ケーキなボクの冒険

丸めがね

その14



「そろそろ おりてらっしゃい」
というハルさんの声に促されて3人は一階の酒場へ。昼間の酒場は、夜の賑やかさが嘘のように静かで落ち着いている。
テーブルにはすでにパンと飲み物が用意されていた。
落ち着かない気持ちのまま、アーサーとジャックに挟まれてイスに座る大ちゃん。
(や、やってないってホントだろうか・・・)

「昨夜のこと、ほんとに覚えてないのか?」
大ちゃんの不安を見透かしたかのようにアーサーが聞いてきた。
「おおおおお覚えてないですっっ!!」

あーはっはっはっはっ!!と背後でハルさんの笑い声。

「ほんと?!ほんとにあんた昨夜のこと覚えてないの?!」
ハルさんは大ちゃんの横に腰かけた。
「いや~夕べのあんた、ほんとにおもしろかったよ!
最初はジャックのお酒を飲んでぶった倒れかけたんだけどさぁ・・・・・・」



あの後、である。
大ちゃんが詰まった喉をうるおそうと、間違えてジャックのお酒を一気飲みしてしまい、
体中が熱くなり、視界がゆがみ、倒れそうになってジャックに抱き留められた後・・・・


むくっ


と大ちゃんは起き上がった(ここから本人の記憶がない)。
「目が完全に座っていた」とハルさんの証言。
大ちゃんはいきなり、アーサーの胸ぐらをつかみ、
「気安く乳揉んでんじゃねーぞ!このエロゲやろう!」といちゃもんを付け始めたという。

ジャックには「ハゲワシのくせにはげてねーじゃねーか!」などと暴言の数々。
「だいたいイケメンなんてあったまくるんだよ!あ~ハイハイ、モテていいですね自信があるんですよね!通りすがりのか弱い女の子にエッチなことしても許されるんでしょうねぇぇ~~~!!」
そして、なだめようとしたハルさんに追加の酒を持ってこさせ、ジョッキをあおるたびに文句を言いまくったという。
「イケメンにはボクが説教してやる~~~!」
と、自分はテーブルの上に正座して、前のイスに二人を座らせて何やらくどくど話し、


話したら満足そうな顔をして、「よし、では歌いま~~~~すっ」
よろけながらもテーブルの上に立ち、おかしな歌(たぶんAKB)を熱唱したらしい・・・・・
とどめは、歌の最後に急にうずくまったかと思うと、ゲロゲロゲーとアーサーとジャックに吐いてしまった・・・。
で、沈没・・・・。



「もっもういいですっ!聞きたくないですっ!!」
大ちゃんはあまりのことに耳をふさいだ。恥ずかしいを通り過ぎている。
「あんた酒癖悪いんだね!でもすっごくおもしろかったよ!歌もだけど、この二人にあれだけ説教できる女の子がいるだなんてね!」ハルさんは「気に入ったよ!」といいながら大ちゃんの肩を抱いてガハハと笑った。

おそるおそるアーサーとジャックを見る。気のせいか怒ってるように見えますが・・・。
二人が裸で寝ていたのは、大ちゃんがゲロをひっかけたので脱ぐしかなかったのだ。

でも大ちゃんはちょっと安心した。そんなことした女の子に手を出す気にはなれないだろう。
安心するとおなかが減って、もぐもぐとパンを噛みしめるのだった。
「よく食えるな・・・うまいか?」とアーサー。
「うんっ」大ちゃんはニコニコして答える。その笑顔にアーサーとジャックはドキッとした。

「・・・ところで、おまえ、名前はなんていうんだ?」
そういえば名のってなかった。大ちゃんとは言えない。
「・・・リーフです・・・」自分に違う名前が付くというのは不思議な感じだった。

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