それでも俺は異世界転生を繰り返す
〈expiry point 2-Disaster Again〉 七話
食事が終わっても家に居座ろうとする優帆。俺の部屋に行こうとするので、妨害するだけでも一苦労だ。
「なんでダメなのよ!」
「いい年した女子高生が男の部屋に行こうとするんじゃない!」
「はあ? 別にいいじゃない、私たちの仲なんだし。なんなら今度私の部屋に遊びに来てもいいよ。今までずっとそうしてきたんだし」
「あーうーん。それはそれ、これはこれだ。今日はちょっと日が悪い。次の機会に入れてやるから今日はやめておいてくれ」
「きたねーなー」
「べ、別に使用済みのティッシュとか転がってねーから!」
「そういう意味で言ったんじゃないんだけどね」
「先読みスキルがアダになったか……」
「まあでも入って欲しくない理由があるんならやめとくかな。アンタに嫌われたいわけじゃないし」
「そうしてくれるとありがたい」
「ちゃんと埋め合わせはするんだぞ」
「なんで俺が悪いことになってんだよ。いいけどさ」
こうして、なんとか阻止することができた。
普段はギャルギャルしてて悪ぶる時もあるが、基本的な部分は昔と変わらない。聞き分けがよくて察しがいい。こういうヤツだから上手くやって来られたんだと思う。
それを考えると、一時期口もきかなくなったのがなぜか。それがよくわからない。
リビングで俺、双葉、優帆とでカードゲームをしたりで時間を潰した。
時計を見て「そろそろ帰るか」と優帆が立ち上がる。だいたいこういう時は宿題がとか、なにか用事がある時だ。そうでなければずっと居座ろうとする。
玄関までついていった。クセみたいみたいなものだが、よくよく考えれば知った家なのだから送り出す必要もない。
「もうちょっと遊んでたかったんだけどな」
玄関を出て、彼女がこちらに振り向いた。
「また来ればいいだろうが」
「ちゃんと私の相手してくれるんでしょうね?」
「暇だったらな」
「それじゃダメ。絶対相手してくれなきゃ困る。じゃないと私が暇になる」
「お前は友人のギャルたちとどこか遊びに行けばいいだろうが。人のこと散々オタクだのなんだのと言っておいて……」
「それはそれ、これはこれ。友達と遊ぶのも好きだけどゲームも好きなの」
「はいはい、わかったわかった」
「……だもん」
「あん? なんだって?」
「なんでもない! 私帰るから! さっさと部屋に戻って自家発電でもしてろ!」
顔を真っ赤にして走っていってしまった。なんなんだよアイツ。しかも自家発電ってヒドイな。
確かに優帆は可愛い部類だと思う。でも女として見ることは難しい。いや、男としてみているわけじゃないんだけど。やっぱり長い間友人としてやってきたせいで、彼女の仕草を可愛いと思っても、ドキドキしたりはできないみたいだ。
双葉が風呂に入ったのを見計らって、余った食事をフレイアに持っていった。
「妹、ご飯作るの上手だよね」
「そりゃあな。母親に代わって食事を作ることも多かったし、両親が出張でいなくなってからはずっと作ってる。元々手先が器用ってのもあるだろうが」
「こっちにいる間は食事には苦労しなさそうね」
「口に合ったようでなにより」
「そういえばね、イツキに言い忘れてたことがあるのよ」
「言い忘れてたこと?」
「メインジョブとサブジョブとの関係」
「サブジョブに設定しておくとアーツとかが取得できるんじゃないのか?」
「それだけじゃないんだなこれが。ジョブには基本ジョブと複合ジョブがあって、特定の組み合わせでメインジョブとサブジョブを設定すると複合ジョブにできるの。まあそれにはメインとサブ、両方とも一定以上のアーツとアビリティを取得してないと無理だけどね」
「確かに、ジョブレベル的なのは一切ないな」
「そういうこと。いずれイツキも複合ジョブを選ぶこともあるだろうし、覚えておいて損はないわ」
「フレイアは複合ジョブじゃないんだよな?」
「魔術師のアーツが足りないかな。そのうちなると思うよ」
フレイアは言いたいことを言い終えたのか食事に戻った。
食事が終わればあとは風呂か。隠し続けるのも楽じゃない。今日の出来事も含め、この際全部ぶちまけてしまいたくなる。
双葉ならば全部受けとめてくれると思うが、俺が異世界とこっちの世界を行き来してて、しかもそのトリガーが死だと知れれば今度は双葉が死んでしまう。
死という現象に慣れつつある今も、死に対しての恐怖と痛みはどうやっても変わらない。何度か行き来はしているけれど、これがいいことだとも思わない。でも、きっとそうもいかない。
考えることは山ほどあって、でも俺一人が考えたからってどうにかなるもんでもない。
俺に必要なのは三つ。「ハローワールドのセーブ&ロードを上手く使うこと」と「周囲の人間を上手く使うこと」。それ以上に「ハローワールドを隠し通すこと」なんだ。
「なんでダメなのよ!」
「いい年した女子高生が男の部屋に行こうとするんじゃない!」
「はあ? 別にいいじゃない、私たちの仲なんだし。なんなら今度私の部屋に遊びに来てもいいよ。今までずっとそうしてきたんだし」
「あーうーん。それはそれ、これはこれだ。今日はちょっと日が悪い。次の機会に入れてやるから今日はやめておいてくれ」
「きたねーなー」
「べ、別に使用済みのティッシュとか転がってねーから!」
「そういう意味で言ったんじゃないんだけどね」
「先読みスキルがアダになったか……」
「まあでも入って欲しくない理由があるんならやめとくかな。アンタに嫌われたいわけじゃないし」
「そうしてくれるとありがたい」
「ちゃんと埋め合わせはするんだぞ」
「なんで俺が悪いことになってんだよ。いいけどさ」
こうして、なんとか阻止することができた。
普段はギャルギャルしてて悪ぶる時もあるが、基本的な部分は昔と変わらない。聞き分けがよくて察しがいい。こういうヤツだから上手くやって来られたんだと思う。
それを考えると、一時期口もきかなくなったのがなぜか。それがよくわからない。
リビングで俺、双葉、優帆とでカードゲームをしたりで時間を潰した。
時計を見て「そろそろ帰るか」と優帆が立ち上がる。だいたいこういう時は宿題がとか、なにか用事がある時だ。そうでなければずっと居座ろうとする。
玄関までついていった。クセみたいみたいなものだが、よくよく考えれば知った家なのだから送り出す必要もない。
「もうちょっと遊んでたかったんだけどな」
玄関を出て、彼女がこちらに振り向いた。
「また来ればいいだろうが」
「ちゃんと私の相手してくれるんでしょうね?」
「暇だったらな」
「それじゃダメ。絶対相手してくれなきゃ困る。じゃないと私が暇になる」
「お前は友人のギャルたちとどこか遊びに行けばいいだろうが。人のこと散々オタクだのなんだのと言っておいて……」
「それはそれ、これはこれ。友達と遊ぶのも好きだけどゲームも好きなの」
「はいはい、わかったわかった」
「……だもん」
「あん? なんだって?」
「なんでもない! 私帰るから! さっさと部屋に戻って自家発電でもしてろ!」
顔を真っ赤にして走っていってしまった。なんなんだよアイツ。しかも自家発電ってヒドイな。
確かに優帆は可愛い部類だと思う。でも女として見ることは難しい。いや、男としてみているわけじゃないんだけど。やっぱり長い間友人としてやってきたせいで、彼女の仕草を可愛いと思っても、ドキドキしたりはできないみたいだ。
双葉が風呂に入ったのを見計らって、余った食事をフレイアに持っていった。
「妹、ご飯作るの上手だよね」
「そりゃあな。母親に代わって食事を作ることも多かったし、両親が出張でいなくなってからはずっと作ってる。元々手先が器用ってのもあるだろうが」
「こっちにいる間は食事には苦労しなさそうね」
「口に合ったようでなにより」
「そういえばね、イツキに言い忘れてたことがあるのよ」
「言い忘れてたこと?」
「メインジョブとサブジョブとの関係」
「サブジョブに設定しておくとアーツとかが取得できるんじゃないのか?」
「それだけじゃないんだなこれが。ジョブには基本ジョブと複合ジョブがあって、特定の組み合わせでメインジョブとサブジョブを設定すると複合ジョブにできるの。まあそれにはメインとサブ、両方とも一定以上のアーツとアビリティを取得してないと無理だけどね」
「確かに、ジョブレベル的なのは一切ないな」
「そういうこと。いずれイツキも複合ジョブを選ぶこともあるだろうし、覚えておいて損はないわ」
「フレイアは複合ジョブじゃないんだよな?」
「魔術師のアーツが足りないかな。そのうちなると思うよ」
フレイアは言いたいことを言い終えたのか食事に戻った。
食事が終わればあとは風呂か。隠し続けるのも楽じゃない。今日の出来事も含め、この際全部ぶちまけてしまいたくなる。
双葉ならば全部受けとめてくれると思うが、俺が異世界とこっちの世界を行き来してて、しかもそのトリガーが死だと知れれば今度は双葉が死んでしまう。
死という現象に慣れつつある今も、死に対しての恐怖と痛みはどうやっても変わらない。何度か行き来はしているけれど、これがいいことだとも思わない。でも、きっとそうもいかない。
考えることは山ほどあって、でも俺一人が考えたからってどうにかなるもんでもない。
俺に必要なのは三つ。「ハローワールドのセーブ&ロードを上手く使うこと」と「周囲の人間を上手く使うこと」。それ以上に「ハローワールドを隠し通すこと」なんだ。
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