどの欠点もありますから……」

「そうだよラグ坊!私もそれに苦労してるんだから。それに、私は【初期魔法】しか使えないし」

「ええっ!?初期魔法だけ!?どうやって戦ってんだ!?」

俺は思わず驚きの声を上げる。


「それは後のお楽しみ!とにかく今は旅を再開しましょ!」

「それもそうだな。三人共、旅に戻るぜ」

「はぁ…」

 俺はため息をつきつつ、旅を再開する事にした。
 そこからは辺りの魔物と戦って腕を磨きつつ、目的地を目指した。戦闘の際、彼らが手を貸してくれる事はなかったが、それは魔物が弱すぎるからなのだろう。




 ギルドを出てから約10時間後、だいぶ空も暗くなってきたので、ちょうど良い地点にテントを立てて、夜を過ごす事になった。
 いつの間にかツネさんが狩ってきた鹿の肉を焼いて食べながら、今日の成果についての話で盛り上がった。


「…とりあえず【4ミルス(=40kmの事)】は進みましたかね」

「だいぶラグ坊も頼もしくなったな」

「このままいけば、【Lv.23】も余裕で越せそうだね」

「そうなのか!?」

「ああ本当だ。あれだけ剣が振れればたいしたもんだ。あとは盾を活用できれば何の問題もなくなるだろうな」

「盾か……そういえば使ってないな。なら頑張って使いこなしてみせるぜ!」

「そりゃあ頼もしい。だが、無理はすんなよ。ラグ坊は持久力がまだ足りないからな」


 こんな話をした後に俺たちは明日の準備を整えて、テントの中に入った。寝袋に入ると一気に疲れが押し寄せたため、数秒で俺は深い眠りについていたのだった。



ガサッ……



(ryトピック〜能力のパターンについて〜

これに関しては計3通りが確認されている。

○【能力系】……自分の意志で発動させるタイプの能力。その内容は様々であり、日常生活に使えるものから戦闘にしか使えないようなものまである。

○【特能系】……魔法の回路に織り交ぜて扱いタイプの能力。能力タイプの中では最も汎用性が高いが回路が重たくなってしまうため、コスパがよろしくない。ただしコスト削減のパターンもある。

○【概念系】……常時発動しているタイプの能力。コストが無く、能力封じも受け付けない点では優秀だが、内容によっては自身の首すら締めに来る。


 これら3つ全てにおいてレベルの概念が存在しており、上げれば上げるほど制御し易くなったりコスパが良くなったりする。

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