ケーキなボクの冒険

丸めがね

その95

その日の夜。リーフとクルト、ロックは馬小屋の二階のリーフの部屋にいた。
「へーっ!馬小屋の二階ってこうなってるんだぁ!」物珍しいらしく、ロックははしゃいでいる。「あっ、ロック、気を付けて!」ロックはすでに馬小屋の二階に上がる階段で一回こけていて、今は手に持ったコップをズボンに落とす寸前だった。「ロックはホント・・・ドジだなぁ。ボクも結構ドジな方だけど、ロックよりはましだよ。」リーフはあきれながら、ロックの階段からこけてできた切り傷の手当てをしている。
でも、ロックの明るさが、暗くなっていた心を救ってくれた。
「ねえリーフ」「うん?」「ブルー王に、されちゃったの?」「はいっ?!」率直すぎる質問に固まるリーフ。横に座っているクルトの顔が見られない。
「されたっていうか、されてないっていうか、え~と、う~んと、入ってないっていうか・・・って何言ってんのボク・・・・!」顔が火のように真っ赤になる。ロックはケラケラ笑った。「はは・・・。リーフは馬鹿正直だねぇ。うん、でもそういうとこ好きだよ!」素直過ぎて怒る気にもならない。
「えっ、まって、ロック。もしかして、あの時・・・見てたの?」「ん?見てないよ。でも、落ちてた王のマントを見た!ということは・・・そして君は裸、クルトもマントを付けてない・・・・などなどからチーン!この世は推測と仮説と計算で出来ているんだよ、リーフ!」
よく分からないことを言い始めるロック・・・。「そういえば、もう一つ推測があるよ!クロちゃん、きっと何か毒物を食べたよ!ボクが森で見つけた時、何かを吐いてたもん。体がダメなものを追い出すような吐き方だった!」「毒?そんな、クロちゃんにはいつものご飯をあげてるし、外に出た時も変なもの食べないかすごく注意して見てるし・・・」ハッと気づいた。クロちゃんはエリー姫の食事を食べたから叱られて逃げたのだ。もしかして・・・
「まさか、エリー姫の食事に毒が?」「そんなバカな。姫様のお食事は、ツバサの国の母女王がご用意された特別な物だけなんだよ。」クルトは否定したが、「でも・・・、たしかにエリー姫が彼女だけの特別なお茶を飲むとき、すごくつらそうな顔をしていたのが気になってたんだ。う~ん、調べたいなぁ・・・。どうにか、姫様の食事かお茶か、手に入らないかなぁ・・・」
「ボクの計算では、ボクなら手に入れることができるよ!」ロックが二人の間に入ってきた。「ほんと?!」「実は明日、エリー姫にお食事を誘われたのです。リーフが欲しいっていうなら、そこでちょいともらってくるよ!」「やった!ありがとうロック!」「ボクの計算では、リーフがキスしてくれたら成功率が上がるんだけどな~」リーフが困っていると、ロックはまたしてもケラケラ笑った。「ボクの計算では、リーフが困ってキスできない確率100パーセント!当たりだね!」
そういうと、パッとリーフの前に立って自分からキスをした。変な話だけど・・・ものすごく上手なキスだとリーフは思った。思わず拒むのを忘れてしまった。「ボクからキスしたら成功率100パーセントだよね!・・・上手でしょ?」どこかで見たような笑い方でニヤッとする。「ううう・・・うそでしょう、もう・・・!ロック、きみいくつなの・・・?!」「12歳!!」
紅い髪の少年はリーフより3つも年下なのだった。



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