魔王の息子が勇者のパーティーに入りました。

にゃしゃ

6話 勇者パーティーとの再開

リアンは、父さんには小さいころ教えて貰ったことのあるとても重要な情報を思い出した。

――確か、父さんは……。

魔王リリス『村下界の住民の負の感情から出てくる負の魔力が魔族にとっては力となる。
その魔力は初め空中を漂い、やがて魔界へと移行するのだ。
 つまり、魔界では負の魔力が大気中に散布している。
反対に、村下界では良い行いをした時に出る、正の魔力が大気中に散布しているのだ。』

こんなことを小さい頃父さんに教えて貰った気がする……。

――もしかして……これのせいで『浮力』や他の魔法は使えなかったのか……??

となると、状況は最悪だ。
俺が覚えていたスキルは下級スキルの暗視と、その他スキルは、魔界秘伝の負の魔力を多く使う上級魔法なのだ。

「スキル無しで周り敵だらけとか……無理ゲーかよ。」

苛立ちをからかつい弱気な言葉が出てしまった。

身体能力は多少あるとは言え、村下界にもこのぐらいのやつはいるはずだ。
魔王の息子と知れば、殺される……。

「死か。」

きっと今の身体能力が弱まっているのも
魔界では負の魔力を知らぬ間に借りていたからだろう……。

魔族だからといって正の魔力が使えない訳では無いが、負の魔力より力はかなり劣る。

――今から覚えるにも呪文が知らねぇーしなぁ。

「今勇者に会えば一巻の終わりってか……ハハッ笑えるけど笑えねぇ。」

「殺される……か、そんなの嫌d――」

「――おーい、ここら辺か〜???」

何やら聞き覚えのある声が聞こえてきた。
瞬時に尻尾を服の中に押し込む。
戦闘時は引っ込めとくのが常識だ。
掴まれるかもしれないからな。

武器はない。

ので、小さな石ころを掴んだ。

――バカか俺!?
我ながら滑稽過ぎる姿が惨めに思える。

「うんうん!!この当たりだったはずだよ!!」

明るい声が段々と近ずいてくる。

「本当ですか?弱い奴がいう言葉はやはり信用なりません。」

「はぁ???バカにすんじゃねぇー!!」
絶対聞き覚えのある声だ……。

――まさかな……?
その思いと現実が同じことを確認する前に――。

「――君、大丈夫ですか?」

俺が見つかった。

――!?

ゆっくり後ろを向きながら思考するリアン。
気配は全く感じられなかった……。
何故だ?俺が見逃した??
魔王の息子だぞ?
聴力は身体能力の内に入るはずだ……。

俺は眼球が痛くなるほど目を見開きながらそいつの顔を見上げる。

――やっぱりな……。

目の前にいたのは『あの』勇者パーティーだった。

コメント

  • 結月  五紀

    もう少し話に深みをつけた方がいいですよ

    1
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