ハーフエルフの少年

リンネ

第19章 北門より〜契約の遺跡〜

兄ちゃんとヘレナへ。
ちょっとエルフの里に行ってきます。
場所は訳あって教えられないけど、必ず戻って来るから待っててください。

ってな置き手紙があってレナートは居なくなっちまった訳だが、どんくらい待てばいいんだよ。

「アンさん顔怖いにゃ」

「だってよ...」

「レナちゃんにはにゃにか考えがあると思うにゃ」

「それにしたって、一言くらいあってもいいだろ?」

「きっと言えば無理にでも付いて来ると思ったからじゃにゃいかにゃ?」

「付いてっちゃいけねぇのかよ」

わけわかんねぇ。

「必ず戻るって書いてあるにゃ」

「けどよぉ...」

「弟の事信じてあげるにゃ!
レナちゃんにはレナちゃんの事情があるにゃ」

まぁそれもそうか...
必ず戻るって書いてあんだ。
帰ってきたらちゃんと迎えてやらねぇとな。

んで、一発説教だな!



エルフの北門から道成に歩く事数十分。
洞窟のような入り口が見えてきた。
いや、洞窟なんかじゃない。

「遺跡だ」

「キュー」

躊躇わずに遺跡の中へ入ると、決して広くはない空間になにやら文字が刻まれてる。

「これは...古代エルフ文字だ」

エルフの血を持つものしか読めないと言われてる。
ボクは目に魔力を集中させると、ぼんやりと読めるようになった。

「キュ?」

トナ...エヨ...『ワレ...ケイヤク...ヲノゾ...ムモノナ...リ』

「我、契約を望む者なり」

壁が光り出した!
あたりが揺れ、光ってる壁が徐々に開いて行く。

「これって...なにかと契約するって事?
それで魔神に対抗できるのかな?」

「キュー!」

スエールが行こう!と言わんばかりに声を上げてる。
そのまま中へ進んで行く。

魔物の気配はない。
でも、なんか強い魔力を感じる。
ただ、エルフのそれじゃない。

なんだろう?

「キュー...」

「スエール?」

どうしたんだろう。
急に怯え出した。

こんな事今までなかったのに。

「ここで待ってる?」

「キューキュー」

首を横に振った。
やっぱり言葉わかってるんだね。

「じゃあ頑張って?
中に入ったら隠れてていいから」

ボクは再び歩き出す。
そして、最深部らしき所に出ると、1つの祭壇ごある。

「少年、なにしにここへきた」

「へ〜エルフじゃなくてハーフエルフがここに来るなんて何百年振りだろう?」

「オイラ的にどっちでもいいんだけどね〜」

「久し振りの客人ですよ皆さん」

なにもいないのに声だけ聞こえる。
いや、居ない訳じゃない。
魔力のかたまり。四大元素の属性魔力の集合体だ。

「我は火を司る精霊、イグニス」

「ボクは風の精霊の、シルフだよ!」

「オイラは大地の精霊、ノームだ!」

「私は水の精霊、ウンディーネと申します」

族長さんが行けばわかるって言ってたけど、まさか精霊とは思わなかったな。

「汝何故ここにきた」

火の精霊が訪ねる。
なんか硬いなぁこの人...人じゃないか。

「魔神に対抗する術を探しに、ここにたどり着きました」

「魔神が出たんだ」

風の精霊はなんか軽い。
子供っぽい?ボクも子供だけど。

「そんでオイラ達と契約したいわけか〜なるほどね〜」

地の精霊はチャラい...。

「今失礼な事考えただろ!オイラにはわかるぞ〜」

「あなたは魔神がどう生まれるかご存知なのですか?」

水の精霊は言葉が丁寧だ。
綺麗だし...。

「ハーフエルフの成れの果てですよね」

「そうそうー魔神とはいえ同胞と戦う事になるよーいいのー?」

やっぱりチャラいノーム。

「あんなの、同胞じゃない。それにボクは魔神になる気もない」

「えっとーそこは聞いてないよ?」

苦笑いする風の精霊シルフ。

「よかろう、我らと契約を交わすに値するか否か、ここで試させてもらう」

イグニスさん顔怖いです...ん?
試す?

「力を示していただきます。武器を取りなさい」

「えぇー!?戦うの!?」

「行くぞ」「行くよ!」「いっくぞー!」「行きます」

と、精霊達が同時に叫んだ。
って4対1でしかも精霊って!!

「業火に飲まれろ!フレイムストーム!」

いきなりですかイグニスさん...

「タイダルウェイブ!」

水の魔法で相殺させる。が、

「大地の咆哮!グランドダッシャー!」

すごい地響きと共にボクの足元の地面が割れ、中から無数の岩が飛び出てくる。

「フライト!」

空中に逃げるしかないよねこれ。

「唸れ烈風!サイクロン!」

空中に上がれば竜巻!?

「なら、エクスプロージョン!」

爆発で竜巻もろとも!

「荒れ狂う流れ、スプラッシュ!」

と思ったら水で消されました。
ひどいです。これイジメです。

「テレポート、乱舞!」

もう接近戦だ!
ってあれ?攻撃してこなくなった?
まぁいいや簡単には止まらないし。

「奥義!乱舞、一閃!」

各精霊に鋭い突きを食らわし、

「終焉...」

今思えばこの技結構反則?
でも気にしない!

「見事...」

「驚いた〜剣術と魔法の合わせ技なんて見た事ないよ!ボク興奮しちゃった!」

「オイラは最初から見抜いてたよ!この子相当やるなってな!」

「私達全員、あなたの契約を認めます。
契約の誓いをここに」

なんか、トントン拍子で話が進んで行くなぁ。

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