それでも俺は異世界転生を繰り返す
〈actuality point 2ーOne loss〉 九話
一時間、二時間と洞窟の中を歩き、モンスターを倒し、クリスタルを採取。俺はちょいちょいみんなに混じって攻撃をしているだけなのだが、それでもレベルは58になった。最初の方はレベルが上がりやすかっただけなのか、ここに来て若干渋くなっているような気がする。
いや、ほとんどなにもしてないんだから上がらないのは当然だけれども。
フレイアが俺の顔を覗き込んできた。
「なんだよ」
「ううん、なんでもない。ダンジョンは疲れる?」
「そりゃまあそこそこ。普通の生活ではダンジョンになんて入らないしな。疲れたと言ってもいいかもしれん」
「もっと素直になろうよ……。おーけー、ちょっと待っててね」
大きな水たまりがある場所で、フレイアが急に休憩を申し出た。間違いない、俺が「疲れた」と言ったからだろう。
十分から二十分ほどの休憩に入る。ヒュンタイク姉妹、メディアとグランツ、そして俺とフレイアという三つのグループでテキトーな場所に座った。
「そういえばアビリティとアーツの説明をまだしてなかったわね」
「アビリティと、アーツ?」
フレイアがライセンスを取り出したので、それに習って俺もライセンスを取り出した。
「そう。前教えたように、ライセンスの縁を横縦ってなぞってみて」
言われた通りにすると、半透明のモニターがカードの前面に出てきた。
「このアビリティ&アーツってところを触ってみて」
フレンド、ギルド、アウトフィット、アビリティ&アーツ。前二つはそのままだが、アウトフィットは装備、アビリティ&アーツは取得技能だ。
アビリティ&アーツを触ると、いろんな枠が出現した。大まかにわけて右がアビリティ、左がアーツのようだ。
「アビリティっていうのはジョブごとに設定された特殊能力のこと。ジョブのレベルを上げていけば取得できる。イツキの場合は拳闘士だから、〈瞬歩〉や〈強打〉っていうアビリティがあるはずよ。〈瞬歩〉は一定の位置から一瞬で相手の懐に潜り込む、〈強打〉っていうのは攻撃力が上がる。アーツというのはメンタルポイントを使用して使える必殺技のこと。魔法はそのアーツに分類されることが多いわ。と言っても、魔法も魔術、法術、妖術、呪術なんかの総称なんだけどね。で、アーツはAスキルと同じように見えるけど、アーツもまたジョブに依存し、そのジョブレベルが上げていけば誰でも覚えられるわ。Aスキルは自分だけの強力な奥の手、みたいな感じに考えてもらえればいいかな。その奥の手がアーツよりも弱いとか使い勝手が悪いみたいな事例も多いけどね」
そのあとで「あーははっ」と笑ってはいたが、Aスキルが弱い人は笑い事じゃないんだろうな。
「魔術とか法術とかの違いをちょっと教えてはくれまいか」
「なにその口調、まあいいけど。魔術っていうのは攻撃に特化したモノ、法術は回復とか障壁とかなにかを守ったり補助したりっていうモノ、妖術は幻を見せたりモンスターを操ったりできる、呪術は相手の動きを鈍くしたり徐々に体力を奪ったりする。他にもまああるんだけど、基本的にこの四つ以外は取得する人少ないからなぁ」
「他にはどんなのがあるんだ?」
「そうだな、ゾンビとかを使役したり幽霊を扱う霊術師、言葉を具現化させる語術師、錬金をなりわいとする錬術師とかかな。こういうのは一般生活でもかなり使いづらいし、相当レベルを上げないと、戦闘で使えるようにはならない。錬金術で金を作るとかは夢物語で、石とか木の形を変えたりだとか、拳大の大きさの石を指先くらいの銅にするとか? 銅にするのにだってかなりの魔法力が必要だし、レベルも相当高くないと無理なの」
「結構シビアなのな、その辺」
「まあまあ、そんなもんよ。簡単にお金は生成できないってね。語術師だって、言葉を発して相手の動きを止めたりするんだけど、言霊を習得するのに何年もかかったりする。何年も修行したのに、自分よりレベルが高い相手にはまず通用しない。そんなもの、自分から進んで覚える人なんてまずいない。だから忘れてもいいよ」
「なるほど、よーくわかった。で、話を戻すんだがそのアビリティとかアーツってどうやって使うんだ?」
「アビリティ&アーツの項目を開いてるよね? 今は黒字になってるけど、アビリティとかアーツを指で触って、黒字が白字になれば使えるわ。アビリティはメンタルポイントを消費せずに付け替えが可能。そのジョブについてる人やそのジョブをマスターした人ならば使えるPスキル。アーツも同じ、ただしメンタルポイントは消費する。見慣れないものや新しいものは、長押しすると技の内容が見られるよ。おーけー?」
「おーけーおーけー」
俺が今使えるのを見てみよう。
【アビリティ】
〈瞬歩〉一瞬で相手の懐に入り込む。
〈強打〉攻撃力が上がる。
〈見切り〉低確率で相手の一秒先が見える。
〈発熱〉体温を上げることで寒冷地での戦闘や水中での戦闘を有利に進められる。
〈柔の呼吸〉身体を柔らかくする呼吸法。
【アーツ】
〈絞め落とし〉首を締めて意識を失わせる。
〈リバーショック〉高確率で気絶させるリバーブロー。
〈スウェー〉状態を反らして攻撃を避ける
〈ダッキング〉相手の攻撃に対して潜り込んで近付く。
〈連転脚〉飛び上がりながら右足、左足の連続蹴り。
〈魔光波〉拳を振りかぶることで、数メートル先まで魔法弾を飛ばす。
〈烈昂拳〉拳による連打。連打数が多くなるほど攻撃力があがり、メンタルポイントの消費も上がる。
〈崩激掌〉魔法力を込めた強烈な掌底を胸に打ち込む。呼吸を一瞬止める効果がある。
「この魔法力っつーのはあれだよな? 俺がいつも身体を強化してるみたいな感じの? オーラ的な?」
「そう、それでいいよ。魔法力っていうのは、簡単に言うとメンタルポイントを消費することで使える。冒険者なら誰でも使えるけど、身体の強化をするなら法術を使った方が効率がいいし、攻撃をするのならば魔術を使った方が効率がいい。つまり魔法力っていうのは全ての基礎になるもの。強化とかもまたちゃんと教えてあげる。まあ、まずは法術を学ばないといけないんだけど」
「法術師になれって? 拳闘士も中途半端なのに?」
「サブジョブに設定すればいいのよ。私だってそうだったし。それにね、特定のメインジョブと特定のサブジョブの特定のアビリティを取得した場合、複合ジョブが発生するの。魔術師と剣術士ならば魔剣士ってね」
「なるほど、そういうのもあるのか。じゃあそれはまた今度教えてもらうか。今はアーツとアビリティについてだ。あんまりいっぺんに言われても覚えきれん」
複合ジョブっていうのは魅力的だが、俺はまだサブジョブも設定してない。ここで話を聞かなくても、帰ってから聞けばいいだろう。
たぶん〈瞬歩〉と〈ダッキング〉は元々組み合わせること前提で造られてるっぽいな。どっちかでも効果は発揮するが、両方を合わせることでより効率的に技を使える。〈リバーショック〉はリバーブローに効果を付与したもの。下四つは闘拳士らしいアーツだな。これぞ必殺技だ。
「アビリティは任意のタイミングで「使いたい」と思えば使えるわ。でも強打なんかは常時発動してくれる。そういうのもタイプ別にこれから覚えていけばいい。で、アーツを使うには、魔法力を溜めて、そのアーツに設定した言葉を言えばいい」
「言葉を設定するのか」
「そういうこと。魔法力を込めた時限定で、その言葉が起動キーになるわ」
「おーけー了解した。ちょっくら設定してみるわ」
「魔術とか法術とかになると、その言葉が詠唱という形に変わる。それだけ覚えておけば今後は苦労しないでしょう」
フレイアはニッっと歯を見せ、親指を立てる。そして、俺も親指を立てた。
いや、ほとんどなにもしてないんだから上がらないのは当然だけれども。
フレイアが俺の顔を覗き込んできた。
「なんだよ」
「ううん、なんでもない。ダンジョンは疲れる?」
「そりゃまあそこそこ。普通の生活ではダンジョンになんて入らないしな。疲れたと言ってもいいかもしれん」
「もっと素直になろうよ……。おーけー、ちょっと待っててね」
大きな水たまりがある場所で、フレイアが急に休憩を申し出た。間違いない、俺が「疲れた」と言ったからだろう。
十分から二十分ほどの休憩に入る。ヒュンタイク姉妹、メディアとグランツ、そして俺とフレイアという三つのグループでテキトーな場所に座った。
「そういえばアビリティとアーツの説明をまだしてなかったわね」
「アビリティと、アーツ?」
フレイアがライセンスを取り出したので、それに習って俺もライセンスを取り出した。
「そう。前教えたように、ライセンスの縁を横縦ってなぞってみて」
言われた通りにすると、半透明のモニターがカードの前面に出てきた。
「このアビリティ&アーツってところを触ってみて」
フレンド、ギルド、アウトフィット、アビリティ&アーツ。前二つはそのままだが、アウトフィットは装備、アビリティ&アーツは取得技能だ。
アビリティ&アーツを触ると、いろんな枠が出現した。大まかにわけて右がアビリティ、左がアーツのようだ。
「アビリティっていうのはジョブごとに設定された特殊能力のこと。ジョブのレベルを上げていけば取得できる。イツキの場合は拳闘士だから、〈瞬歩〉や〈強打〉っていうアビリティがあるはずよ。〈瞬歩〉は一定の位置から一瞬で相手の懐に潜り込む、〈強打〉っていうのは攻撃力が上がる。アーツというのはメンタルポイントを使用して使える必殺技のこと。魔法はそのアーツに分類されることが多いわ。と言っても、魔法も魔術、法術、妖術、呪術なんかの総称なんだけどね。で、アーツはAスキルと同じように見えるけど、アーツもまたジョブに依存し、そのジョブレベルが上げていけば誰でも覚えられるわ。Aスキルは自分だけの強力な奥の手、みたいな感じに考えてもらえればいいかな。その奥の手がアーツよりも弱いとか使い勝手が悪いみたいな事例も多いけどね」
そのあとで「あーははっ」と笑ってはいたが、Aスキルが弱い人は笑い事じゃないんだろうな。
「魔術とか法術とかの違いをちょっと教えてはくれまいか」
「なにその口調、まあいいけど。魔術っていうのは攻撃に特化したモノ、法術は回復とか障壁とかなにかを守ったり補助したりっていうモノ、妖術は幻を見せたりモンスターを操ったりできる、呪術は相手の動きを鈍くしたり徐々に体力を奪ったりする。他にもまああるんだけど、基本的にこの四つ以外は取得する人少ないからなぁ」
「他にはどんなのがあるんだ?」
「そうだな、ゾンビとかを使役したり幽霊を扱う霊術師、言葉を具現化させる語術師、錬金をなりわいとする錬術師とかかな。こういうのは一般生活でもかなり使いづらいし、相当レベルを上げないと、戦闘で使えるようにはならない。錬金術で金を作るとかは夢物語で、石とか木の形を変えたりだとか、拳大の大きさの石を指先くらいの銅にするとか? 銅にするのにだってかなりの魔法力が必要だし、レベルも相当高くないと無理なの」
「結構シビアなのな、その辺」
「まあまあ、そんなもんよ。簡単にお金は生成できないってね。語術師だって、言葉を発して相手の動きを止めたりするんだけど、言霊を習得するのに何年もかかったりする。何年も修行したのに、自分よりレベルが高い相手にはまず通用しない。そんなもの、自分から進んで覚える人なんてまずいない。だから忘れてもいいよ」
「なるほど、よーくわかった。で、話を戻すんだがそのアビリティとかアーツってどうやって使うんだ?」
「アビリティ&アーツの項目を開いてるよね? 今は黒字になってるけど、アビリティとかアーツを指で触って、黒字が白字になれば使えるわ。アビリティはメンタルポイントを消費せずに付け替えが可能。そのジョブについてる人やそのジョブをマスターした人ならば使えるPスキル。アーツも同じ、ただしメンタルポイントは消費する。見慣れないものや新しいものは、長押しすると技の内容が見られるよ。おーけー?」
「おーけーおーけー」
俺が今使えるのを見てみよう。
【アビリティ】
〈瞬歩〉一瞬で相手の懐に入り込む。
〈強打〉攻撃力が上がる。
〈見切り〉低確率で相手の一秒先が見える。
〈発熱〉体温を上げることで寒冷地での戦闘や水中での戦闘を有利に進められる。
〈柔の呼吸〉身体を柔らかくする呼吸法。
【アーツ】
〈絞め落とし〉首を締めて意識を失わせる。
〈リバーショック〉高確率で気絶させるリバーブロー。
〈スウェー〉状態を反らして攻撃を避ける
〈ダッキング〉相手の攻撃に対して潜り込んで近付く。
〈連転脚〉飛び上がりながら右足、左足の連続蹴り。
〈魔光波〉拳を振りかぶることで、数メートル先まで魔法弾を飛ばす。
〈烈昂拳〉拳による連打。連打数が多くなるほど攻撃力があがり、メンタルポイントの消費も上がる。
〈崩激掌〉魔法力を込めた強烈な掌底を胸に打ち込む。呼吸を一瞬止める効果がある。
「この魔法力っつーのはあれだよな? 俺がいつも身体を強化してるみたいな感じの? オーラ的な?」
「そう、それでいいよ。魔法力っていうのは、簡単に言うとメンタルポイントを消費することで使える。冒険者なら誰でも使えるけど、身体の強化をするなら法術を使った方が効率がいいし、攻撃をするのならば魔術を使った方が効率がいい。つまり魔法力っていうのは全ての基礎になるもの。強化とかもまたちゃんと教えてあげる。まあ、まずは法術を学ばないといけないんだけど」
「法術師になれって? 拳闘士も中途半端なのに?」
「サブジョブに設定すればいいのよ。私だってそうだったし。それにね、特定のメインジョブと特定のサブジョブの特定のアビリティを取得した場合、複合ジョブが発生するの。魔術師と剣術士ならば魔剣士ってね」
「なるほど、そういうのもあるのか。じゃあそれはまた今度教えてもらうか。今はアーツとアビリティについてだ。あんまりいっぺんに言われても覚えきれん」
複合ジョブっていうのは魅力的だが、俺はまだサブジョブも設定してない。ここで話を聞かなくても、帰ってから聞けばいいだろう。
たぶん〈瞬歩〉と〈ダッキング〉は元々組み合わせること前提で造られてるっぽいな。どっちかでも効果は発揮するが、両方を合わせることでより効率的に技を使える。〈リバーショック〉はリバーブローに効果を付与したもの。下四つは闘拳士らしいアーツだな。これぞ必殺技だ。
「アビリティは任意のタイミングで「使いたい」と思えば使えるわ。でも強打なんかは常時発動してくれる。そういうのもタイプ別にこれから覚えていけばいい。で、アーツを使うには、魔法力を溜めて、そのアーツに設定した言葉を言えばいい」
「言葉を設定するのか」
「そういうこと。魔法力を込めた時限定で、その言葉が起動キーになるわ」
「おーけー了解した。ちょっくら設定してみるわ」
「魔術とか法術とかになると、その言葉が詠唱という形に変わる。それだけ覚えておけば今後は苦労しないでしょう」
フレイアはニッっと歯を見せ、親指を立てる。そして、俺も親指を立てた。
「ファンタジー」の人気作品
-
-
3万
-
4.9万
-
-
2.1万
-
7万
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
1万
-
2.3万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
9,545
-
1.1万
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
9,173
-
2.3万
コメント