異世界薬師~嫁ぎ先は砂漠の王国です~

なつめ猫

チョコレート事件(13)




「と、とりあえず! その商人の方に会ってみましょう!」
 
 まずは相手がどんな人か見てみる必要がある。
 もしかしたら、私の愛くるしさにチョコレートをくれるかもしれないし……。
 でも着いてはいかないけど。
 お金についてはあとで考えるとしましょう。

「いいの?」
「はい! 何事にも物事にはタイミングと言うものがありますから!」
「タイミング? 何の言葉か分からないけど貴族って難しい言葉を使うのね」

 ジェニーさんが、私の頭をナデナデしながら語り掛けてくるけど、子供扱いするのは止めてほしい。
 体は10歳だけど、中身は前世を含めると25歳の大人なのだからとか思いつつ「体は子供だけど! 頭脳は大人!」と、言うアニメのセリフを思い出し思わず苦笑してしまう。
 そういえば異世界に転生してきてからアニメや漫画を見ていない。
 以前は、お金がないから普段から家の生活とか家内で出来る刺繍とかでお金を稼いでいて忙しかったからあれだけど……。

「とりあえず、お会いしましょう」
「お、おい! 大丈夫なのか? クリステルが町にいるかも知れないんだろう? もしかしたら食堂に居るかもしれないぞ?」

 ブラウンさんも心配性ですね。
 お母様が、大衆食堂に来るわけないじゃないですか。
 それとも、あれですか? お母様がニナさんと共謀して商人のフリをして大衆食堂に来ているとでも?
 
 ――まったく……、そんなことあるわけが……ある訳が……あるわ……。
 
「お嬢様、お久しぶりでございます」

 るんるん気分で調理場から食堂に出た私はジェニーさんに案内されるように着いていって――、お母様とバッタリと目が合った。

「はわわわわ。お、お母様……。それに……、に、ニナさんも……」

 ジェニーさんの方を横目で見ると、「ごめんね!」と、ウィンクしている姿が――。 
 どうやら私は売られてしまった模様。

「――ど、どうして、ここに……」

 お母様の両手が伸びてくると私の両頬を強く引っぱってくる。
 しばらくしてから手を離すと。

「どうしてじゃないわ。貴女は何を考えているの?」

 本当のことを言うと怒られそう。
 自分へのご褒美の為とか言っても何か言われそう。・
 ここは、きちんとした理由を説明するべき。

「お母様。私は、カカオを探していたのです」
「そんな事を私は聞いていないわ。貴女は何を考えているの? と聞いたのよ?」
「えっと……」
「カカオは体に良いのです――、痛い痛い」
「――それで、本当の理由は?」
「ニナさんの教育が辛くて逃げてきました。ついでにチョコレートの原材料のカカオの実を探していたり……」
「そんな事だと思っていたわ。シャルロットは貴族には向いていないものね。天真爛漫だから――。誰に似たのかしら?」
「クリステルに似たんじゃないのかしら?」

 横からボソッとジェニーさんが呟いていた。
 お母様に視線を向けられると「仕事しなきゃ!」と、別のお客さんの所へ移動してしまった。
 ひどい! 援護するなら最後までして!

「とにかく! 王族に嫁ぐことを決めたのは誰だったかしら?」
「……私です……」
「そうよね? 自分で決めたのよね?」
「は、はい……。で、でも――、お母様……、周りには人がいっぱいいるのです……」

 お説教は別の場所に移動してやってほしい。
 
「そうね。つい約束を違えたから――」

 お母様とニナさんに連れられて薬師ギルドまで連行された。
 連れて行かれたところは、薬師ギルドの応接室。
 
 
 

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