ハーフエルフの少年

リンネ

第15章 新たな仲間〜Aランククエスト〜

「ん...」

人攫いから逃れて数時間歩き続けたボク達。
もうすぐ鉱山の街、フロートまで辿り着く。
だけどね...凄く眠いんだ。

「んで俺はレナートに着いてくと決めたわけだ!」

「にゃーその弟さんと照らし合わせてるわけにゃ!」

「いや、でもレナートはレナートだ!」

あーなんか2人で意気投合してる。
これまでの経緯?話してるみたいだけど...ダメだ頭に入って来ないや。

「それに戦闘はめちゃくちゃ強いけど子供な部分があってな〜」

「例えばどんなとこにゃ?」

あぁ...限界...眠い...。

「夜遅くまで修行つけてくれた時の帰りに、眠気に勝てずドサっと倒れて」

ドサっ

「そうこんな風な音がしたな」

「キュー!」

「って倒れてるにゃ!」

「あ、そういやもう夜遅いんだった」

「クゥ〜....」

「本当に寝てるにゃ」

「とにかく宿まで急ごう!」



翌日。
ボクが起きた時には、ギン兄ちゃんは出かけて居ないみたいだ。

「キュー」

「おはようスエール」

昨日は散々だったな〜。
そういえばヘレナさんはこれからどうするんだろう。
昨日は夜遅いからこの街に泊まるって言ってたけど、もうどこか別の場所に旅立っちゃったのかな。

「お!レナート君起きてるにゃ!」

全然そんなことありませんでした。
普通に居ました。

「おはよう、ヘレナさん!」

「キュ!」

ボクに続いてスエールも挨拶をする。
挨拶でいいんだよね?

「レナート君!話があるにゃ!」

顔近い...。
ベッドにあがりこんで身を乗り出すのはいいけど、めちゃくちゃ顔近い。

「アタイも仲間に入れて欲しいにゃ!」

「顔近いです...」

「あ、これは失敬したにゃ」

ヘレナさんは少し下がった。
えっと、つまり一緒に旅したいって事かな?

「ダメかにゃ?」

「ボクは別にいいんだけど、どうして?」

「アタイ、行くとこも行きたいとこも別ににゃいし、ただ生きていければいいと思ってたにゃ!そんな時アイツらに捕まって、もう人生諦めモードだったにゃ」

思いっきり脱出しようとかしてたじゃん。
初めて会った時も口布剥がしてきたし。

「それでにゃ!レナート君に助けられて、今ここにいる。
だからアタイはもうレナート君のものにゃ!」

なんか言ってる事がめちゃくちゃな気がするんですけど...。

「だからアタイを仲間に入れて欲しいにゃ!」

「さっきも言ったけど、別にボクはいいよ?」

別に断る理由もないし。

「ありがとにゃ!レナート君が大きくなったら結婚しよう」

「スエールご飯だよ〜」

「キュー!」

「どっから出てきたにゃそのミルク!
そしてアタイの告白をスルーしたにゃ...」

聞こえない〜
ともあれ、新しく仲間に加わったヘレナさん。
獣人族でBランク冒険者だ。

「それからアタイの事はヘレナって呼び捨てにするにゃ!さん付けは距離間感じで嫌だにゃ!」

「えーっと...ヘレナ...」

「それでいいにゃ!」

「さん...」

「にゃー!」

だって急なんだもん!
急に呼び捨てボク無理〜!

「レナちゃん!呼び捨て!」

「なんでちゃん付け...?」

「かわいいからにゃ」

なんかもうどうでもよくなってきた。
そうだ、ヘレナさんならギン兄ちゃんの居場所わかるかな?

「ねぇヘレナさ「呼び捨て!」」

グムム...

「ヘレナ...兄ちゃんはどこに言ったの?」

「あーアンさんなら鍛冶屋行くって言ってたにゃ」

あーそっか。
あのドワーフの人が今日来いって言ってたもんね。

「アタイもこれから装備を新調してくるにゃ!」

と言った途端にサササッと部屋から出て行ってしまった。

「猫ってのんびりやな性格だよね...普通」

「キュー?」



ひとりで宿に居ても仕方ないのでギルドで討伐クエスト受けました。
もちろんスエールも一緒です!

「久々に頑張るぞー!」

「キュー!」

今回のクエスト内容は、森林深部での奇妙な呻き声の調査、及び危険と判断した際討伐。
ランクは万全をとってAランクだそうだ。

「スエール、ボクを乗せて飛べる?」

「キュキュ!」

おー任せろって感じだね。
ボクはスエールの背中に飛び乗った。

「大丈夫?重くない?」

「キュー!」

「そんなに軽い?」

「キュ」

あーちなみに言葉はなんとなくわかる。
完全にわかるわけじゃないけどね。
やがて、スエールはボクを乗せたまま空に飛び上がった。

「ボクも飛行魔法で飛べるんだけど、昔魔力切れになって大怪我しちゃったからちょっと怖くてさ」

「キュ?」

「うん、大丈夫。このまま森の奥まで飛んでって」

「キュ!」

さて、呻き声って何が居るのかな?
ボクとスエールは森の奥へとどんどん飛んで行く。

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