帝国国王の企み

ドラゴンの戦闘から少し経ち、色違いのゴブリンを100匹ぐらい狩った後、あの反応が戻ってきた。

「やっと戻ってきたか。さて、どうしたものか」

俺は色々思案した結果。寝たフリをすることにした。

「疲れたし、ちょっと寝るか」

わざとらしく言いながら俺は近くにあった巨大な岩にもたれかかりながら寝たフリをした。さて、いつ現れるだろうか。

五分程すると五つの足跡が近づいてきた。

「さっさと運ぶぞ」
「「「「うす」」」」
「運ばれてたまるかよ」

俺に手を出す寸前で目を開け、襲撃者を見据えた。
その襲撃者はあの謁見の場にいた騎士の人で今は全身黒ずくめだ。

「チッ。大人しくついて来るなら手荒な真似はしない」
「ついて行くわけないだろ」

俺はそう言いながらゴブリンの時のように石をコイントスの要領で後ろの4人の頭に当て吹き飛ばして殺した。

「なっ　︎」
「さて、洗いざらい喋ってもらおうか」

俺はそう言って目の前の男に特殊魔法の精神魔法をかけた。
この魔法は相手の精神を操る魔法だ。まぁ名前の通りだな。
これを使って命令をするとその命令はなんだろうと聞く。

「そんじゃ、俺を狙った理由を教えてくれ」
「はい。あなたはこの世界ではほぼ最弱です。そんな邪魔者を国に残しておくにはいかず国から追放し、国の機密情報を知っているため漏洩を防ぐために暗殺をしろと国王からの命令です」
「国王は俺たちをどうするつもりだ？」
「魔道具を使って勇者たちを支配し戦争に使うつもりです」
「邪王は存在するのか？」
「はい。邪王は存在します。ですが基本はこちらから手を出さない限り手は出して来ません」
「アイツらは一人一人で外を行動することはあるか？」
「分かりません。ですが、1ヶ月程国で訓練を受けてそのあとは近くにある迷宮でレベリングをしてもらいます。その時は自由に迷宮へと出入りができるので単独行動をとる方もおられると思われます」
「そうか。国へ戻って有力な情報があればまた教えてくれ。それまではお前は国で過ごしてろ。俺のことは適当に言っとけ」
「御意」

黒ずくめはそう返事をして消えた。

「さて、とりあえず王都に行くかな」

そして俺は王都へと歩みを進めた。


その頃、王城では……

「ただ今戻りました」
「それでどうだった」
「確保に失敗しました。ですが致命傷を負って逃げたため今頃は野垂れ死してると思われます」
「うむ。まぁ他国に行かれるよりはマシだな。下がって良い」
「御意」

国王は苦虫を噛み潰したような表情になったがすぐに諦めをつけ今いる勇者のことを考える。

「計画は順調だ。フフフ、フハハハハ」

国王の高笑いがその部屋には響いていた。自身の兵が操られているとは知らずに。