廃クラさんが通る

おまえ

010 カテドラさんがんばる

 この日は俺がログインした時にはカテドラさんがログインしていて、 I D インスタンスダンジョンを攻略中だった。 ギルドメンバーリストでIDの名前を見てみると、どうやら難易度はインフェルノらしい。
 TFLOの I D インスタンスダンジョンには難易度が通常ノーマルのものに加えてハードモード、さらにその上にはインフェルノという超絶難易度とってもむずかしい I D インスタンスダンジョンもある 俺が手を出せるのは、せいぜいハードまで。 とてもインフェルノなんて手を出そうなんて気すら起こらない。
 カテドラさんがIDを攻略してる間に、他の二人のACメンバーも相次いでログインしてきた。 カテドラさんがまだID攻略中だが、ACメンバーが全員同時にログインしたのは久しぶりだ。 その間三人はいつも通りたわいもない話をしながらそれぞれの活動をする。 しばらくすると、カテドラさんのID攻略が終わったようで挨拶をしてきた。
Cathedra:みなさん、こんばんはSelfish:おっすJill:おはよ~Sky:おはようJill:キャシー、インフェルノはクリアできた?Cathedra:ええ、おかげさまで。欲しい装備はドロップしませんでしたけど
 このゲームで大切なのはやはり運。 プレイヤースキルがいくら高かろうが、運が良くなければ目当てのアイテムは入手ゲット出来ない。 当たり前のことだけど。
Jill:そうか~、うちもいつか行きたいんやけどねぇCathedra:いいですよ。一緒に行きましょうか? せっかくでしたら皆さんも一緒にJill:う~ん、うちはラグがあるし、みんなに迷惑かけちゃうといけないからな~Selfish:俺はみんなで行くならいつでも行ってもいいが、インフェルノは全く行くつもりがなかったから全然予習すらしていないぞ?
 セルフィッシュさんですら尻込みをするインフェルノ。 まあ、そういった最難関エンドコンテンツを捨てたからこそ製作を極めし者マスタークラフターになったんだろうけど。
Sky:俺はハードですらいっぱいいっぱいだからなぁCathedra:そうですか。今日は職場の同僚や上司などと行ったのですが、その人達とならなんとかなるかとも思ったのですけどSelfish:とりあえず俺はパスだ。わざわざありがとうな、カテドラJill:うちもいつかラグがなくなったらそのときは頼むね、キャシ~Sky:うん、いつも気にかけてくれてありがとうね、カテドラさん
 職場の同僚って人たちが気になるけど、聞いたらまずいよな。 きっと看護師の人たちとか看護師長とかそういう人たちなんだろうけど。 看護師の人たちはネトゲ率高いってどっかで見た気がしたけど、だとしたらその話は本当だったのかな?
Jill:ところでキャシー、同僚の人たちがそんなにいるのになんでこっちのギルドを選んだん?
 おい、ジル! ……っていいのか?  別に仕事の内容こと聞いたわけでもないし。
Cathedra:そうですね、最初に誘われたのがあなた方お二人だったからでしょうか? 抜ける理由もないですしSelfish:そうか、すまないな。俺たちが一緒にエンドコンテンツ行けたら良かったんだがCathedra:いえいえ、謝るのはこちらの方ですよ。私の仕事が不規則なせいで皆さんとご一緒出来ないで
 なるほど、あまり考えたことなかったけど、セルフィッシュさんが製作クラフトメインでやってるのはこれが理由だったんだな。 あまり時間が合わないカテドラさんと、ラグを気にしてなかなか上位コンテンツに行けないジル。 やろうと思えばマッチング機能もあるから一人でだってインフェルノとか最難関エンドコンテンツには行けるんだろうけど、二人に合わせているんだろうな。たぶん。
Cathedra:でもせっかく久しぶりに四人そろったのですから、インフェルノではなくてもどこか適当に行ってみませんか?Selfish:そうだな。どこかハードをランダムで回してみるかJill:うん、行こうSky:そうしようか、あまり自信ないけど
 カテドラさんがギルドハウスに入ってくると
JillはCathedraに抱きついた
 例によってジルはカテドラさんに抱きつく。 カテドラさんはフードをかぶり、青い光の筋が入ったローブを着ている。 インフェルノで手に入れたであろう装備なんだろうけど見た目も非常に格好いい。 セルフィッシュさんが製作で作れる装備は最難関エンドコンテンツで手に入る装備にかなわないと言っていたが、見た目からしてすでに差が付いている。 セルフィッシュさんにパーティに誘われ、それに加わると続けて他の二人も加わり、最小限ライトパーティとなる。 俺のメイン戦闘職ジョブ魔剣士ブラッドナイト、近接攻撃職DPSだ。 大剣を振り回すのが格好いいという理由だけで決めたんだけど、隙が大きく敵の範囲攻撃に対応しきれなかったり、防御を捨てて捨て身で攻撃しているときに限って攻撃を食らったりすることが多かったりと、魔剣士ブラッドナイトを選んだことに今はちょっと後悔している。 ただ単に俺の操作技術プレイヤースキルが足りないというだけなんだろうけど……。 ジルは魔導銃士マガンナー、魔力を込めた弾丸を放つ銃を使う遠隔攻撃職DPSだ。 元々精霊使いサマナーをやってたらしいけど、ラグで「むーたん」が暴走するため、操作が難しくなく、敵の攻撃もラグがあったとしても比較的避けやすい魔導銃士マガンナーにしたらしい。 ちなみにむーたんは決して山に捨ててきたわけではないと、この前PBCを見た後に聞いた。 カテドラさんがいないときは流儀スタンス切替チェンジ回復職ヒーラー寄りの魔導銃士マガンナーになることもある。 ちなみに俺の魔剣士ブラッドナイト流儀スタンス切替チェンジタンクよりにすることは出来るが、本職にはやはり敵わない。 あくまで流儀スタンス切替チェンジは本職の役割ロールが戦闘不能になったときなどに一時的に対応することを想定した仕様システムなので本職には敵わないようになっている。 ただ、それもインフェルノをやる場合のことで、ハード程度なら流儀スタンス切替チェンジして戦ってもなんら問題はない。 というか、ハード流儀スタンス切替チェンジした戦闘職ジョブを基準にして難易度を調整しているという話なので、流儀スタンス切替チェンジなしで挑めば普通にクリア出来る難易度にはなっている。 セルフィッシュさんは聖騎士パラディンタンク、カテドラさんは司祭プリースト回復職ヒーラーだ。 ちなみに聖騎士パラディン流儀スタンス切替チェンジ回復職ヒーラーに、司祭プリーストは遠隔攻撃職DPSよりになることが出来る。
Selfish:よし、それじゃランダムで登録するぞJill:準備OKだよCathedra:はい、行きましょうSky:こっちもいつでもおk
 俺が発言した後すぐに「しゃきーん!」とパーティがマッチングしたときの効果音が鳴る。 俺が一人でマッチング登録をしたときは10分とか、長いときは30分以上待つときもあるんだが、攻撃職DPSは本当につらい。
 突入のボタンを押下クリックすると画面が暗転。 さて、どこになるのか。 読み込みローディングが開けると、熱波で周りがゆがんで見える。 遠くには火山、脇には溶岩の川が流れている。
Selfish:ルルド火山か、それほど難しいところでもないし、大丈夫だろう
 いや、俺ここ苦手なんだけど……。道中噴石が落ちてくるし、最後のボスに舞台フィールドから落とされるし……
 カテドラさんが防御力上昇アップの呪文を唱え、上方効果バフがかかったのを確認すると、セルフィッシュさんが走り出す。
Jill:GO!
 ジルを始め俺たちはセルフィッシュさんの後についていく。 毎度のことながらジルの挙動は怪しい。 立ち止まっては猛ダッシュ――また立ち止まっては猛ダッシュ――と、俺たちはジルのこの挙動にはもう慣れたが、初見さんはじめてのひとがこれを見たら面食らうんだろうな。 その昔あったという「むーたん」の暴れっぷりも何となく想像できる。 道中、空中に浮かぶ風船バルーン状の妖異モンスター、生まれつきなのか、寄居虫ヤドカリのように他から借りてきたものなのかはわからないが、岩石のような鉱質の外殻をまとう蜘蛛のような甲虫モンスター、溶岩の中に棲み着くジェル状の怪異モンスターなどが俺たちの前に立ちはだかる。
 敵は2~3匹程度で固まっていて、それを盾役タンク敵視ヘイトを集め、他のPCプレイヤー攻撃ターゲットが向かないように気をつけつつ各個撃破たおしていくことになる。 その固まりを引っ張ってもう一つの2~3匹の固まりグループと同時にまとめて倒していくやり方もあるのだが、俺はそのやり方はどうにも苦手だ。 そもそも魔剣士ブラッドナイトは複数の敵を同時に攻撃する手段が少なく、その少ないながらも唯一ある範囲攻撃は威力は大きいが隙も大きいので敵の攻撃をけづらい。 道中噴石が降ってきて、それも避けないといけないこのルルド火山と魔剣士ブラッドナイトはとても相性が悪いのだ。 セルフィッシュさんもそれをわかっているのか、まとめずにひと固まりグループずつ戦ってくれている。 俺たちはその固まりのモンスターを一つ一つ攻撃して倒していく、途中噴石が降ってくるのだが、それは地面に丸い円の予兆AoEが出るので、予兆それが表示されている制限時間内に避ける必要がある。 セルフィッシュさんがひと固まりグループずつ戦ってくれているため俺は一匹一匹への攻撃に集中できるので噴石が俺を狙ってきてもなんとか避けることができる。 ジルもたびたび狙われるのだが、危なっかしいながらもなんとか避ける。 道中はボス戦に向けての練習のようなものだから、予兆が出ている時間も少し長めになっている。 本番はあくまでボス戦だ。 セルフィッシュさんの配慮などもあって、ボス戦までは特に危なげもなく行くことができた。 画面が暗転し、親玉ボスが登場する映像演出カットシーンが入る。
空中に浮いたコアが周りの岩石を引き寄せるとゴツゴツした岩石質の巨人が出来上がった。 太い腕と脚の寸胴な体型。 不格好だが筋骨隆々きんこつりゅうりゅうとは違った無骨ワイルド天然ナチュラルな力強さが感じられる。
 いよいよルルド火山のボス、巨人ロギ戦だ。範囲攻撃を行わないボスはまずいないのだが、巨人ロギは範囲攻撃の塊。 しかも後半は戦闘区域バトルフィールドから押し出す攻撃までしてくる。 戦闘区域バトルフィールドから押し出され、落下死したPCは蘇生も復帰も不可能できない。 巨人ロギを倒してクリアするか、パーティが全滅して再戦闘リトライになるまで行動不能になにもできなくなるのだ。
Selfish:よし! みんな気合い入れていけ!Selfishは気合いを入れた。
 カテドラさんの防御力上昇アップの呪文の詠唱キャストが終わると
Selfish:いくぞ!
セルフィッシュさんが巨人ロギ向かって飛び出す。
 戦闘が始まるといきなり俺は範囲攻撃のターゲットにされ、地面に攻撃の予兆が表示される。 攻撃を仕掛ける前だったから俺は難なく避けることはできたが、ジルが吸い込まれるようにその攻撃を食らう。 う~ん、普通避けられない範囲攻撃じゃないんだけど、やっぱりラグがあると厳しいんだなぁ……。 その後もちょくちょく範囲攻撃を食らうジル。 ジルほどではないけど俺も時折ときたま範囲攻撃を食らう。 俺たちが攻撃を食らう度にカテドラさんの回復魔法が飛んでくる。 俺たちを回復しつつ、もちろんタンクであるセルフィッシュさんの回復もおろそかにはしない。 さすがインフェルノを攻略することの出来る 腕 前 プレイヤースキルだけのことはある。 俺たちがもっと上手うまければカテドラさんも楽なんだろうけど、カテドラさんには本当に迷惑かけっぱなしだ。 それでもなんとか巨人ロギHPたいりょくを削っていくと段階フェーズが進み、ボスが本気を出してきた。
 さて、ここからだ。
 巨人ロギ戦闘区域バトルフィールドの中央に移動、力を溜める仕種モーションをする。 それを見てみんなが一斉に巨人ロギのところに駆け寄る。
「ウガアアアアアアアア!!!!!!」
 巨人ロギが叫び腕を大きく掲げ、力を開放すると俺たちは大打撃ダメージを受けるとともに戦闘区域バトルフィールドの外周側に吹き飛ばされる。
 これは何回か戦った俺たちはわかっていることだけど、初めての場合たいてい落とされる。俺も初めての時は落とされた。 TFLOこのゲームはこんな初見しょけんごろしな仕掛けギミックが本当に多い。
 ジルは出足が遅かったせいか戦闘区域バトルフィールドギリギリまで吹き飛ばされた。 カテドラさんは急いで中央まで戻り、範囲回復をする。 ――が、ジルが範囲から漏れる。 そこに運悪くジルに向かって範囲攻撃AoEが飛んでくる。そしておそらくジルはかわしたつもりであっただろうが見事にそれを食らた。 HPが0になり、ジル、戦闘不能げきちん
Jill:あーもうなにゃねん!
「n」が一つ足りない。翻訳をすると「あーもうなんやねん!」だ。
 カテドラさんがすかさず蘇生の呪文を唱える。 詠唱に時間がかかるのでセルフィッシュさんへの回復が疎かになる。 それを察してセルフィッシュさんは防御力上昇アップ極意スキルを使用、巨人ロギの攻撃を耐える。 俺は攻撃を食らってカテドラさんに迷惑をかけないように回避に専念。 ちょっと攻撃が疎かになるけどしょうがないよね?。 カテドラさんの詠唱キャストが終わるとジルに蘇生の効果がかかりジルが蘇生ふっかつする。
Jill:ありがとうキャシー
 HPが少ない状態で蘇生したジルに対してカテドラさんはすかさず回復魔法をかけ、さらに防御上昇アップの魔法もかける。 一方セルフィッシュさんも防御力上昇アップ効果バフが切れHPが低下、ちょっと危機的状況ピンチ。 しかしカテドラさんは再使用時間リキャストタイムが長いため使用制限のあるむやみにつかえない最大回復魔法を使い一気にセルフィッシュさんを回復。 なんとか危機的状況ピンチを乗り切った。
 よし、体勢が立て直ったし大丈夫かな?
俺は攻撃力上昇アップ極意スキルを使用、一気にたたみ込む。 巨人ロギのHPが徐々に削られていき、あと一息ちょっとで倒せそうだ。「しゃきーん!」と連係奥義リンクバーストのゲージが貯まった効果音が鳴る。 連係奥義リンクバーストとはパーティを組んでいると使える技で、パーティ中連係奥義リンクバーストのゲージが戦闘行為により溜まっていく。 それを溜めて上限リミットに達すると連係奥義リンクバーストという特殊な奥義わざが使えるのだ。
 よし、終局とどめだ! 俺は L B リンクバースト手順命令マクロ押下クリック
Sky:みんなの力を俺に貸してくれ!
 俺の持つ大剣に光が集まり俺は大きくジャンプをする。 光は闇の炎ダークフレイムとなり大剣から黒い炎がほとばしる。
Sky:これでおわりだあああああああああ!!!!!!!
 手順命令マクロによる俺の絶叫が響き渡り、俺は渾身の一撃をたたき込む。 闇が覆い尽くす演出エフェクトが発生、巨人ロギ大打撃ダメージを与えた。
 よし! やった!
 ――かに思われたが巨人ロギのHPがわずかに残り、踏み留まる。 そして巨人ロギが振り向き岩石まるたのように太い腕を振り上げると、俺に向かって直線範囲攻撃の予兆が出た。 俺は当然全力でけようとした――が L B リンクバーストの硬直で動けず見事に直撃。 「どか~ん」と戦闘区域バトルフィールドの外まで吹っ飛ばされ、そのまま奈落へ落下し、戦闘不能おしまい

Sky:あ~、あとちょっとだったのに
 しかし残りの体力を他のみんなで削りきり巨人ロギ攻略たおしきった。
「ウボァー」
 巨人ロギ断末魔だんまつまを上げて倒れ霧散しょうめつする映像演出カットシーンが入る。 そして画面に表示される『COMPLETE!』の文字。 無事クリアだ。 俺は落ちたままだけど。
Selfish:よし、みんなよくやった!Jill:ぐっじょぶCathedra:お疲れ様でしたSky:おつかれさま
 俺は復帰のボタンを押下クリック復活しいきかえってみんなのいる戦闘区域バトルフィールドに戻った。 セルフィッシュさんがクリア報酬の宝箱を開けると、武器と防具がそれぞれ一つずつ、それに加えて製作クラフト用素材が二つ入っていた。
Selfish:レアは出なかったけど、まあまあの報酬だなCathedra:ここのハードだと装備も素材も型落ちですけどね
 いや、型落ちっていっても今出た装備、今俺が装備しているやつより強いよ?
Selfish:そうでもないぞ、ここは最近あまり挑戦する輩が少ないからか、素材は値上がり気味だからな
 さすがセルフィッシュさん、経済の動向には目敏めざとい。
Jill:とりあえずロットしとこう
 俺も報酬のアイテムの抽選ロットをする。武器は拳士モンク用だが、防具は魔剣士ブラッドナイト用だから優先して抽選ロットできる。 そして抽選ロットの結果、武器はジル、防具は俺、素材二つはセルフィッシュさんがそれぞれゲットした。
Jill:あれ? キャシーはパスしたの?
 報酬が必要いらなければ抽選ロットはパスをすることもできる。
Cathedra:ええ、私には必要のないものでしたからSelfish:そうか、素材はマケに流せばそこそこの値段にはなるだろうに。俺が買い取ってもよかったし
 そして俺たちは脱出地点から I D インスタンスダンジョンを退出。
Sky:ジルは今日も範囲喰らいまくりだったねJill:うちの画面だと全部避けてるんやけどねえSelfish:スカイもなかなかの喰らいっぷりだったぞ。特に最後はマクロも含めて見事な散り様だったSky:あれはLBの硬直で動けなかったんだからしょうがないでしょJill:どこかの石油王でもオーストラリアにサーバー作ってくれればうちもラグなしでプレイできるんやろうけどねえCathedra:サーバーの設置にはお金がかかりますからね。設置したとしても維持費もかかりますし、オーストラリアでどれだけの人がTFLOをプレイしてくれるかにもよりますねSelfish:もしオーストラリアにサーバーができたらジルはそっちのサーバーに移籍するのか?
 TFLOは全世界で展開しているMMORPGネトゲで日本、アメリカ、ヨーロッパにぞれぞれ主要なサーバーがあり、サーバーを超えて同じ世界ワールドでの同時プレイは出来ない。 違うサーバーで遊んでプレイしているPCが同じ世界ワールドで一緒にプレイするにはサーバーの移籍が必要になる。
Jill:う~ん、そうなんよね。移籍するとみんなと一緒にプレイ出来なくなっちゃうんだよね。とりあえず今はそんなこと考えられないし、もしオーストラリアにサーバーできたらその時にあらためて考えるわ
 俺もジルのいないACギルドは考えられない、もし本当にオーストラリアにサーバーができたらどうなるかなんて、その後のことはあまり考えたくない。
 俺が加入してから何一つ変わっていない、ギルドACのみんなとのいつも通りの活動プレイ。 そんないつも通りの活動プレイがいつも通り続き、夏休みも終わろうかというある日になって突然――
 ――毎日欠かさずログインしていたジルが何の前触れもなく突然ログインしなくなった。

コメント

コメントを書く

「コメディー」の人気作品

書籍化作品