ケーキなボクの冒険
その17
口も塞がれてしまったので声が出ない。
ジタバタしつつ、相手の顔を見る。
黒ずくめの怪しい男・・・かと思ったら、それは、
金髪の超絶美女だった。騎士の格好をしている。
しかも素敵な香りがする。
羽交い絞めにされているので体が密着して 、リーフはちょっと嬉しくなった。
「お前は、きのう酒場で酔っ払っていた女だな。なぜアレのことを知っていたのか聞かせてもらおう」
「アレ?」アレって何だろう。本気でわからないリーフ。
「とぼけるな!氷ネズミの心臓のことだ」声もセクシーな女騎士。
氷ネズミの心臓・・・例のゲームの中にあるので確かに知っている。
ボスキャラを倒すためのアイテムの一つで、激レアのモンスター「氷ネズミ」が激レアの確率でしか落とさない。
リーフも「ファイナルドラゴンファンタジア」を始めて半年、やっとつい先日一つだけゲットできたのだ。生まれてから一番うれしかった出来事かもしれない・・・。
「昨日お前は、変な歌を歌った後、”氷ネズミの心臓 見つけた~”と言っていただろう!」
「ええっ~・・」リーフはホントに覚えていない。覚えていないが、夕べの酔っ払い具合だったら、調子に乗ってしゃべったかもしれない。だって歌まで歌っていたのだから・・・。
「うまく説明できないんだけど・・・、夢の出来事を言っちゃったみたいっていうかぁ・・・」
「夢だと?氷ネズミの存在を知っているだけでも怪しいんだよ!」
美人女騎士は超怒っていた。路地の壁に逆壁ドンされる。
こんな状況ですが、リーフは「悪くないな~」とか思っていた。
紅い唇、漆黒の瞳、重厚な金髪の女騎士の顔が、すぐ近くにある・・・怒った顔も超綺麗。
ちなみに身長差は20センチはあるだろうか。もちろん女騎士のほうがデカい。
(逆だったらなぁ、ボクがアーサーかジャックになったんだったらなぁ・・・)
妄想を膨らますリーフ。見下ろせる身長で、気の強そうな女騎士を壁ドン・・・素敵だ、素敵すぎる。
リーフの妄想タイムにしびれを切らした女騎士は、ナイフを抜き、
「言え、どこで氷ネズミのことを聞いたんだ。言わなければ・・・言いたくなるまで痛い目に合わせてやる」
と脅してきた。
はっと我に返るリーフ。ごっついナイフの刃先は鈍く光り、刺さると痛そうだ。
「小さい子相手に、手荒ですよ、スカーレツト。」
路地の入口に男が立っていた。
男は、なんとリーフのメガネをかけている。
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