準備

後日、学園宛に山ほどの苦情の手紙が入った。
それらは全て俺が昨日真実として広めた学園長の失態で、国はこのことを知ったあと学園長を退職処分し奴隷落ちとなった。

学園長とともに俺たちを襲った黒ずくめの男達はやはり闇ギルドだったらしく、一人がアジトの場所を漏らし、そこのアジトにいた闇ギルドの構成員をほぼ全員捉えることができ、全員学園長とおんなじタイミングで奴隷落ちになった。

そして、この事件から一ヶ月が経った頃。
アスト達はと言うと……。

「アストー。クラブ行こうぜ」
「分かった。今いくよ」
「アスト、あとで飯一緒にくわねぇか？」
「ごめん。ご飯はミリーナと一緒に食べることになってるんだ。そうしなきゃ殺される」
「おぅ……まぁ頑張れ。いつか一緒に食べような」
「うん」

といった感じに、周りは前と変わらない、いやむしろ積極的に俺に話しかけてくるようになり、学校での友達も増えていった。

この一ヶ月で変わったことはそれだけではない。

「『ガラガラ』全員席つけよー」

カードルさんは、事件のあと学園長へと就職したのだ。
学園には他にもいい先生がいたかもしれないが、俺はカードルさんならと思い学園長にカードル先生を推薦したところふつうにその案が通り、晴れてカードル先生が学園長に就任した。
でも、彼は担任を続けたかったらしく、今まで通り俺たちのクラスの担任を続けていくそうだ。

その日も無事に学園が終わり、俺とミリーナは家に帰った。

「はぁ～落ち着く～」
「そうだねぇ～」

俺たちは二人揃ってソファに腰掛けだら～んとした。

「そういえばミリーナ」
「んー？何～」
「明日ちょっと出かけてくるから、帰りが遅くなるかもしれない」

一ヶ月にあった変化は何も学園内だけではない。
勇者の動きにも変化が現れていた。

「何かあったの？」
「ちょっとな……」

勇者達はあれから着実に強くなっていき、だいたいがSランクほどの力をつけ、数人ほどSSランクの力を持つものも現れてきた。
ここらで間引くのが頃合いだろうと思ったのだ。

「あそこに……いっちゃうんだね」

ミリーナは悲しそうな表情をしながらそう呟くように言った。
そんなミリーナを俺は抱き寄せた。

「心配するなって。そうだ！なんなら一緒に行くか？」
「えっ……　︎」
「あまり危険な目に合わせたくないし、見守るぐらいしかさせてやれないがついてくるなら全力で守る」
「う、うん！ついてく！。それでアストの復讐を見守りたい」
「そうか、じゃあ一緒に行こう。明朝までに迷宮に行けるようにしときたいからな」
「どうして？」
「魔物も人間のように一晩経ったらお腹が空くんだ。それを利用する」

この知識は死神様から教えてもらったもので、魔物の弱点を教えてもらう時に教えてもらった。

「そうなんだ。じゃあ今日は早めに寝なくちゃね」

その後俺たちは、一緒に風呂に入って一緒に晩飯を食って一緒に寝た。