ハーフエルフの少年

リンネ

第7章 Sランク冒険者〜Aランク冒険者〜

ドラゴンは討伐できた。
あの後ボクは意識を失って、気が付いたらまたギン兄ちゃんの部屋だった。
どれぐらい眠っていたんだろう。
とりあえず、起き上がろう。

「痛ッ!」

怪我、治ってない。
でもこのぐらいなら大丈夫。

「あっ...」

ドサッ

立ち上がった瞬間目眩がして、おまけに足に力が入らなかったせいで倒れた。
痛いし...。

ガチャ

ドアが開く音がする。

「レナート!?」

ギン兄ちゃんか。
凄い勢いで駆け寄って来た。

「大丈夫か?目覚めたんだな!」

「うん...ただ、なんか目眩するし、足に力入らなくて」

「そりゃそうさ。レナートは1週間寝っぱなしだったんだぞ?」

1週間!?
うわぁボク寝すぎ〜

「まぁ無理ないって。大怪我してたし、魔力も多分使いすぎたんだろう?」

「あれ?魔力使いすぎたってわかる?」

「レナートなら、怪我しても回復魔法で治せんだろ?
でもあの時はそれをしなかった。それに...」

ギン兄ちゃん以外と鋭い。
うん、あの時はもう回復する魔力はなかった。

「髪、真っ白になってるから」

「え?」

「ほら、鏡」

鏡を渡され、自分の髪を見てみると、金髪だった髪が全部白くなってる。

「...」

「だ、大丈夫!その髪の色も似合っててかわいいぞ!」

「あ、髪は別に気にしてないよ」

「なら、いいんだけどさ。あ、そうそう。ギルドマスターのおっさんが元気になったらギルドに来てくれって言ってたぞ」

あーそっか。
ドラゴンは倒したけど、ギルドに報告してないんだった。

「まぁ今日は安静にして、動けるようなら明日にでもギルドに行こうぜ!」

「うん」

安静にか。
魔力は戻ってるから回復魔法使えばすぐ動けるようになるけど、まぁギン兄ちゃんがああ言ってるからその通りにしよう。


翌日。
ボクは起きるなり回復魔法を自分にかけ、すっかり良くなった。
今はギン兄ちゃんと宿で朝食をとっているところだ。

「おかわり!」

「まだ食うのか...?」

「だってお腹空いてるんだもん!」

「これでパンとスープ5杯目だぞ...前そんなに食わなかっただろうが...」

「ん〜なんでかな?」

(あんな小さい身体のどこに入っていくんだ?
ハーフエルフたる所以なのか...?)

なんかギン兄ちゃんがジト目で見てる。
でもお腹空いてるんだもん。



朝食を食べ終え、ボク等はギルドへと来た。
ギルドマスターに奥の部屋へ案内され、適当に座ってくれと言われ、ソファに腰掛ける。

「レナート君、まずは無事でよかった」

「ご心配をおかけしました」

「騎士団は全滅、そして君はあのドラゴンを追い詰め深傷を負った」

「大したことないですよ」

「そして、ギン」

「ん?」

「お前が駆け付けなかったら今頃はこの子が死んで、ドラゴンも野放しとなっていただろう」

「まぁぶっちゃけレナートに修行つけてもらってなかったら傷ひとつつけられなかっただろうよ」

「ともかく2人とも良くやってくれた!
そこで、報酬だが白金貨2枚を2人に授ける」

「「...えぇ!?」」

ボクとギン兄ちゃんは同時に驚いた。
白金貨なんて大金過ぎて目が回る。

「それから、ギルドマスターアークの名の下、冒険者レナートをSランクに任命する」

「へ?」

あーなんか聞き間違えかな?
うん、きっとそうだ。

「レナートすげぇ!Sランクだってよ!」

あぁ...聞き間違えじゃなかったんだ...。
ボクがSランク...? えーボクが?
なんかの間違えじゃないかな?
そもそもギルドに登録して1ヶ月もたってないんだよ〜

「おーいレナート〜?」

「Sランク...sランク...ブツブツ....」

「ダメだ固まってる」

「そしてギン、お前は今日よりAランクだ」

「はっ...?」

「ギン兄ちゃんAランク!やったね!」

「Aランク...aランク...ブツブツ...」

「おーいギン兄ちゃ〜ん?」

あちゃー固まってる。
きっと嬉し過ぎて固まっちゃったんだね!

「おまえら揃いも揃って同じ会話を交互に繰り返すな。兄弟かっての」

ギルドマスターのアークさんが呆れてる。

「まぁとにかく、ふたりとも今回は助かった。
改めて礼を言おう」

そしてボクはSランクに。
ギン兄ちゃんはAランクの冒険者となった。



さて、草原へやってきました!
何故って?
ギン兄ちゃんがAランクとして相応しいように修行の続きをつけてくれって言われたからです。

「頼んどいてなんだけど、身体は大丈夫か?」

「うん、全然問題ないよ!」

「無理はすんなよ?」

「うん!じゃ今日は模擬戦ね!」

「おう!あーでも俺今武器ねぇぞ?
ドラゴンの戦闘で折れちまった」

「大丈夫ここに木剣用意したから!」

「準備いいな...」

まぁこうなる事は読んでたし、武器は壊れてるの知ってたからね!

「ボクは魔法使わないから剣術だけの勝負ね〜」

「了解!」

「じゃあいくよ!」

ボクは猛スピードでギン兄ちゃんに迫る。

「相変わらず早い!だが...」

カキン!

木劍とは思えない音が鳴り響く。

「見えた!」

「へぇ〜兄ちゃん強くなってる」

「てりゃ!」

ギン兄ちゃんが蹴りを繰り出すもスッと後ろへ引いて交わす。
すかさず撃ち込んでくる。

キン! キン!

お互い隙がなく撃ち合いは続く。

「なんで、レナートって、隙、ないんだー!」

「せい!」

「くっ」

一瞬の隙を突いて攻撃したら顔をかすっただけだった。
うん、回避も上手くなったね!

「くっそーまだまだ!」

また激しく撃ち合いは続いた。
3時間くらいしただろうか?
ボクはちょっと体調が悪くなってきた。
けど、楽しいからもう少し続けたいな。

「がーくそ!全然隙がねぇ!ってかかすり傷だらけじゃねぇか俺!」

「でも前よりだいぶ良くなってるよ〜」

「どうせまだ本気出してねぇだろが...」

「バレた〜?」

「バレバレだっつーの」

「てへ」

「...打ち込みづらくなったぞ今」

へ?どうしてだろう?
まぁそんな事より、もっと飛ばしてみよう!

「どんどんいくよ〜!」

一気に間合いを詰める。

「なっ!さっきよりはえぇ!」

そう、さっきよりも早く!

「ぐっ!」

カキン!

また激しく音が鳴る。
攻撃を仕掛けては防がれ、その隙を狙い、その隙をカバーして攻撃に転じる。
お互いにそれが繰り返される。

「うりゃ!」

あ、目眩が...

カツン!

ボクの木剣は弾かれ、飛んで行った。

「あれ?なんか今手応えが...」

あ...ごめんギン兄ちゃん。
ちょっと限界かも...

ドサッ

「っておい!レナート!」

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