武術試験

３０話


あのインテリ先生に言われた通りに進んで行くと突き当たりがあってその右を曲がると本当に巨漢な人がいた。頭がスキンヘッドで顔に傷が入っているから怖さが際立っている。

「おい坊主、今の時間は筆記試験をしてると思うんだがどうしたんだ？」
「次の試験を受けに来ました」
「なるほど、筆記を諦めて武術で入学を目指すか。それでもいいがそうするには俺を認めさせねぇといけねぇぞ」
「お気になさらず、次の試験はなんですか。貴方に勝つと言うことは貴方と模擬戦でしょうか？」
「そうだ。じゃあ移動すっか。まぁすぐそこなんだけどな」

スキンヘッドのおじさんがそう言って歩き始めたからそれについて行った。

１０分ほど歩くと闘技場のような場所についた。近くには乱雑に積まれた木剣が入ってる木箱がある。

「じゃあここで俺と模擬戦をしてもらう。自分の得意な武器をそんなかから選んでくれ。刃がないやつを持参してるならそれでもいいぞ」
「じゃ木剣を使わせてもらいます」

俺はそう言って木箱からなんも変哲も無い短剣を選んだ。スキンヘッドのおじさんは木箱から両手斧を選んでいた。

「それでいいのか？」
「はい」
「じゃあ始めるか」

お互いが距離をとって構えを取る。

「始め！」

おっさんがそう言った瞬間に俺はおっさんの後ろに一瞬で回り込みクビにトンをした。おっさんは無防備のままその攻撃を受けて意識を失った。

「あ、加減ミスった」

俺は、ちょっとやり過ぎた感が否めないながらにスキンヘッドのおじさんが目覚めるのを待った。
５分ほどするとおっさんが目を覚ました。

「あれ、俺は一体、何を…」
「あ、起きましたか」
「君は、そうか、俺は負けたんだな」
「そうですね。ちょっと物足りなかったです」
「ハハハ、これでも俺はAランクなんだけどな」
「そうだったんですね。それで、試験はどうなんですか？」
「ああ、もちろん合格だ。もし落ちそうになってても俺が推薦して拾ってやるから安心しろ。次は魔術の方に行くのか？」
「そのつもりです」
「ならここを出てすぐ近くにあるこれと一緒の建物の中に三角帽子を被った絶壁のねぇちゃんがいるからそいつのところに行け。俺はさっきのところに戻る」
「わかりました。一応回復しときます。『ハイヒール』」

俺は中級魔法のハイヒールを使った。これは単に回復量がヒールより多いといった単純なものだ。

「中級魔法か…ありがとな。まだ名乗ってなかったが俺の名前はカードルだ。また学園で会おうな」
「はい。では、さようなら」

俺はスキンヘッドのおじさん改めカードルさんと別れて言われた通りに闘技場を出て左右を見ると右側にこことおんなじような建物があったからそこに向かうことにした。