ケーキなボクの冒険

丸めがね

その16

 
ついに耐え切れず、アーサーが爆笑し始めた。
「あーはっはっ!そりゃいいや、ヒヨコか!たしかにリーフ、黒ヒヨコみたいだもんなぁ」
そんなに笑っちゃ可愛そうだよ、と言いつつ、つられてハルさんも大笑いする。

似てる似てるの大合唱だ。

「~~~~~~!!」
外見は黒ヒヨコでも中身はセンシティブな15歳の男の子、リーフはひどく傷ついた。

「ボクはヒヨコじゃありません!それにご心配なく!ボクは誰にも守っていただかなくて結構です!!」

そのまま宿屋を飛び出すリーフ。
後ろから3人が何か言っていたが無視!
怒りに任せてとにかくズンズン街中を歩いて行った。





街中はおなじみのゲーム画面に似て、屋台が並んでいたり民家があったりする。
カッカッした頭がちょっとだけ冷めてきたころ、リーフは町の風景を見渡してみた。

ここはきっとゲームの世界に違いないのに、人々はちゃんと生活している。
野菜を買う母親、その横で友達と遊ぶ子ども、木材をを運んでいるお父さん。
若い女の子はおしゃべりに花を咲かせていて、それをちらちら見ている男の子たち。

そんな光景を見ていると、リーフは急に不安になってきた。
ボクは元の世界に帰れるのだろうか。帰れないとしたら、ここで、一人で生きていけるのだろうか。お金どころか、服だってブカブカのTシャツしかなく(パンツもはいてない)、今晩の宿だってない。
こんな自分がお金を稼げるとも思えない・・・。

「あ・・・あのおっさんおせいだ・・・・」
自分を女の子にして、こんな世界に放り込んだあの小さいおじさん神様のことを思い出して腹が立ってきた。
クッキーをあげた親切をあだで返されるとはこのことか。
こんど会ったらとっちめてやる!!!!!試しに辺りを探してみたが、当然どこにもいなかった。
「どうやったらおじさんに会えるんだよ!だいたい突然現れてさ・・・!」

「ん・・・?」そうだ。神様は突然現れた。クッキーを焼いているところに。
「もしかして!」
ピコーンとひらめいたとき、突然、後ろから羽交い絞めにされて、リーフは暗い路地に引きずり込まれた・・・!

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