閑話８話 戦慄

俺たちがここの迷宮で訓練を始めてから大体一ヶ月ぐらい経った。

俺たちは順調に鍛えていき、ステータスだけなら俺はSSランクほどでほかのやつらもSだったりSSだったりする。

俺は迷宮に潜るに当たったて一緒に行動してるのは葛城 剛星かつらぎ こうせいと雨宮 偀あめみや すぐるの男子二人と西条 暁音さいじょう あかねと八戸白 詞葉やえしろ ことはの女子二人。計五人でのグループになっている。

今日も俺たちは迷宮へと行きレベリングをする予定だ。

今は67層まで進んでいて、そこらへんの魔物は毒や麻痺系の攻撃が多く少々手こずるが全然余裕だった。

そのまま俺たちは、進んで行き、階層主が存在する70層にたどり着いた。

この迷宮は7の倍数ごとに階層主が存在しているらしく。90層以降はほとんどが階層主になっているらしい。
らしいというのも、この迷宮の最下層記録が84で止まっていてそれ以降は全くの未知の領域となっているのだから情報がないのだ。

70層のボスは蠍のような図体にカブトムシの角とカマキリの鎌を持つティマスコーピーというらしい。

そいつは俺たちを見るや敵意を剥き出しにして口から蜘蛛の糸のようなものを吐き出して来た。俺たちはそれを横に飛ぶことで回避して、それぞれができることをした。

俺は前衛でこいつに直接ダメージを与える為に、鋼星は盾で敵の注意を引きつける為に、偀は短剣を握って盗賊職を生かした気配を消しての奇襲の為に、暁音は後衛から相手を攻撃する為に、詞葉は俺たちに回復魔法やバフをかける準備にそれぞれが動いた。

だいぶん手こずったが、俺たちは勝利を収めてハイタッチをして喜び合った。
この魔物からは、魔石と角が手に入った。角は強度が高くて加工すると武器にでも使えるから売れば結構お金になる。

俺たちはそれを回収した後、次の階層への階段を見つけて少し回復がてらに休憩をした後階段を降りていった。

しばらく進むと、広い空間に出てきた。

「ここで少し休憩するか」
「「「「「賛成」」」」」

魔物も近くにいないようだったので、俺たちはそこで休憩をすることにした。
少し休憩すると、奥から気配がした。

俺たちは立ち上がりいつでも剣が抜けるように構えていたがそこから現れたのは男の人で俺たちより少し年上ぐらいの人だった。

「あ、こんにちは」
「こ、こんにちは」

その人が挨拶をしてきたので、俺も一応挨拶をしといた。そのまま俺たちのとなりに座ったから俺たちもとりあえずその場に座った。

「いやー参ったよ。一人でアジ・ダハーカの素材をいくつか回収してこいなんて言われたかしばらく篭ってたんだけどね。なんかよくわかんない魔物の大群に遭遇しちゃってさ。ハハハ」

彼は僕たちにそうあっけらかんという言ってのけるが俺たちは驚愕してしまった。

アジ・ダハーカは1匹で小国ぐらいなら簡単に潰せてしまうほど恐ろしく。討伐しようものなら軍隊を連れて行くほどでそれでも生きて帰ってこれるのはじ１０分の１らしい。
それを彼は一人でやってのけたというのだから驚くに決まっている。しかも、その魔物は77層の階層主で外の世界のアジ・ダハーカより強力なことで有名で、僕達勇者全員が立ち向かって勝てるぐらいの強敵だ。

「そういえば自己紹介がまだだったね。俺の名前はロイン。君たちは？」

俺たちが唖然としていると彼が自己紹介をして来た。

「俺は山城 勇気。よろしく」
「俺は葛城 鋼星だ。よろしくな」
「私は西城 暁音。よろしくね」
「僕は雨宮 偀だよ。よろしく」
「私は八戸白 詞葉です。よろしくお願いします」

俺たちが自己紹介を終えると彼は急に立ち上がった

「最初は君たちか……うん。別に悪くないね」

彼はそう言って俺たちを見据えた。

「えっと、どうしたんで……」

俺が最後まで言う間も無く、空間が歪んだと思ったら俺たちは白い空間にいた。