不完全な僕達の戦争
無力
昼休み、俺は2年生のクラスをはなれ、3年生のクラスへと来ていた。心配だったので、花宮も誘って。
「あ、先輩っ!!」
「おぉ!宗介君!…と、叶ちゃん♡」
俺が手を振ると、山田(やまだ)千愛(ちえ)先輩が元気よく表れた。
茶髪の髪は肩にあるかないかぐらいで、いつもパーカーを着ている。
「あれ?朔間(さくま)先輩は何処ですか?」
朔間先輩とは、いつも山田先輩といる先輩のことで、山田先輩と付き合っている。
そして、朔間先輩は俺のクラスメイト陽向の兄である。
「あぁ、淳(しゅん)ならすぐ来るよ」
「あ、そうですか」
「それにしても、久しぶりだねー叶ちゃん!!相変わらず、可愛いね」
山田先輩は花宮をハグすると、全力で撫で始めた。
花宮も突然のことに、されるがままだ。
「おいっ!千愛、あんまり後輩を困らせるなっ!!」
山田先輩をひっぱり、花宮から離したのはさっき話した朔間先輩だ。
「あ、ごめんねー叶ちゃん」
「まったく、千愛はくっつきすぎなんだよ」
「んん?もしかして、ヤキモチかな?そうだよねー淳はツンデレだもんねーごめんねー」
すかさず、山田先輩は朔間先輩にくっついた。
嫌がる朔間先輩などお構いなしに、くっつく山田先輩。そんな2人の光景を俺と花宮は笑いながら見ていた。
同い年に友達がいない俺は、唯一この先輩達が話せる人だった。それは花宮も同じで、先輩達は力関係なく接してくれた。それは本当に嬉しかった。
「──そういえば、そろそろ『あれ』だね」
突如山田先輩は、真面目な顔をし呟いた。
それと同時に花宮の顔色が変わる。
「ごめんね叶ちゃんは、あまりかんがえたくないことだったよね。でも、これだけは考えておかないとね」
俺も心臓の鼓動が早くなるのを感じる。
2年の2学期、避けることは出来ない重大なもの。
『異能力強者、決定戦』
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