許されることはない

白鹿

不安と期待

今日から学校か。


ガチャ


「おっはよー」

顔をのぞかせたのは同室者の平秋(たいら しゅう)だ。

朝から元気だな。


『んー、おはよー』

そういながら両手を広げた秋くんの隣を横切る。
朝の新鮮な空気を吸うなら部屋の中じゃなくて外の方がいいんじゃないか。


学校は9時からだけど朝ごはん食べないといけない。


今何時なんだ。8時?

『そろそろ食堂、行ったほうがいいんじゃない?』


「うん、そうだね。行こうか。」

少し怖いすごい笑顔でこちらを見ていた。


あれ、俺なんかしたか?



『まだ用意終わってないから少し待って。』


そう言って自分の部屋に戻る。


身支度を済ませてリビングに戻ると秋が見当たらない。


洗面所かと思い声をかけてみるが返事がない。


もしかして置いていかれた?

秋に限ってそんなこと…


急いで追いかけよう。初日から一人は嫌だ。


カードキーを持って玄関を出る。


『あ』


いた。ドアのすぐ横に。ニコニコして立っている。


「どうしたの?遅かったね」

キョトンとした顔で言った。


あ、ドアの外で待っててくれたのか。

なんか疑ってごめん。



『なんでもねえよ、早く行こうぜ』


「あぁ」


秋は一言で表すと腹黒平凡だ。

それと、ちょっぴり天然。

俺より背が低くて165ぐらいだ。

まぁ、笑えばそれなりに可愛い。

そんな感じ。

性格はいいとは言えないけど。


「着いたぞ」


秋は中等部の時もこの学園だったので校舎の中は大体知っているようだ。


『立派な扉だな』


それはもう、おとぎ話に出てくるような木で作られた豪勢な扉だ。

これは結構いいな


「そうかな?じゃあ入ろっか」



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