俺達の居場所は、闘いだけだ

八頭

第3話 剣闘士として

 
……王の間の扉前

俺とマルクは並んでその扉を見つめる。

「さてと、入るぞ。イング」

「わかっている。……おい、開けろ」

「はっ!」

俺の一言により扉前の監視兵が扉を開ける。

********

「おやおや。来たようですね~」

イラッ。
ほんとにムカつく言い方をする参謀さんだな。

「イング・ラッテ。マルク・ボールド。よくぞ来た」

「「ははっ」」

国王の前、片膝をついて頭を低くする。

国王の隣には2人の従者。
左には参謀のズリマ。
右には騎士団団長のヨタ。

ズリマの奴が居るのが気に食わない。

「お前らあ!稽古は順調かー?」

団長まで声がデカい。
最悪なもんだ。

「稽古は順調であります」

心の中で軽く叩いてる俺をよそにマルクは平然と答える。
よく発言出来るもんだな。

「オホンっ。そなたらを呼んだわけだが」

国王の一言で静寂な空気となる。

「イング・ラッテとマルク・ボールド、そなたらに明日決闘してもらいたい相手がいる」

……は?決闘?
なんでこんなタイミングで。

「国王、それはどういうことですか?」

マルクの声が若干だが興奮している。
……憎たらしい平和頭だ。

「オルド・バーンズとテーラス・モルキだ」

団長が告げる。
その言葉になにやら重みを感じた。

「オルドとテーラスはシャクル村で有名な剣闘士さんですね~ククク」

この参謀であるズリマの言い方がムカつく。
一生そう笑っとけ。

「オルドとテーラスと言えばタッグで参加しているバカどもじゃないか」

「こら!イング。国王にむかってその口は!」

「いい。マルク・ボールド。イング・ラッテはいつも通りに話しているだけ。いいではないか」

「ですが……」

俺の口調に文句があるマルクを国王が制すという謎な状況。
俺はただ国王を俺の主として認めてないだけだが。
所詮は飼われた犬だからな。

「受ければいいのか?それを」

俺の問いに国王が頷く。

「いいだろう。こちらから条件がある」

「なんだろうか?イング・ラッテ」

空気が張り詰める。
どうやらズリマが身構えているようだ。

「その闘いに勝ったらカラリバ公国への外出を許可しろ」

――――――――

俺の言葉に一時の静かな時間。
国王は眉間にシワを寄せる。

断れば国王の元から去ればいいだけ。

そう思いつつ国王を見つめる。

「いいだろう。許そう」

仕方ないと言わんばかりにいう国王。
とりあえず許可は取れた。
後は勝つのみ。


[小さな猛獣]。
そいつと闘うためだけ。
それのみが目的であることを知りつつも。



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