ハーフエルフの少年

リンネ

第34章 古代エルフ魔法

リーフからマナで絵を描く方法を教えてもらった。
これで魔法陣を描けば何か起こるかな?
とにかく実験したい。
でもここでは無理だね。
よし、草原へ行こう。

「ちょっと実験してくる!」

「え?待ってよレナート!」

「キュ?」

ボクは早々と部屋を飛び出した。
そして、町から少し離れたところの草原へと来た。

「レナート...足速い...」

「キュー!」

何故かリーフとスエールも付いて来てた。
よし、どの魔法陣描こうかな?

「とりあえず、安全そうな奴ないかな〜」

「何するの?」

「これで魔法陣描いてみる」

ボクはパラパラと魔道書をめくって行く。
すると、天候変化の魔法陣に目が止まった。

「これにしてみようかな?」

「どれ?」

「天候変化の魔法陣!」

「お、なんか面白そうだね!」

「キュ?」

ボクは早速、魔道書を見ながら鮮明に魔法陣を書き出して行く。
込める属性はとりあえず水。
だから青い魔法陣だ。

「なんか魔道書片手に魔法陣描いてるレナート、かっこいいなぁ」

初めてかっこいいって言われた気がする。

「よし掛けた。あとはこの魔法陣にマナを注ぎ続ければ...」

途端、魔法陣が強く光、光の柱が天高く昇っていく。
瞬く間に青空が一変、黒い雲に覆われ、やがて大雨が降りだした。

あれ...ちょっと雨強過ぎない?

「ぎゃー!レナート止めて〜!」

「キュー!」

「ひぃ!えっと、止め方わかんない!」

「マナの注入やめればいいんじゃないの!?」

「あ、うん!」

マナの供給を遮断して、魔法陣は消えた。
雨も弱まったけど、まだ降り続いてます。

「レナート!晴れの魔法陣!」

「あ、そっか!」

また同じ魔法陣を描きだす。
今度は火属性だ。
赤い魔法陣が浮かび、今度は送るマナを先ほどの半分くらいで注ぐ。

すると、雨は上がり、ところどころ太陽の光が差し込み、やがて雲は晴れていった。

「ずぶ濡れ...ごめんね...ヘックシン!」

「でも凄かった!ヘックシン!」

「キュー!」

ともあれ、これで古代エルフ魔法の使い方もわかった。
あとは戦闘でいかに魔法陣を描くかだけど、描いてる暇あるかなこれ。

「宿に帰ろう?」

リーフの提案で、そろそろ宿に戻る事にした。
いろいろ試したいなぁ。


宿の入り口に着くと、ちょうど兄ちゃん達も帰ってきたところだった。

「お、レナート!雨大丈夫だったか〜?ってずぶ濡れだな」

「それにしても変な雨だったにゃ〜。いきなり降っていきなり晴れるにゃんて」

「あはは〜ほ、本当にそ、そうだね」

ボクは自分のせいだとは言えずとりあえず誤魔化す。

「レナートのせ、ウグッ!」

「リーフ風邪引く前に着替えようか!」

リーフの口を塞いでよそよそと、宿に入っていく。

「なんだ?」

「わかんないにゃ」

「キュ...」

「お、スエール魚食うか?」

「キュー!」


そして、翌日。
ボクは風邪でダウンしました。
リーフは大丈夫みたい。

兄ちゃんには今日は休んで明日船に乗ろうと言われたけど、断った。

「出航だ!」

船長さんかな?
声が聞こえて船が進みだす。

「ケホッケホッ!」

「おい大丈夫か〜?」

「平気...」

平気じゃないけど。
自分の魔法で体調崩した。
なんか恥ずかしい。

「ハーフエルフって病気に弱いって聞いたことあるにゃ」

「え?そうなの?大丈夫?レナート」

「うん、大丈夫」

リーフが心配そうな目で見てる。
なんか情けなくなってきた...。

「ごめん、ボクちょっと寝るね」

「ああ、ゆっくり休んでな」

「スリーブ」

自分に魔法をかけて夢の中へ。

「って魔法で寝んのかい!」

兄ちゃんの突っ込みは残念ながら聞けずに意識を手放した。



どうも、ボクはリーフ。
昨日の雨が原因でレナートが風邪を引いちゃった。
自業自得と言えば仕方ないけど。
ハーフエルフって身体弱いんだね。

「さて、外の空気でも吸ってくるか」

ギンの兄さんはそう言うと客室を出ていった。
ヘレナ姉ちゃんもそれに付いてった。

もしかしてあの2人、恋人?
けど、ボクには関係ないか。

「キュー...」

「ご主人が心配かい?」

スエールはレナートの側を離れようとしない。
うん、いいドラゴンだね。

「よし、ボクは船内を探検してこよう!
スエール、レナートを頼むよ!」

「キュー!」

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