根暗勇者の異世界英雄譚Ⅲ 〜闇魔法を操る最弱な少年の話〜

雨猫

Ep2/act.7 魔族襲来


今日の朝は騒がしく始まった。
僕らが寝ていると、外からカンカンカンカン!とまた大きな音が聞こえた。

眠気まなこを擦りながら耳を傾けると何やら街中が騒いでいる様子だった。

「魔族だ!魔族が攻めてきたー!!」
「うわああああ!」

叫び声が街中を覆っていた。
逃げ惑う大渋滞、城に向かっているのを見ると、魔族は城門から堂々と侵入してきたらしい。

ガゼルとミカエルも怯えた様子だった。
しばらくするとシンスケさんがやってきた。

「サクラ、エド、起きてるな。これから魔族迎撃に向かう。ただ人手が不足し過ぎている。そこの獣人たちは戦闘は無理そうだな、城内に逃げてくれ。サクラとエドは今すぐ準備してついてきてくれ」

僕とエドさんは言われるままに従った。
しかし、シンスケさんは城門とは違う方向へと向かい始めた。

「あれ?魔族は城門から来たんじゃないんですか?」
「そうだ。しかし今のままじゃ勝てる見込みがないんだ。ここセルヴィアでの戦力を遥かに上回る軍隊だ。俺がいることも分かってるから、指揮官も連れてきてる。お前らがいることが唯一の救いだった。あいつらはまだ知らない。だからお前らを少しでも強くするために、お前らの召喚獣に懸ける」

シンスケさんは、今から急ピッチで僕らの召喚獣の召喚をすると言った。
しかし、朝の逃げ惑う人たちから想像するように、かなり危ない状況らしい。

まさか、こんなところで死んでしまうなんてことないよな…?

不安をよそに僕たちは専用の陣がある召喚施設へと向かった。

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