太陽の為に生きる月
Newborn moon 〜18〜
「…あのね、僕は…あれからずっと後悔してるんだ。
なんであの時部屋に戻ったんだろう、戻らなかったら一緒にシェルターに行けたはずなのに…そうしたらお兄ちゃんは死なないで済んだかもしれない、僕たちが見たあの夢も嘘だって言えたのにって…。」
今のところお兄ちゃんは僕の言葉を黙って聞いている。
いつもなら沈黙を恐れたりして相手の反応を伺いながら話す僕だけど、今だけは何も気にせず言葉が口から出てくるのに任せた。
「…あの夢を忘れていたのをずっと後悔してるんだ...。
あの時…あの襲撃の日、僕はお兄ちゃんに部屋に戻れって言われて素直に戻った...戻ってしまった…。
あの夢を覚えていたら、僕は絶対に戻らなかったのに…何がなんでもお兄ちゃんのそばにいたのに...!
僕があの夢を...自分が見た夢を忘れていたからお兄ちゃんはいなくなっちゃった...覚えていたらお兄ちゃんは生きてたはずなのに...!なんで...!」
遂に言葉が溢れ出る想いに追いつかなくなって言葉が止まり、僕はしゃくり上げることしか出来なくなった。
そんな僕を見てお兄ちゃんはどう思ったのか、それは分からない。
けど、お兄ちゃんは再び僕の髪を撫でながらこう言った。
「…お前は確かにあの夢を忘れた。俺も忘れていた。
お前は忘れて部屋に戻ったことを後悔しているみたいだが、俺はお前を部屋に戻して良かったと思っている。つまり、俺は後悔していないよ。」
その言葉を聞いて、僕は顔を上げてお兄ちゃんをじっと見た。
「…どうして、後悔してないの?
僕が戻ったりしなければ、お兄ちゃんは生きていられたかもしれないのに…?
お兄ちゃんは、生きたくなかったの?」
そう問いかけると、微かにお兄ちゃんの瞳が悲しみに揺れたように見えた。
でもその揺らぎはすぐに消え、決意ある強い瞳に変わった。
「…生きたかった、まだ生きていたかった。お前の隣で、お前を守って…紘斗と光樹と騒がしい日々を過ごし続けると信じて疑わなかった。
…でも、お前をあの時部屋に戻したから…お前は生き長らえたと俺は思っている。
俺の生きている意味は、お前を守ることだった。お前を守ってその末に死んだなら、後悔なんかあるはずない。
…これが俺の選んだ運命だ。」
揺るぎなく強い瞳をしながらも、お兄ちゃんは優しく微笑んだ。
それを見て僕は悟った、お兄ちゃんにはまだまだ敵わないなと。
「…そっ、か…そうなんだね。
お兄ちゃんがいないのはすっごく寂しい、でも…お兄ちゃんが後悔していないなら、僕も頑張って前を向く。
このままじゃ、僕お兄ちゃんに死ぬまで追いつけないから。
お兄ちゃんの守ってくれたこの命、無駄にしないからね。」
それを聞いてお兄ちゃんは満足げに微笑んで頷くと目を閉じた。
時間切れなのかもしれない、それでも僕はお兄ちゃんと話せて嬉しかった。
…今まで前を向けなかった、お兄ちゃんがいない世界なんか生きていても仕方ないとどこかで思っていたのかもしれない。
でも、それはもうやめるんだ。
前を向いてしっかり歩く、お兄ちゃんの守ってくれたこの命を有意義に使うんだ。
僕は和希くんの体を抱きしめたままそう決意した。
なんであの時部屋に戻ったんだろう、戻らなかったら一緒にシェルターに行けたはずなのに…そうしたらお兄ちゃんは死なないで済んだかもしれない、僕たちが見たあの夢も嘘だって言えたのにって…。」
今のところお兄ちゃんは僕の言葉を黙って聞いている。
いつもなら沈黙を恐れたりして相手の反応を伺いながら話す僕だけど、今だけは何も気にせず言葉が口から出てくるのに任せた。
「…あの夢を忘れていたのをずっと後悔してるんだ...。
あの時…あの襲撃の日、僕はお兄ちゃんに部屋に戻れって言われて素直に戻った...戻ってしまった…。
あの夢を覚えていたら、僕は絶対に戻らなかったのに…何がなんでもお兄ちゃんのそばにいたのに...!
僕があの夢を...自分が見た夢を忘れていたからお兄ちゃんはいなくなっちゃった...覚えていたらお兄ちゃんは生きてたはずなのに...!なんで...!」
遂に言葉が溢れ出る想いに追いつかなくなって言葉が止まり、僕はしゃくり上げることしか出来なくなった。
そんな僕を見てお兄ちゃんはどう思ったのか、それは分からない。
けど、お兄ちゃんは再び僕の髪を撫でながらこう言った。
「…お前は確かにあの夢を忘れた。俺も忘れていた。
お前は忘れて部屋に戻ったことを後悔しているみたいだが、俺はお前を部屋に戻して良かったと思っている。つまり、俺は後悔していないよ。」
その言葉を聞いて、僕は顔を上げてお兄ちゃんをじっと見た。
「…どうして、後悔してないの?
僕が戻ったりしなければ、お兄ちゃんは生きていられたかもしれないのに…?
お兄ちゃんは、生きたくなかったの?」
そう問いかけると、微かにお兄ちゃんの瞳が悲しみに揺れたように見えた。
でもその揺らぎはすぐに消え、決意ある強い瞳に変わった。
「…生きたかった、まだ生きていたかった。お前の隣で、お前を守って…紘斗と光樹と騒がしい日々を過ごし続けると信じて疑わなかった。
…でも、お前をあの時部屋に戻したから…お前は生き長らえたと俺は思っている。
俺の生きている意味は、お前を守ることだった。お前を守ってその末に死んだなら、後悔なんかあるはずない。
…これが俺の選んだ運命だ。」
揺るぎなく強い瞳をしながらも、お兄ちゃんは優しく微笑んだ。
それを見て僕は悟った、お兄ちゃんにはまだまだ敵わないなと。
「…そっ、か…そうなんだね。
お兄ちゃんがいないのはすっごく寂しい、でも…お兄ちゃんが後悔していないなら、僕も頑張って前を向く。
このままじゃ、僕お兄ちゃんに死ぬまで追いつけないから。
お兄ちゃんの守ってくれたこの命、無駄にしないからね。」
それを聞いてお兄ちゃんは満足げに微笑んで頷くと目を閉じた。
時間切れなのかもしれない、それでも僕はお兄ちゃんと話せて嬉しかった。
…今まで前を向けなかった、お兄ちゃんがいない世界なんか生きていても仕方ないとどこかで思っていたのかもしれない。
でも、それはもうやめるんだ。
前を向いてしっかり歩く、お兄ちゃんの守ってくれたこの命を有意義に使うんだ。
僕は和希くんの体を抱きしめたままそう決意した。
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