ワールド・ワード・デスティネーション

抜井

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目を開けると、シミのついたコンクリートの天井が見えた。

「雨は止んだわよ。眠っている間にね。」夕張が言った。顔を向けると窓際に彼女が座っているのが見えた。僕は体を起こそうとしたが、手足に力が入らなかった。
「無理よ。2日も眠ったままだったのよ?」
「二日…」
「とても魘されてたわ。いったいどんな悪い夢を見たの?」
「あまり良く覚えてないんだ。つながりのない断片的なイメージだけが…」
「きっとあかりのことで責任を感じているのよ。人は自分を責めるものだから。」
「あかりがいなくなってしまったのは、僕のせいなんだろうか。」

 夕張は僕の顔をそっと覗き込んだ。女の子の甘い香りと汗のこもった匂いがした。

「きっと大切なことが欠けてるのよ。眠りなさい。そして、思い出すのよ。」

それが僕がつかんだ最後のイメージだった。




次に目が覚めた時、体は前よりもかなり軽くなっていて体を起こすことが出来た。
横で夕張が眠っているのが見えたが、高橋さんの姿は見えない。


ベッドの上に起き上がり周りを見回すと、少しだけ開かれた窓から涼しい風が入ってきて顔に当たった。
窓の外は暗かったので、夜なのだろう。そうすると一体何時なのか。

「起きてたの?」と目をつむったまま夕張が言った。
「さっき。少し楽になった気がする。」
「そう。よかったわ。」
「今は何時だい?」
「夜遅いわ。朝まで寝ましょう。」
僕は頷いてもう少しだけ眠ることにした。





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