裏切られた俺と魔紋の奴隷の異世界冒険譚

葉月二三

175話



冒険者ギルドに着くと、ちょうどフレドたちが出てきた。

「あ、リキ様!今から宝石屋に行こうかと思ってたんですが、ちょうどよかったです。」

「待たせちまったみたいで悪いな。いいクエストはあったのか?」

「メタルボアが出るらしいぞ!」

俺はフレドに確認をとったつもりだったんだが、なぜかサーシャが興奮気味に答えてきた。

よく意味がわからなくてフレドに視線を戻すと、フレドは苦笑いをしていた。

「南口近くにある山でメタルボアという魔物を見かけた冒険者がいたらしく、討伐依頼が出ていました。サーシャさんが戦いたいらしいのですが、それはAランク依頼でしたので僕たちは受けられず、代わりにその山の近くで出来るクエストを選んできました。」

やっぱりサーシャも宝石屋の方に連れて行くべきだったな。これはフレドたちのクエストだっていったのに迷惑かけやがって…。

本当に何やってんだよと思いながらサーシャを見ると、俺の気持ちは伝わらなかったようでサーシャはニコニコとしていた。

「前は倒しきれずに逃してしまったからのぅ。これで我の成長具合が知れるわ。」

どうやらメタルボアと戦えれば俺はサーシャと戦わずに済みそうだな。それなら良しとするか。

あらためてフレドに視線を戻した。

「うちの馬鹿が重ねてすまんな。それでどんなクエストを受けたんだ。」

「あ、はい。オークの討伐です。最近冒険者の被害が数件出ているようで、噂によるとその冒険者の装備をしているオークのようです。なので上位個体か特殊個体がいる可能性が高いので、Bランク依頼の中でも難易度は高い方かもしれません。」

「討伐系か。無理はするなよ。」

「「「「「はい!」」」」」




その後、フレドたちを先頭にして歩いていると、東門から町の外に出て、全員が武器を取り出してから南下し始めた。そしてそのまま外壁沿いに南口の方まで回ってからさらに南に向かって歩き始めた。

「なんでわざわざ東門から出たんだ?」

「え?…えっと……。」

フレドに確認をとると、困ったような顔をした。どうした?

「南門は貴族しか使えにゃいからだと思うよ。」

フレドの返答を待っていたら、横からセリナが答えてきた。
というかなんだその面倒な決まりごとは。そういや前にそんな話を聞いたことあるような気がしなくもないっちゃないな。覚えてなかったけど。

「そうか。意味わかんねぇな。」

「…。」

セリナまでが困った顔をすると、しばらく無言の時間が続いた。





「ここから入ろうと思います。」

しばらく無言で歩いていたら、フレドから声がかかった。
遠くから見たら山だったが、近くで見ると森にしか見えないほどに木が生い茂った場所で、フレドが示したところは一応その森に入るための道のようになっていた。冒険者がよく使ってるから地面が踏み固められてるといった道だ。

「好きにしろ。俺らはとりあえずついて行くだけだからな。フレドたちのクエストが終わったらメタルボアを探しに行くつもりだが、それまでは俺らのことは気にしなくていいぞ。」

「わかりました。そしたら僕とラルムが先を行くから、その後ろにドラとムスカ、後ろはカーフに任せるよ。」

「なんでよ!いつも通り僕が先頭じゃないの!?」

「ドラはリキ様に良いところを見せようとしてるみたいだからダメだ。これは遊びじゃないんだよ。その意識が抜けるまでは前衛は任せられない。しばらく進んでいつも通りに動けるようなら、オークとの戦闘は前衛に戻すつもりだよ。」

「うぅ…わかったよ。」

「なにも前衛だけが凄いわけじゃないのはわかってるだろ。だから臨機応変な対応の練習だと思ってやってくれ。ほら、さっそくゴブリンが出てきたよ。6体だからこのまま2.2.1ね。」

「「「「おう!」」」」

なんかちゃんとしたパーティーっぽいな。

フレドが大きめの盾で2体のゴブリンを突き飛ばし、その勢いのまま短剣を別の1体に投げて牽制しつつ、腰の剣を抜いてさらに別の1体に斬りかかった。

ラルムはフレドが相手をしているゴブリンとは別の2体に近づいていき、1体のゴブリンを蹴り飛ばし、もう1体のゴブリンが振り下ろした棍棒を避けながら右手の短剣で首を切って離れた。

ラルムに蹴り飛ばされてバランスが崩れていたゴブリンにドラが近づき、槍の石突きでゴブリンのこめかみを打ち付け、倒れたゴブリンの心臓に槍を突き刺してその場から離れた。

ムスカはフレドが投げた短剣が肩に刺さってよろめいているゴブリンに鎖鎌の鎖を巻きつけて引き寄せ、鎌で喉から脳にかけて縦に突き刺した。

フレドに盾で押されて倒れたゴブリン2体はまとめてカーフのフレアバウンドで燃やされた。

しばらく全員が周りを警戒しながら、ゴブリンが動かないのを確認し、フレドが大きめのハンマーを取り出し、ゴブリンの顔をつぶして回った。他のやつらは顔が潰れたゴブリンの右耳を回収し始めた。

「なんでわざわざ顔を潰すんだ?」

「前に死んだふりをする魔物がいたので、念のためです。弱いゴブリンだからと甘く見てると痛い目を見るので。」

そうか。しっかり冒険者をやってんだな。

一緒に来たはいいが、とくに俺が教えられることもねぇな。

「フレド、何かが近づいてくるよ。」

ドラが草をかき分ける音に気づいたようで、ゴブリンの頭を潰し終えてハンマーをしまったところのフレドに声をかけた。

「動きが速いな。ラルムは引き続き耳を頼む。他は警戒。」

「「「「おう!」」」」

「リキ様、私たちはちょっと下がったほうがいいかも。」

フレドたちが警戒を始めたとき、セリナが耳打ちしてきた。

「なんでだ?」

「近づいてるのはフォレストウルフみたいだから、私たちがいるとほとんどこっちに来ちゃうかも。」

それはフレドたちの練習にならねぇな。

仕方がないからイーラたちに手で指示をして、50メートルくらい下がった。

徐々に音が近づいてきたと思ったら、8体の緑色の毛をした狼のような魔物がフレドたちに襲いかかった。これがフォレストウルフっていうんだろう。

「カーフは下がれ、3.1.1でラルムは終わり次第前衛!」

フレドは指示をしながら先頭のフォレストウルフを盾で弾き、2匹目を剣で斬りつけた。

他のやつらは返事をする間も惜しむようにフォレストウルフと対峙した。

フレド、ドラ、ムスカの横を通り抜けようとしたフォレストウルフにはカーフがウインドカッターで牽制し、怯んだところを前衛がトドメを刺す。

ラルムも耳を切り終えて参戦するとあっという間に8体のフォレストウルフは倒された。

このパーティーは安定してるな。
今はカーフが魔法を使っているが、ガントレットをはめて、腰には短剣が数本刺されてるのを見る限り、前衛もこなせるだろうし、他のやつらも前衛か中衛かで武器を取り替えて、それぞれ使いこなしてる。少なくとも俺よりは武器の扱いが上手い。

戦闘終了後はフレドが剣で首を刺してまわり、他が尻尾の回収をしている。なんで今回はハンマーじゃないんだ?

「ハンマーは使わないのか?」

「フォレストウルフは動きが速いから、ハンマーを持ち上げた時に攻撃を受ける可能性があるので、念のため剣でトドメを刺すようにしています。ただ、剣だと力とコツがいるのでハンマーの方が楽なんですけどね。」

「そうか。よく考えてんだな。」

「いえ、ありがとうございます。」

…むしろ俺がフレドたちを見て勉強してるみたいだ。

ちなみにゴブリンとフォレストウルフの死体はイーラとサーシャが片付けた。




フォレストウルフのあとはしばらく他の魔物に会うことなく奥へと進んでいた。奥に行くほど魔物が少ないのか?

「流石におかしい。」

「そうだね。これだけ歩いて魔物に遭遇しないのはちょっとおかしい。どうする?」

「ラルムとカーフはちょっと調べてみてくれ。他はこの場で警戒。2人のフォローも意識して。」

「「「「おう。」」」」

フレドとラルムが魔物に会わないことを不思議に思ったらしく、ラルムとカーフが左右に広がり、他はその場で武器を構えて待機している。

2.3分でラルムとカーフが戻ってきた。

「戦闘の跡があったけど、冒険者のものじゃないと思う。力任せに武器を使ってるような跡だったよ。」

「もしかしたらオークの仕業かもしれない。既に縄張りに入ってるかもしれないから気をつけて。弓を使う個体もいる可能性があるから遠距離攻撃にも注意して。」

いってるそばから弓矢が飛んできたが、警戒していたラルムは体を少しそらすことでそれを避けた。

「狙われてる。先に弓兵を倒す?」

「いや、弓兵が1人とは限らない。魔法で牽制しつつ、追撃に警戒!」

フレドがウインドカッターを矢が飛んできた方に撃った直後、鉈のような武器を持った巨体が木の陰から飛び出てきた。

2メートルくらいはありそうな人型にしては巨体で、革鎧を着ている。ただ、顔が豚っぽいからこれがオークなんだろうな。イメージ通りだ。

革鎧のオークがドラに鉈を振り下ろすが、ドラはそれを槍で受け流しつつ、石突きでオークのこめかみを狙うが避けられた。

一度ドラが距離を取ると、カーフが放ったファイヤーボールがオークの胸に直撃した。だが、革鎧の性能がいいのかそこまでのダメージはなさそうだ。

しかも魔法を放った直後のカーフに矢が飛んできて、なんとか気づいて避けたカーフだったが、運悪く革鎧のないわき腹に掠って少し切れたようだ。

「ラルムとムスカはやっぱり弓兵を先に倒してきてくれ。オークは情報では6体、弓兵は矢の飛んでくる方向からして1体で間違いないと思うけど、オーク自体はまだ他にも隠れてるのがいるはず。弓兵ももしかしたら他にもいる可能性はあるから気をつけてくれ。ドラはそいつを任せた。カーフは俺がフォローするから傷薬を塗っておけ。状態異常が出てたら今のうちに薬を飲んでくれ。」

「「「「おう!」」」」

どうやら二手に別れるようだ。

「セリナ。弓兵を倒しに行く2人の邪魔にならないようについていってやれ。危なそうなら助けろ。」

「は〜い。」

セリナが影の中に消えていったのを確認してフレドたちに視線を戻すと、さらにオークが3体出てきて、フレドが盾と剣で対応している。

どのオークも革鎧を着ているし、魔物とは思えない連携をしている。連携といっても魔物にしては良く出来ている程度で、だいぶお粗末ではあるが、1人で相手すると考えると厄介な連携だ。だが、フレドはそれをなんとか受け流している。

傷薬を塗り終えたカーフが参戦しようとしたとき、さらに1体、ヘルム以外の金属鎧に大剣を持ったオークがフレドに向かってのっしのっしと走ってきた。

「4体は無理だ。カーフはそいつを頼む!たぶん他よりも強い個体だから時間稼ぎでいい。ドラはそいつを倒したらこっちの1体を引き受けてくれ。そしたらカーフは俺と交代だ。」

「「おう!」」

カーフは短剣を取らずにガントレットのみで鎧オークの進行を邪魔する位置に立って構えた。

鎧オークはカーフをチラ見したが、とくに警戒もせず、邪魔をただ排除するかのように走ったまま大剣を右手で横薙ぎにしようとしたが、急に距離を詰めたカーフのせいで振り切ることが出来なかったみたいだ。それどころか、カーフに右手を掴まれてそのまま投げられていた。

思いきり地面に叩きつけられたオークだったが、あまりダメージを受けた様子がなく、ゆっくりと起き上がってカーフを睨んでいた。

カーフは追撃をかけずに間合いを保ったまま構えている。目がチラチラと動いているから、オークと対峙しながらも周りを警戒しているんだろう。まだ矢が飛んでくる可能性もあるしな。

鎧オークはカーフを敵と判断したようで、投げられたときに落とした大剣を拾い、カーフに斬りかかった。振り回される大剣をカーフは避けるか手を添えて受け流した。しかも無駄な動きがほとんどないように見える…凄えな。
カーフは小さいから巨体のオークが攻撃をしづらいというのはあるかもしれないが、それでもまだ日本での中学生にも満たない子どもの動きではない。

でも、さすがに防御でいっぱいいっぱいなのか、攻撃は完全に捨てているように見える。まぁそれでも十分に凄いがな。

カーフが鎧オークの攻撃を受け持っている間に、ドラはなんとかオークを怯ませることに成功したようで、その隙を逃さないように槍の柄でオークの足を払い、首を狙って槍で突くが、それをオークが右手で払った。その勢いを利用して石突きで脇腹を打ち付け、倒れたオークの右太ももに槍を突き刺した。

うめき声をあげたオークの首を腰につけた小さめの斧で切断しようとオークが次の行動に出る前に振り下ろした。だが、力が足りなく首の半ばで止まってしまったみたいだ。でも、さすがに死んではいるだろう。

「こっち終わった。1体飛ばしてくれ。」

ドラは槍と斧はその場に放置して、新しくアイテムボックスから短剣を2本取り出してフレドに近づいて行く。

「こいつを、っ頼む!」

フレドは3体受け持っているうちの1体が剣を振り下ろしたのを盾で受け流したことにより、隙のうまれたオークを盾で力の限り押し出した。

フレドは残り2体のオークの間を抜けて反対側に距離を取るように離れた。これで押し出して倒れたオークからはそれなりの距離がうまれたな。もしかしたら俺よりフレドの方が強いんじゃねぇか?少なくともリーダーとしての格は上のような気がする。今はジョブとレベルのおかげで負ける気はしないが、気をつけないとすぐに抜かれそうだ。

「カーフ!もう一回投げれるか?それに合わせて交代したい。」

「無理だよ!余計なことしたら斬られ…危ねっ。喋んのもキツイ!」

「わかった。ドラ、早めに俺から離れてくれ。一瞬この2体を放置する。」

「了解!」

ドラは短剣を使ってヒットアンドアウェイを繰り返しつつ、オークの意識を自分に向けさせ、徐々にフレドから距離を取っていく。

しばらくしたら目に見えて距離が開いた。

「もう大丈夫だよ。フレドのタイミングでよろしく。」

「わかった。カーフ、もうすぐ代わるが油断はするなよ。」

カーフからの返事はなかったが、フレドはいった後すぐに自分を中心にしたフレアバウンドを放った。炎に包まれる瞬間に見えたが、盾を持つ左手が光り始めていた。

オークの1体は炎に怯んだが、もう1体は構わず剣を振り下ろした。だが、フレドは既に怯んだオークの側面に回り込んでいて、光っている左手に持った盾でオークを殴りつけた。

殴られたオークは吹っ飛びそうになったが、隣にいたオークにすぐにぶつかったせいでそのオークを巻き込んで倒れるだけとなった。

あの威力を見るに会心の一撃だろう。フレドも使えるんだな。

倒れた2体のオークにトドメを刺さず、すぐさま盾を捨てて、カーフのもとに走っていった。

フレドは剣を両手で持ち、その両手を光らせながら、大剣を振り下ろして背中がガラ空きになった鎧オークの背中に剣を振り下ろした。

金属同士がぶつかる鈍い音の直後、ガラスが割れる音を鈍らせたような音がなった。
どうやらフレドの剣が折れたみたいだ。

フレドの剣は折れたが、それなりのダメージを与えられたのか、オークの顔が歪んだ。鎧も若干凹んだっぽいな。

「カーフ交代だ。あの2体を頼んだ。」

「了解。ドラ、そいつを倒し次第手助け頼むよ。」

「おう!」

1体のオークを倒したことで少しの余裕が生まれたようだが、全員けっこう疲れてるな。油断をしたら簡単に死にかねない。

「サーシャ、念のため血の弾丸を用意しておいてくれ。」

「承知した。だが、大丈夫だと思うがのぅ。」

「念のためだ。悪いな。」

フレドは腰の短剣を2本抜いて、左手だけ逆手に持って鎧オークと攻防を始めていた。

「フレド、ごめん!弓兵のとこに上位個体がいた!俺らじゃこいつは無理だ。代わってくれ。」

若干フレドたちが優勢で戦闘が進んでいたところにラルムとムスカが戻ってきた。ただ、2人だけではなく、上向きの牙が突き出した顔をしているオークも一緒だった。

パッと見た感じ、最初の4体を普通のオークとした場合、遅れてきた鎧オークが少し強めで、今きた牙オークがさらに1段階強そうだ。

そんなことを考えていたら、セリナが隣に現れた。

「ラルムとムスカが弓兵に攻撃を仕掛けたら、あのオークが現れたけど、大丈夫そうだったから手は出してにゃいよ。あれは見た目的にオークリーダーだろうね。自分たち2人がかりでも勝てないようなオークリーダーがいたのにちゃんと弓兵は倒すところが凄いよね。」

「そうだな。ありがとな。」

こいつらは自分でやるべきことを理解していて、だからといって無理はしない。見てて安心できるな。

「情報より1体多かったか。わかった。すぐ交代する。こっちのオークは力があるから大剣には気をつけろ。鎧も頑丈だから顔か関節を狙ってくれ。」

フレドは自分が戦ってるオークの情報を教えながら、しゃがんで足を払って鎧オークをコケさせたが、鎧オークはすぐに立ち上がる。だが、その間にフレドはオークリーダーに向かって既に走っていた。

「こっちは動きが速いくせに力もあるから俺らじゃ近づけない。悪いけど頼む。あと、着てるコートはただのコートじゃなくてチェインメイルみたいだから刃物は効かない。」

「りょーかいっ!」

ラルムからの説明を受けて、短剣を腰にしまったフレドがアイテムボックスからハンマーを取り出してフルスイングした。だが、直前でオークリーダーに気づかれてガードされてしまった。

「これがほとんど効かないのか。とりあえずあの鎧のオークは2人に任せた。しっかり倒してから応戦してくれ。」

「「おう。」」

ラルムとムスカは返事をしてすぐに鎧のオークに向かっていった。
既に起き上がっていた鎧オークは一番近かったカーフに向かおうとしていたが、ラルムとムスカが近づいていることに気づいて応戦の体勢をとった。




フレドたち5人が揃い、それぞれフレドの指示通りの敵と戦い始めてからはわりとすぐに決着がついた。

最初に鎧オークをムスカが鎖鎌で一瞬拘束し、その僅かな隙に鎧オークの後ろに回ったラルムが短剣を鎧オークの首にぶっ刺した。
首が太いからかタフだからかはわからないが、それでは倒せなかった。でも、そのあとは鎧オークが動くたびに短剣と皮膚の隙間から血が吹き出し、何度かの攻防ののちに鎧オークが倒れて動かなくなった。

ラルムとムスカが鎧オークを片付けたときと同じくらいにドムもオークを倒し、3人はカーフの手助けに行った。

カーフ1人でも2体を抑えられていたのだから、4対2になったらすぐに決着がついた。

そして4人がフレドのもとに向かえば、負けるはずがない。ただ、決定打に欠けていたせいで時間は少しかかったが、最終的にはフレドがオークリーダーを転ばせ、ドラとラルムとカーフが倒れたオークリーダーを一瞬拘束し、ムスカが鎌をオークリーダーの喉に縦に突き刺して終わった。

これを連携っていうんだな。いい勉強になったが、真似できる気がしねぇ。まぁ人には向き不向きがあるもんな。しゃーない。

その後はフレドがオークたちの死を入念に確認し、装備を剥ぎ取り、右耳を切り取り始めた。
オークリーダーだけ突き出した牙をもぎ取っている。あれは素材にでもなるのか?

全ての作業が終わったようで、残った死体はイーラとサーシャが片付け始めた。

「あの…僕たちの戦闘はどうでしたか?」

フレドたち5人が近づいてきて、フレドが恐る恐るといった感じで質問してきた。

「どうといわれても指摘するようなとこは思い浮かばなかったな。そもそも俺が教えるようなことは何もなさそうだったぞ。5人ともよく頑張ったな。」

「「「「「!!!…ありがとうございます!」」」」」

5人ともが目を見開いたあとに泣きそうな顔となり、お礼をいってきた。
全員が同じ反応をしたことにちょっとビックリしたが、この反応は感極まったってやつか?
今のセリフのどこでそんな風になるんだよ。さすがに5人ともが同じ反応してるんだから、余計なことをいうつもりはねぇけどさ。

「さて、オークの討伐が終わったんじゃから、次は我のメタルボア退治に付き合ってもらおうぞ。」

さすがサーシャというべきか、空気を読まないな。

でも、実際早く済ませなきゃ日が暮れちまうし、空気を読んでる場合じゃねぇか。

「俺らはこれからメタルボアを探しに行くけど、フレドたちはどうする?疲れてるだろうし、先に帰るか?」

「ついて行っていいのであれば、ついて行きたいです。」

「来たいなら来ればいい。イーラは念のためフレドたちを護ってくれ。セリナはメタルボアを探せないか?あんま時間がねぇからさ。」

「「は〜い。」」

イーラとセリナが揃って気の抜けた返事をし、セリナは影に潜った。

「セリナが戻ってくるまでは休憩にするか。」

そんなことを呟いて俺が地面に腰掛けると、他のやつらも思い思いに休み始めた。

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