少女と蛇神様

黒猫

どうして…

「なんでどうしてですか…」どうしてこうなったのか分からない…「なんで何もやり返して来ないんですか…」どうして…「私はあなたの事を殺そうとしているのに!!」お願い…「なんで!!なんで…やり返して来ないんですか…」いや…「どうして…大人しく殺されようとしてるんですか…どうして…私は…あなたの事を殺すのをためらっているんですか…ずっと…ずっと…あなたの事を殺すためだけに!!育てられてきたのに!!」嫌だよ…「どうして!!あなたの心臓にたった1本のナイフさえ刺せないんですか…」何か私じゃない物に身体が操られているみたい…「どうして…こんなに心が苦しいんですか…」ちもがポロポロと苦しそうに言葉を零しながら言う。
「これじゃあ…まるで…あの時と同じじゃないですか…」ちもが苦しそうに言う。
「ちも.......ごめんな…俺は…ちもに殺されるなら、納得出来る。」(違う…違うの…私は蛇神様に…そんなことを言って欲しいわけじゃない…そんな…そんな…悲しそうな顔をして欲しいわけじゃない…私は…あなたの事を…殺したくなんてないの…誰か…私を止めて…お願い…)そう、ちもが思った途端ふくがちもを蹴り飛ばした。
「かはっ」ちもが壁にぶち当たり血を吐いた。
「邪魔を…しないで!!」ちもが、ふくの事を糸で絡めとる。
「っっ…ちょっとちもちゃん!!正気に戻ってよ!!」ちもがふくの身体を何のためらいもなく引きちぎる。(っっっ!!ふく!!いや!!やめて!!お願い…もうやめて…)
ちもの事を龍神が押さえた。
「蛇神を殺せるのなら…たとえ悪魔に魂を売ったって構わない…」ちもが言った。(私じゃない誰かが言っている…)
(悪魔に魂を売ったらちもの魂は契約した途端悪魔の物になるそして…ちもの魂は地獄に連れていかれるに決まっている…なら!!)龍神はそう考えた。
「許せよ!!ちも!!」龍神がそう言ってちもに頭突きをした。
「?!」ちもの見ている景色が揺れる。
(...................................)とうとうちもの意識が途切れた。



ちもが目覚めると、ふくが駆け寄ってきた
「ちもちゃん!!大丈夫?」「.......蛇神様は?」「ちもちゃんを刺激するといけないから外に…あっちもちゃん!!まだ怪我が!!」ふくが蛇神の居場所を言った途端ちもは外に走り出していた。
「?!ちも!!…」蛇神がちもに気付いた。
しかし、蛇神はちもから逃げる様に町の方へと走り出した。
「!!蛇神様!!待って…」ちもが立ち止まり視線を落とす。
「やっぱり嫌われちゃったよね…当たり前だよ…あんな事したんだもん…嫌われるのなんか…当然だよね…いっ…」ちもに遠くから神様と人の子供達が石を投げてきた。
「…!!っっっ!!」
まだ怪我の治っていない箇所に子供達の投げる石が当たり血が吹き出した。
「お前なんかどっかいっちゃえ!!」「そうだそうだ!!」「どっかいちゃえ!!このバケモノめ!!」「!!っっっ」あの町でも言われた言葉が、慣れていたはずなのにちもの心に深く突き刺ささりちもの心を抉る。
(だめだ…泣くな…泣くな…泣くな…)ちもが自分に言い聞かせる。
しかし...その間も子供達は石を投げ、ちもの心を抉る言葉を放つ。
ちもは、耐えきれなくなり森へと逃げ出した。
「っっっ…泣くな…泣くな馬鹿…泣くな…泣くなよ…ううっ」どんなに言い聞かせてもちもの涙は止まらなかった。
子供達に投げられた石が当たった所から流れ出る血が止まらなかった。
「あんな事したんだもん…嫌われるのなんか当然だよ…それくらい酷いことしたんだから.......」ちもが森の木によりかかった。
「あいつらは酷いことするんだねえ…可哀想な娘」また、ちもの中から声が聞こえた
「うるさい…」「あんな奴ら皆殺しにしてしまえばいいのに」「うるさい!!」ちもが怒鳴ると声は消え去った。
「…変だ…石の当たってない所からも血が出てる…………いいや…もう…いいや…」ちもの血が足りなくなっている事によって意識が朧げになって行った。
「ここならきっと誰も気が付かない。」ちもの意識はそう思うとフッと蝋燭の炎が消えるように途絶えた。

コメント

  • 兔妖

    前半?の文章(ちもちゃんがちもちゃんじゃないとき?)の雰囲気がすごい好きです!表現がすごくてこー…状況が浮かぶというか…とにかく凄いです!!(語彙力なくてごめんなさい)

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