ハルバード使いは異世界を謳歌するそうですよ

超究極キグルミ

17 フリューゲル(1)

「ようこそフリューゲルへ」

 翌日、朝食を軽めにとってフリューゲルまで少し早めに着いた。門番、ムラサキさんもまだ眠そうだ。それもそのはず、今は朝の四時半だ。カグヤさんは娼館のオーナーの習慣で早く起きていた。

「滞在期間は何日…ってカグヤさんじゃないですか。大丈夫でしたか?」
「はい。こちらのコウヨウさんに助けていただいて」
「コウヨウです。よろしくお願いします」
「あ、あのトランペッター殺しですか」
「…それこっちでも言われているんですか。ひとまず三日間滞在予定です」
「わかりました。ではごゆっくり」

 門番がスイッチを押すと門がゆっくりと開いた。門の奥に見える街並みは綺麗な西洋風の家が並んでいた。

「つきましたね。ここが私の故郷、フリューゲルです。ひとまず馬車は私の店に置きましょうか」
「お願いします」
「では案内にしますね」

 そして馬車を少し歩かせる。まだ朝早いというのに店もぼちぼち開いている。さすが娼館が多いだけのことはある。馬車を歩かせること数分。

「つきました。ここが私の店です」

 案内されたのはちょっとした城みたいな家だった。店の横の空いたスペースに馬車を置いて店に入る。

「お帰りですかオーナー。そしていらっしゃいませ、コウヨウ様」

 出迎えてきたのは二十代位の男性だった。全身黒のスーツに黒い髪、そして黒と赤のオッドアイ。

「スクナ、ただいま。コウヨウさん、私の秘書のスクナ…スクナヒコナです。スクナが名字でヒコナが名前です」
「ご紹介に預かりましたスクナです」

 スクナヒコナ…確か友達が好きだったけっな?日本神話の命名神だったはず。

「スクナ、お客さん私がいない間に来た?」
「三名ほど来られました。しっかりと代金は受け取ってあります。そのお金は金庫にありますが本日はどうされますか?」
「うーん…スクナはコウヨウさんとムラサキさんに街の案内してあげて。私はたまった仕事を終わらせてから合流するから」
「御意に。ではコウヨウ様どうぞこちらへ」

 スクナさんは一礼するとドアを開けて外へ先に行って待っている。

「コウヨウさん、また後で合流しましょう」
「はい。ではまた後で」


「スクナさんはカグヤさんとはどんな関係なんですか?」

 街を案内されているときムラサキさんが不意に訪ねていた。

「私はカグヤ様の弟です。八年前に生き別れて二年前に再開しました」
「生き別れ?」
「カグヤ様が不意を突かれて賊に連れ去られてしまいまして」
「カグヤさんが?」
「コウヨウ様はカグヤ様の能力をご存知ですか?」
「能力?」
「カグヤ様は生まれつき時を操ります。主に過去視パストアイズ未来視フューチャーシー時止めワールドストップ時間加速ゴーイングタイム時間巻き戻しリターンウォッチ、そしてカグヤ様の最終奥義の壊れた時は永遠に修復不可希望時間飛行です」
「随分とややこしいですね」
「正直私も思っております」

 オッドアイの目も口も若干笑っている。なんだか怖く感じた。ムラサキさんはというとなんだかニヤニヤしている。

「…スクナさんってカグヤさんのこと好きですよね?」
「そうですが何か問題でも?」
「…」

 まさかの即答。これは予想外の展開だっただろう。現にムラサキさんは口を開けて呆然としている。

「…な、なんかお腹空いちゃいましたね」
「ではそろそろカグヤ様と合流しましょうか。そろそろ時間ですので」
「もうそんな時間ですか?では行きましょう、ムラサキさん」
「は、はい!」


「お待たせしましたカグヤ様」
「お帰りスクナ。コウヨウさんとムラサキさんも楽しめました?」
「はい。おかげさまで楽しめました」
「カグヤ様、お食事の御用意を致しますか?」
「大丈夫、別のお店を予約したから」
「申し訳ごさいませんでした。本来であれば私が…。代わりに私がお送りします」
「じゃあお願い」
「御意に。テレポート」

 スクナさんがテレポートを使ってどこかへ全員を転移させる。転移先は小さな喫茶店だった。

「到着しました」
「ありがとうねスクナ」
「では私はこれで失礼します」

 スクナさんはテレポートでどこかへ行ってしまった。

「スクナさんはどちらへ?」
「この後スクナは狩りに行くんです。私達は夕食にしましょう」

 この後夕食を食べ、カグヤさんの店の部屋を借りて眠りについた。フリューゲル一日目はこうして終わった。

 


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