Red&Wolf

キロ

another story

いつだって見守ってくれていた狼さん。
昔から私の味方だった。
そんなこと貴方は知らないだろうけど。

誰にもバレないように隠れて赤ずきんを見守っていた。
赤ずきんを助けてあげたかった。
そんなこと、君は気づいていないだろうけど。



初めて狼さんと会った時、嬉しかったんだ。
やっと私の味方に会えたんだから。
でも少しだけ驚いてしまったんだ。

初めて赤ずきんの前に出た時、君はとても驚いた顔をしていた。
そんなに驚かせるつもりは無かったのだが…



狼さんだけだった。
私の事を人間だと言ってくれたのは。

赤ずきんだけだった。
俺の事を心優しい人だと言ってくれたのは。



みんなの人形でいることはつらかったんだ。
苦しかったんだ。
悲しかったんだ。

俺はただ…あの街から赤ずきんを救いたかっただけなんだ。



もう私は…人形であることを辞めたの。
私は意志のある人間なの。
私はずっとずっと…狼さんと一緒にいたいんだ。

俺は……ずっと君のそばにいたい。
その為なら何だってしてやる。
それで悪者になっても構わない。



初めて伝えた私の狼さんへの気持ち。
狼さんは受け取ってくれましたか?

伝わったよ。
赤ずきんの……気持ち。
受け取ったよ。
こんな俺を愛してくれてありがとう。



決めたんだ。
俺は赤ずきんを幸せにするって。
だから…さ?
「俺と…結婚してくれないか?」

その答えは決まっている。
それ以外の返答があるわけない。
「こんな私でよければ、よろしくお願いします。」



深い深い森の中。
小さな家の中で私たちは住んでいる。

誰にも見つけられないような場所で生きている。



愛しい娘はいつも『赤ずきん』の話を聞きたがる。
みんなが知っているようなお話じゃない赤ずきんを話す。

それは俺達が経験したお話。
俺と赤ずきんの物語。

誰にも語れない…私達だけの物語。







素敵な素敵な狼さんへ

いつも私を見守ってくれてありがとう。
気づいていましたよ。
狼さんが私をずっと見守っていたこと。
その時から狼さんのことが気になっていたんです。
だから会えた時とっても嬉しかったの。
毎日毎日楽しい日々を過ごせました。
ありがとう。
貴方は最高の旦那さんです。
これからもよろしくお願いします。
愛してます。

赤ずきんより




素敵な素敵な嫁さんへ

手紙なんて書かないから緊張してる。
変なところがあっても許してくれ。
君と出会えてよかった。
君を幸せにしたいって気持ちは今も変わりはしない。
ずっと俺のそばにいてくれ。
約束だからな?
2人……いや…3人で幸せになろうな?
…ちょっと恥ずかしくなった。
俺が言いたいことはこれだけだ。
愛している。

狼より








~Red&Wolf another story 完~

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