黒い楽園

彦星

第1章

西洋の少し肌寒い屋敷に住んでいる少女の名はレディアといった。年は今年で11歳になったばかりだ。家の財は腐るほどあったし、屋敷の中も外にも様々な花という花が争う様に咲き乱れていた。とても優秀な家庭教師もいたし彼女も賢かった。容姿も美しすぎて妬まれたことすらない。しかし、彼女は年相応に笑っていなかった。彼女は傷ついていた。それも様になってしまう。彼女の美しさに心酔した侍女のため息にうんざりしつつ、誰も傷つけない様、母の為と、母の為と、何もないふりをしてただ耐えていた。

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