いつだって僕の感情は欠落している

零猫

2

高校に入って延々と進路について話される毎日にうんざりしながら、窓の外を眺める。
窓際の、後ろから2番目。そこが俺の今の席 
だ。

我ながら良い引きだと思った。顔にこそ出さなかったが、心の中では結構喜んでいた気がする。いや、喜びというより、ただ運がいい、と思っただけかもしれないが。

席替えの日、覚えているのは2つだけで、1つは引きの良かった事。もう1つは周りにいたパリピとかいう奴らが煩かった事くらいだ。

俺は所謂陰キャ属性というもので、放課後誰かと遊んだり、勉強を一緒にしたり、そんな青春めいたことはしていない。

朝が来て、学校に行って、帰ってきて。
気が向いたら勉強をして、風呂に入って寝る。
そんな面白みのない毎日にだんだん嫌気がさしてくるが、しょうがない。

今俺たちが生きている現在というものは俺たちにとっては変えられないものであって、これからもそれは変わらないであろう。
春が来て、夏が来て、秋冬が終わればまた春が来る。それと同じだ。

この世界は、繰り返しで成り立っている。

もちろん、全てが同じ繰り返しではない。
誰かが死ねば、誰かが生まれる。
誰かが夢を叶えれば、誰かが挫折する。
夢と現実の狭間で揺蕩っている奴も居れば、バリバリのエリートリーマンになってる奴だっている。
この世界に、何もかも同じなやつなんて存在しない。

生憎、現実世界にドッペルゲンガーはいないのだ。
 

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