裏切られた俺と魔紋の奴隷の異世界冒険譚

葉月二三

9話




始まりの場所。

そういうと特別な場所に聞こえるが、ただの噴水広場だ。

俺が知ってる数少ない場所の1つだ。

今はそこの噴水の縁にアリアと並んで座っている。

汚れた体を洗いたいから宿に行くことも考えたが、着替えがないのは嫌だなと思い、店が開きそうな時間までここでステータスチェックでもしようということにした。

特に会話はしていないから、アリアは隣で足をプラプラさせて暇そうにしている。

まずは自分のからチェックする。

攻撃力とかは数値化されてても正直わからないからスルーする。

レベルは昨日だけで人族が32、冒険者が23も上がったみたいだ。
あれだけ倒せば納得っちゃ納得だな。

人族と冒険者でレベルの上がり方が違うのはジョブ1と2で経験値の入り方が違うのか?
それともジョブによって上がり方が違うのか?

とりあえずジョブを入れ替えて試してみるか。

ジョブ2の冒険者を1度外して、ジョブ1を冒険者に変更後、ジョブ2に人族を付ける。

あとは今度魔物狩りでもしてみるしかないな。


次はスキルだが…『解説』ってのはなかなか役に立ちそうなのが手に入ったな。
ものは試しにと発動してみる。

『選んだ対象の説明をするスキル』

特に対象を定めないで発動したら、このスキル自体の説明をしやがった。

これは使える!

どこまでやれるのか試してみよう。
まずはスキルを順番に見ていく。

観察眼…ものを見極めるスキル。常時発動型。

識別…2択で見極めるスキル。

解説…選んだ対象の説明をするスキル。

護る者…護る者がいればいるほどステータスが上がるスキル。常時発動型。

ジョブ設定…取得済みのジョブを設定するスキル。

成長補強…自分とその庇護下にいる者のレベルが上がる際のステータスアップを少し増やすスキル。常時発動型。

成長増々…自分とその庇護下にいる者のレベルが上がる際のステータスアップを増やすスキル。常時発動型。

PP消費軽減…PPの消費を抑えるスキル。常時発動型。

PP回復8倍速…PPの回復速度が8倍となるスキル。常時発動型。

アイテムボックス…レベルに応じた容量の物を空間に収納できる、ジョブ固有スキル。

ダズルアトラクト…敵の攻撃を自分に向けさせ、仲間から遠ざける魔法。

禁忌魔法:憤怒…はるか昔に禁じられた固有魔法。



わからなかったスキルの説明をしてくれるとかかなり使えるスキルを覚えたな。
それでも禁忌魔法の能力はわからないんだな。

レベルが上がってMPの上限も上がってるし、全部のチェックが終わったら使ってみるかな。


今度は加護だ。

愛慕…愛を持つ者より与えられた加護。

身代わり…1度だけ死を肩代わりする加護。

軽量…重さを軽減させる加護。

血避け…意図せぬ限り血が当たらない加護。

駿足…早く走ることができる加護。


1番気になっていた加護の能力が結局わからないな。
これって最初からあったから、たぶん妹からもらった指輪に付与されてる加護だよな?
愛を持つ者って妹のことなのか?
そんな慈愛に満ちたようなやつでもなかった気がするが。


ジョブとかも見れるのか?

試しに発動してみる。

人族…人間固有のジョブ。上限は50レベル。

冒険者…冒険する者に適したジョブ。上限は100レベル。



なんか楽しくなってきた。



ファーストジョブ…メインのジョブ。ステータスはファーストジョブに依存する。

セカンドジョブ…サブのジョブ。ステータスに影響はなく、ステータススキャンの際にも表示されない。固有スキルは使用可能。



ステータススキャン?


…。

解説したものの解説は出来ないわけね…



自分のステータスチェックは終わったから、今度はアリアのを確認するか。


ステアス…指定した相手のステータスを少し上昇させる魔法。

ステアミ…指定した相手のステータスを上昇させる魔法。

ステアラ…指定した相手のステータスを大きく上昇させる魔法。

アルムレンフォート…指定した相手の装備の能力を上げる魔法。

ライトヒール…指定した相手の軽傷を治癒する魔法。

ヒーリング…指定した相手の傷を程度により治癒する魔法。



支援系の魔法ばかり覚えたな。
でも自然に覚えたなら羨ましいかぎりだが。
まぁ仲間として魔物狩りするなら役には立ちそうだな。


今度は加護か。


幸運…運が強い者に与えられる加護。

護られる者…護る者に対するスキルや支援魔法の能力が上がる加護。

成長補強…レベルが上がる際のステータスアップが少し増える加護。

成長増々…レベルが上がる際のステータスアップが増える加護。

炎耐性…火に抵抗する力を得る加護。



幸運とか良さげな加護かと思ったら、やっぱり能力はわからないのね。
ってか皮肉か?生まれながらの奴隷で精神を病むようなことまでされる人生を歩んでるやつに運が強いとか…

まぁもともとはなかった加護だから、これから良いことがあるのかもな。


他にも気になるのを全部見とくか。


MP…魔法を使うために必要な力。

PP…体力。動くことにより消費し、休むことにより回復する。0になると死ぬ。

SP…スキルを得るための力。レベルが上がる毎に得る。



え?PPがなくなると死ぬの?
俺、さっき1だったんだけど…怖っ!

そういやこの世界はゲームみたいなのにHPってないんだな。
場合によっては一撃で死ぬだろうし、そんなものか。


今はSPがあと47あるみたいだから、新しいスキルでも取るとするか。

SPはセカンドジョブも含めてレベル1アップで1増えるみたいだから、ジョブを増やすのが良さそうだな。

といってもさっきジョブ設定でみたところ他のジョブは持ってないからな。

そんなことを考えてたら、良さげなスキルを見つけた。
解説を発動。


ジョブ取得…条件を満たしているジョブを得ることのできるスキル。

条件を満たしているってのが気になるが、SPはいっぱいあるからいいか。

ジョブ取得を取得して、早速使う。

取得できるジョブが一覧で出るわけね。
まぁ俺は1つしか出てないがな。
もちろん解説を発動。


調教師…使い魔などを育てるのに適したジョブ。上限は60レベル。


俺はいつ条件を満たした!?

どんな条件かわからないが、使い魔などを育てたりした記憶がないぞ?

でも取得できるならするがな。

SPは減っていないようだ。

もしかしてジョブを取得するのは条件さえ満たしてれば取り放題なのか?
それならちょいちょい確認するべきだな。

すぐにサードジョブを取得して、調教師を設定する。

スキルが増えたみたいだ。


進化補強…庇護下にいる者が進化する場合に能力を少し上昇させるスキル。常時発動型

状態維持…庇護下にいる者の状態異常を起こしにくくする。常時発動型。



2つとも庇護下にいる者限定スキルか。
これって自分には効果がないっぽいな。
ソロになったら死にスキルになりそうだ。

アリアにもジョブ取得を試そうとしたが、発動しなかった。
ジョブ取得は自分限定みたいだな。

ふと見るとSPが残り44になっている。
昨日も疑問に思ったが、たぶん後から出てくる上位スキルとかを取ると消費が1じゃないんだろう。

慎重に取らないとな。

今回の野宿で思ったのは火が使えると便利だってことだ。


初級魔法:火…火が出る魔法。




ん?それだけ?
他の初級魔法シリーズを一通り解説してみると、全てが何々が出るだった。

いや、いらないだろ。
だったらもっと違う魔法を取るべきな気がする。
それとも初級魔法を揃えることでなんかジョブが出現したりするのか?
だとしてもSPが勿体なさすぎる。


ファイアボール…火の玉を飛ばす魔法。

フレアバウンド…火を出現させる魔法。

ファイアウォール…火の壁を作る魔法。



火が出ると出現は何が違うんだ?
ちょっと気になったから取得してみた。

SPが勿体ないとかいっときながら完全になんとなくでとっちまった。

フレアバウンドを選択すると文が出てきた。

素面でこれを読むのって今さらながら恥ずかしいな。

なんか省略できるのがないか探すか。

…。

あった。

詠唱短文化…必要な詠唱が短くなる。

取得。

新しく詠唱半減が出てきた。

もちろん取得。

また新しく詠唱省略が出てきた。

これも取っとこう。
次は出てこなかった。

SPが36になってしまった。
まぁいいか。

あらためてフレアバウンドを選択すると今まで文が出ていたのが名前だけになっていた。
試しに名前をいう。


『フレアバウンド』

名前をいっている最中に何かを求められた気がしたが、何も考えずに名前をいいきってしまった。

目の前に直径25センチくらいの炎が出現した。
MPゲージがちょっとずつ減っている。

ふっと炎が消える。

なるほど、意識を切れば炎も消えるのか。
維持しようと思えばMPが消えるまで維持できるのだろう。

『フレアバウンド』

もう一度使ってみる。
今度は何かを求められたときに応えられるように意識して。
あくまで感覚だが、場所や燃やす範囲、炎の大きさなどを選べる気がする。
全部を今できるマックスにしてみた。


うん、ちょっとやり過ぎた。

早朝でたまたま人がいなかったからよかったけど、隣にいたアリアがかなりビックリしてる。

火の海というのがしっくりくる光景が目の前に広がったのだから仕方がない。

それだけの魔法だからか3秒でMPが尽きた。

アリアが不安そうにこっちを見てるのが視界の隅に映る。

気まずいな。

「…アリア。ステータス画面は開けるか?」

「…ステータス画面?」

あぁ、俺が勝手に視認できるように画面にしてるだけだから通じないか。

「間違えた。自分のステータス確認はできるか?」

「…はい。」

「SPはいくつある?」

「…!?…23です。」

自分のステータスを確認して驚いたみたいだ。

そりゃなんもしてないのにレベルとかが上がってたら驚くわな。

「次の魔物狩りからは早速戦闘に参加させるから、自分のスキルはちょくちょく確認して把握しておけ。効果が分からないものは俺に聞け。わかる範囲で教えてやる。」

「…はい。」

とりあえず今持ってるスキルの効果を教えた。

自分がそんなにスキルを持っていることに驚いているみたいだ。

「…ありがとうございます。」

「スキルの使いどころとかは経験を重ねて学べ。」

「…はい。」

「今度はSPを消費してもらう。まずは戦闘中は詠唱する余裕があるとは限らない。だから詠唱短文化を選べ。」

「…はい。」

『奴隷1が詠唱短文化を選ぼうとしています。許可しますか?』

奴隷が勝手にスキルを選べないようになっているのか。
いちいち許可するのは面倒だが、仕方がないか。

「アリアがスキルをSPで取ろうとすると奴隷紋を通して俺に許可を求めてくるみたいだから、勝手な行動はするなよ。」

「…はい。」

そのあと詠唱省略まで取らせた。

「残りのSPはいくつだ?」

「…16です。」

「そしたら今度はジョブ取得を選べ。」

「…はい。」

「取得できるジョブは何がある?」

「…冒険者と巫女です。」

「その両方を取得したあと、セカンドジョブとサードジョブを選べ。」

「…はい。」

冒険者は冒険者ギルドに登録しなくても条件を満たせるのかよ。
アリアが取得したところを見計らってジョブ設定をする。

どうやらジョブ設定は奴隷のもできるみたいだ。
解説も発動。

巫女…生娘固有のジョブ。支援、回復に適したジョブ。上限はない。


上限ねぇのか!?
でも非処女になったら今まで上げたレベルがパーになって消えるジョブなのか?
だとしたら選ぶのに勇気のいるジョブだな。

とりあえずセカンドジョブに巫女を設定し、サードジョブに冒険者を設定した。

アリアはちょうどステータスの確認をしていたのだろう、その最中に勝手にステータスをいじられたことに混乱しているようだ。

スキルが増えたしな。

清き心…精神攻撃にかかりにくくなるジョブ固有スキル。常時発動型

清き力…スキルや魔法による支援、回復の能力を上げるジョブ固有スキル。常時発動型


なかなか使えそうだが、どちらも固有か。これはもうアリアにはパーティーを抜けるまでは処女でいてもらわなきゃな。
その後はどうでもいいが。


「残りのSPは?」

「…12です。」

どうやらSPの減りは同じようだな。

「あとは観察眼はかなり使えるスキルだから、取っておいた方がいいぞ。」

「…ありません。」

観察眼はSPじゃ取れないのか?
まぁそれなら仕方がないか。

「じゃあ、あとのSPは好きに使え。良さげなのを探して、見つけたときにでも取ればいい。」

「…はい。」

俺は残りはどうするかな。

とりあえず前に気になってたMP増強は取っておくか。

MP増強…MPの上限が上がる。常時発動型


あと気になったのは…

MP解放…MPが0になる。

必要性がわからないな。
これはいらない。

自分の取得するスキルを選んでいると、奴隷紋から許可申請がくる。


MP増強…MPの上限が上がる。常時発動型

マジックドレイン…物理攻撃にMP吸収効果を付与する魔法。

マジックシェア…指定したメンバーのMPを共同使用にする魔法。

パワーリカバリー…指定した相手のPPを回復させる魔法。


自分の方向性を早くも決めたみたいだな。

全部に許可を出す。

アリアは残りのSPは取っとくようだ。



俺はまだ方向性を決めてないからな。

しばらくはこのガントレットで戦うから、それに適したスキルが何かないか…


拳術…拳での戦闘時にステータスが上がる。常時発動型


ちょうどいいのがあるじゃねぇか。


自然治癒…時間とともにわずかに傷を癒す。常時発動型


とりあえずこれまでにしとこう。


残りの33はとりあえず取っておこう。
他に何を取ればいいのか正直わからないしな。


「アリア。さっきのマジックシェアを使ってみてくれ。」

「…はい。」

『マジックシェア』

MPが俺とアリアの合計値になった。
こっから使えるのか?

これだけあればきっと禁忌魔法も使えるだろう。

スキルから選ぼうとすると選べなかった。

ん?

何度試そうとしても選べない。

前はMPが足りなくて使えなくはあったが、選ぶことはできたのに、今は選ぶことすら出来ない…

これを使うには何か条件があるのか?

名前からすると怒りがキーになるのかな?

確かに今は特にイラついてないしな。
まぁ使えないならしょうがない。

「もう解除していいぞ。」

「…はい。」

MPゲージが元に戻る。
残りのMPは半分ずつに分けられるようだ。



いろいろとしてたらもう8時を過ぎている。
この世界は店が開くのが早いし、そろそろ市場に行ってみるか。

「アリア。そろそろ行くぞ。」

「…はい。」

とりあえずは薬屋の女に火の玉で死にかけたことに文句をいいに行かなきゃな。


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