ACT(アクト)~俺の婚約者はSな毒舌キャラを演じてる…~
人間向き不向きってものがあるんです……
『奏太君……たすけて……』
なごみからの助けを求めるラインを受け取り、すぐさま電話を掛けながら家を飛び出した俺だったが……
「紛らわしすぎだろ……」
「ご、ごめんね……」
そんな俺は今現在、助けを求めてきた本人を前に頭を抱えて溜め息をこぼしているところ……。
「まぁ、とりあえず何事もなくて良かったけど……」
なごみからのラインを受け、家を飛び出したのがつい30分前。
結論から言おう。俺の恋人、波志江なごみは誰かに拉致られたり、暴行を受けたり、何かの事件に巻き込まれたわけではなかった。まぁ、あの紛らわしいラインに関していろいろと言いたいこともあるが、とりあえずそれは置いておくとして……。
今現在の俺にとって問題なのは、むしろ彼女が俺に助けを求めた本当の理由の方だった……。
「ごめんね……。でも、私、同級生の友達に『遊びに行きましょう』って誘われるの初めてで、どうしていいか分からなくて……」
モジモジし、言いにくそうにしながら遠慮がちに告げられた彼女からのお願い。それは……
「そ、奏太君、同級生の友達との休日の遊び方、教えてくれない、かな?」
どうやら先日友達になった下之城優奈から一緒に遊びに行こうと誘われたらしいのだが、初めての経験で、何をどうすればいいか分からず、俺に助けを求めたらしい。
「いや、お前の気持ちはよく分かる。だがな……」
同級生と学校外で会って何を話せばいいのか? 会話が止まってしまったらどうすれば? そもそもどこで何をすればいいんだ? もし粗相をしたら嫌われるかも……等々。初めてのことを目の前にし、不安が尽きることはないだろう。
俺自身、同じような経験があるからよく分かる。だが……
「相談する相手、間違えてね?」
「え……?」
確かに俺にも同級生の友達はいますよ?
でも一人ですよ!? 一人!! オンリーワンだよ?
しかも休日遊びに出掛けたことなんて数えるほどですよ!? アドバイスできるような経験値持ってるわけねぇじゃん!!
「いや、力になってやりたいのは山々なんたが、如何せんその分野は俺も得意なわけじゃないというか……」
自分の恋人が相談してきてるんだ。俺だってなんとか力になってやりたい。
だが、とんちんかんなアドバイスを贈るわけにもいかんし……。
「ううん! いいの、いいの!! ごめんね、変な相談して!! 奏太君にだって難しいことあるよね!!」
でも、なごみが相談できる相手なんて俺以外にはいないわけで……いや、待てよ!?
「初めてで不安だけど、私なりに頑張ってみ――」
「なごみ! 大丈夫だ!!」
俺は、これ以上心配をかけまいと無理な笑顔を浮かべて振る舞う彼女の言葉を遮り、たった今思いついた名案を口にした。
「確かに俺はお前の期待に応えられるようなアドバイスを贈ることはできんし、俺如きが下手なアドバイスを贈ってもむしろ逆効果だ!!」
「う、うん。だから私は自分で――」
「そういうのが得意な奴にアドバイスを貰いに行けばいいんだよ!!」
「え?」
俺は自信満々にニカッと笑って見せた。
「で、でも、私の素の性格知ってる人なんてほとんどいないし、奏太君の友達にだって……」
そう。この相談は誰にでもできる訳じゃない。条件はなごみの素の性格を知っていて、かつ信頼できる人間。加えてできれば同性である女子の方が望ましい。
つまり、俺の唯一の友である陽平はダメ。
「ああ。そんなことは百も承知だ!――居るんだよ! なごみの事情を知ってて、かつ信頼できる、俺となごみの共通の知り合いが!!」
「そ、そんな人……いるの?」
居る。居るのだ。社交的で友達も多く、俺ともなごみともよく知る仲で、しかも女子!! 逆に彼女以上に今のなごみの相談相手として相応しい人物がいるだろうか?……いや、いない!!
「よし! 善は急げだ! 早速ソイツのところに行くぞ!!」
「え!? ちょっ、奏太君!?」
俺は勢いよく立ち上がると、戸惑うなごみの手を引き、その相談相手の居場所へと向かった。
なごみからの助けを求めるラインを受け取り、すぐさま電話を掛けながら家を飛び出した俺だったが……
「紛らわしすぎだろ……」
「ご、ごめんね……」
そんな俺は今現在、助けを求めてきた本人を前に頭を抱えて溜め息をこぼしているところ……。
「まぁ、とりあえず何事もなくて良かったけど……」
なごみからのラインを受け、家を飛び出したのがつい30分前。
結論から言おう。俺の恋人、波志江なごみは誰かに拉致られたり、暴行を受けたり、何かの事件に巻き込まれたわけではなかった。まぁ、あの紛らわしいラインに関していろいろと言いたいこともあるが、とりあえずそれは置いておくとして……。
今現在の俺にとって問題なのは、むしろ彼女が俺に助けを求めた本当の理由の方だった……。
「ごめんね……。でも、私、同級生の友達に『遊びに行きましょう』って誘われるの初めてで、どうしていいか分からなくて……」
モジモジし、言いにくそうにしながら遠慮がちに告げられた彼女からのお願い。それは……
「そ、奏太君、同級生の友達との休日の遊び方、教えてくれない、かな?」
どうやら先日友達になった下之城優奈から一緒に遊びに行こうと誘われたらしいのだが、初めての経験で、何をどうすればいいか分からず、俺に助けを求めたらしい。
「いや、お前の気持ちはよく分かる。だがな……」
同級生と学校外で会って何を話せばいいのか? 会話が止まってしまったらどうすれば? そもそもどこで何をすればいいんだ? もし粗相をしたら嫌われるかも……等々。初めてのことを目の前にし、不安が尽きることはないだろう。
俺自身、同じような経験があるからよく分かる。だが……
「相談する相手、間違えてね?」
「え……?」
確かに俺にも同級生の友達はいますよ?
でも一人ですよ!? 一人!! オンリーワンだよ?
しかも休日遊びに出掛けたことなんて数えるほどですよ!? アドバイスできるような経験値持ってるわけねぇじゃん!!
「いや、力になってやりたいのは山々なんたが、如何せんその分野は俺も得意なわけじゃないというか……」
自分の恋人が相談してきてるんだ。俺だってなんとか力になってやりたい。
だが、とんちんかんなアドバイスを贈るわけにもいかんし……。
「ううん! いいの、いいの!! ごめんね、変な相談して!! 奏太君にだって難しいことあるよね!!」
でも、なごみが相談できる相手なんて俺以外にはいないわけで……いや、待てよ!?
「初めてで不安だけど、私なりに頑張ってみ――」
「なごみ! 大丈夫だ!!」
俺は、これ以上心配をかけまいと無理な笑顔を浮かべて振る舞う彼女の言葉を遮り、たった今思いついた名案を口にした。
「確かに俺はお前の期待に応えられるようなアドバイスを贈ることはできんし、俺如きが下手なアドバイスを贈ってもむしろ逆効果だ!!」
「う、うん。だから私は自分で――」
「そういうのが得意な奴にアドバイスを貰いに行けばいいんだよ!!」
「え?」
俺は自信満々にニカッと笑って見せた。
「で、でも、私の素の性格知ってる人なんてほとんどいないし、奏太君の友達にだって……」
そう。この相談は誰にでもできる訳じゃない。条件はなごみの素の性格を知っていて、かつ信頼できる人間。加えてできれば同性である女子の方が望ましい。
つまり、俺の唯一の友である陽平はダメ。
「ああ。そんなことは百も承知だ!――居るんだよ! なごみの事情を知ってて、かつ信頼できる、俺となごみの共通の知り合いが!!」
「そ、そんな人……いるの?」
居る。居るのだ。社交的で友達も多く、俺ともなごみともよく知る仲で、しかも女子!! 逆に彼女以上に今のなごみの相談相手として相応しい人物がいるだろうか?……いや、いない!!
「よし! 善は急げだ! 早速ソイツのところに行くぞ!!」
「え!? ちょっ、奏太君!?」
俺は勢いよく立ち上がると、戸惑うなごみの手を引き、その相談相手の居場所へと向かった。
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