皇太子妃奮闘記~離縁計画発動中!~
46話 ネネのお守り ※ネネ視点②
「うぇーん!ネネお姉さまごめんなさーい!許してー!」
パンッ!パンッ!パンッ!
「いいえ!許しませんよ!侍女として恥をしりなさい!尻叩き100回まであと70回あります!」
「うぇーん!痛いよー!」
全くレイナときたら!
私がネネ様の御披露目旅行にいけない代わりに、レイナを行かせたのがいけなかったわ!
一緒に同行してしていたプリンの報告を聞いて驚いた!
「プリン、旅の同行お疲れ様でした。レイナはどうだったかしら?侍女として上手くやってたかしら?」
「レイナは頑張ってましたよ!」
プリンは少し顔をひきつらせながら言う。
·····怪しい。
「正直に言って!」
プリンはちょっと身体をビクッとさせて恐る恐る言ってきた。
「ちゃんと頑張ってましたよ!ただ····」
私はプリンの報告に驚いた。
まずは最初の途中休憩でつまづいて、紅茶をアリア様にぶっかけたこと。
よいしょよいしょで騎士の鍛練に見入り、食事の用意などの時間に遅れてくるともしばしばあり、お茶の時間ではアリア様が「一緒におやつを食べましょう!」の言葉を真に受け、ボリボリとアリア様よりもおやつを毎回食べていたことなど。
おやつに関しては、確かに毎回アリア様は誘ってくださる。断るのは失礼に当たるので、一つは頂いて後は辞退するのが普通だ。
それをアリア様よりも食べていたという····。
そこの時点で私のこめかみはピクピクしている。
そして極めつけは·····ママイヤ王国で、アリア様が一人でトイレに行かれたという時のことだ。ランディ殿が付いて行ったらしいけれど、本来ならアリア様付きの侍女であるレイナが付いて行かなければならない。
アリア様がトイレに行くと言った時に、プリンはレイナがいないことに気づいた。どうしようかと悩んだが、プリンはルイス殿下付きの侍女だったので、やはりレイナに行って貰おうと探そうしたが、さっさとアリア様がトイレに行ってしまった。
プリンはそれはダメだと思いレイナを探しに行って、見つけた場所は·····騎士達の訓練している場所だった。
「凄くうっとりした目で騎士達を見てました。」
·····レイナも何故か私と一緒で筋肉大好きなのよね。気持ちは分かるけれど、仕事中に筋肉に見惚れるのはダメ!
だがレイナの行動はそれだけではなかった。
「レイナさんはいきなり騎士の方に「筋肉触らして下さい」と言って困らせました。」
プリンはこれは不味いと思い、「嫌だ!筋肉さわるぅ~」と喚わめいているレイナを引きずるようにしてピューマがいるところまで連れて帰った。
さすがに私の血管がプチッと切れた音がして冒頭に戻る。
お仕置きの真っ最中である。
それを見かねたアリア様が口を出してきた。
「ネネ、もうそれくらいでいいんじゃない?」
私はキッとアリア様を睨んだ。
「アリア様、これは職務放棄をしていたことになります!アリア様はおとがめなしと言われましたが、本来なら罰を与えないといけません!お尻叩き100回の刑では軽すぎると思いますが、この子にはこれが効きますのでこれにしたまでです!後!アリア様も、黙って危険な場所に行かれたので、アリア様はお尻叩き20回の刑ですよ!覚悟しておいてください!」
「ヒィッ!」
アリア様はそのことを想像したのか青い顔をして震えだした。私はアリア様が悪いことしたときや、お勉強をサボったときなどに躾の一環でお尻叩きしてきたのだ。お尻叩きはアリア様にとっても恐怖の対象となっていた。
そして私に懇願をしてきた。
「ネネ!せめて10回にして!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ふう。」
二人のお仕置きが終わり、少し疲れたので休憩中。妊婦は疲れ易いのだ。
レイナは泣きじゃくって「ネネお姉さまの鬼!」
とかほざいたので追加で10回お尻叩きをプレゼントしたわ。
「ネネは少し手加減をしてよ!」
アリア様は涙目でお尻をさすさすしながら言ってきた。
「あら?アリア様が10回にして欲しいと言われましたので今回は特別に20回から10回に減らしましたのに不服ですか?それなら·····」
「悪かったわ!ネネ!」
後に続く言葉を恐れ私の言葉を遮るアリア様。
しばらくはソファーの上でうつ伏せになり動けないことでしょう。
さすがに身重の身体には計120回のお尻たたきは堪えたわ。
そう思いお腹をなでなでしていると、バサバサと鳥の羽ばたく音が聞こえた。
その音は私のすぐそばで消えた。振り向くとそこには、ピンク色をした珍しい鳥。いや、この世界には存在しない鳥。異国の友達と唯一連絡が取れるハヤバトという魔力で作られた鳥だった。
『ネネさんにお願いされている避妊薬を届けにきたわ。』
鳥がしゃべり、パカッと嘴を開けてペッと避妊薬が入った瓶を吐き出した。
『もうアリア様のご一行は帰ってきたかしら?そちらはお変わりはないかしら?こちらは二人目が無事に産まれました!男の子でした。旦那に似てイケメンだから将来が心配です』
フレアちゃん!無事に出産したんだ!何かお祝いをあげないと!
いつも私が頼ってばかりで何もできていない。いつもお礼にシャルの糸で作った布を贈っている。とても喜んでくれてお礼はこれ以上要らないと言われてるけと····アリア様に相談してプレゼントを贈ろう!
ハヤバトは魔力で作られているし、異国····と、言うよりは魔法があるので異世界に近いはね。異世界の物なのでこちらにいれる期間は三日間。
それまでに用意をしないといけなかった。
アリア様にすぐに相談したら即答で決まった。
「それなら私が次の舞踏会で着る予定だったドレスを贈りましょう!」
「ですが、アリア様、そのドレスを贈ってしまいますと次の舞踏会までにドレスの仕立てが間に合わないかもしれません。」
「別にいいわ。今あるドレスでいいわ。ネネが少しアレンジしてくれれば!それにいつもお世話になっているんだもの。これくらいのことはしないとね!」
アリア様はあっけらかんと言い、ウィンクをしてきた。
次に着るドレスはシャムシャムの繭をふんだんに使った豪華なドレスだった。
サマヌーン国出身だから作れるドレス。
普通ならシャムシャムの繭をふんだんに使ったドレスはなかなか手に入らない。貴婦人にとっては高額を出しても喉から手が出るほど欲しがる品物だ。
それをさらりを差し上げると言うアリア様は凄いと思う。さすがは我が主!
ドレスはフレアちゃんとアリア様の身長はそんなに変わらないので大丈夫だと思う。
「アリア様、ありがとうございます!」
私は感謝の気持ちを込めて笑顔でアリア様にお礼を言った。
早速箱にドレスと赤ちゃん用にシャムシャムの繭で作ったおくるみを包んだ。大きい包みになってしまったのでハヤバトの嘴に入るかしらと思っていると、嘴がその大きさになり軽々と箱を飲み込んでいった。
ハヤバトの身体の二倍はあった箱を飲み込んだのに、ハヤバトが太った様子はない。
·····不思議。
そしてこちらからの伝言を録音した。
「フレアちゃん!出産おめでとう!出産のお祝いはアリア様と相談して決めました。気に入ってくれたら嬉しいです!」
そして私はアリア様がママイヤ国から帰って来られて、その時あった出来事を聞いた時から考えてたことを言った。
「フレアちゃん、いつもありがとう。また避妊薬をお願いします。あと一つお願いしたいことがあります。実は私の主であるアリア様が皇太子妃になったことにより、各国から命を狙われたり、危険にさらされています。だから····最初にフレアちゃんから貰った友好の証としてくれたペンダントをアリア様に渡したいと思うの。このペンダントは身の危機から守ってくれると言ってよね?だから····友好の証だから一応フレアちゃんには言っておかなくちゃって思ったの。ごめんね····。また赤ちゃんのこと教えてね!私の方もお腹の赤ちゃんは順調に育ってるよ!またフレアちゃんと話せることを願ってネネより!」
録音が終わり、窓を開けてハヤバトを飛ばした。
私はその後すぐにペンダントを渡した。
「ネネ!ダメよ!これは貴女が貰った大切なペンダントでしょう!私にはランディとかキースとか強い味方がいるから大丈夫!」
と言い張りアリア様はなかなか受け取ってくれない。このやり取りをしばらくしている。これでは拉致があがらないので、これはアリア様の服にでもこっそり忍ばせておくか····と思ってた矢先にハヤバトがやってきたのだ。
「あら?今回は早いわね。」
まだ半月くらいしか経ってないのに。
私はハヤバトを迎え入れて頭を撫でた。ハヤバトは気持ちよさそうな顔をして、プルプルと身体を揺らして例の如くパカッと嘴を開けてペッと避妊薬の入った瓶を吐き出した。
そしてまたプルプルと震えてペッと吐き出した。もう一つは····
「ペンダント····」
そうペンダントだった。形は私と一緒で中の宝石の色の部分は私とは違い真っ赤だった。
『ネネさん、ドレスありがとう!アリア様にも凄く嬉しいです!ありがとうございましたと伝えてくださいね!一番上の姉が欲しいと言って宥めるのに大変でした(笑)あと、ペンダントのことですが、かなり危険な状態みたいですね。アリア様用を急遽シャベールお兄様にお願いして作って貰いました。アリア様に渡して下さい。だからネネさんは自分で持っておいて下さいね。ネネさんもアリア様のそばにいるのだから、万が一何かあった時に使って下さい。アリア様のペンダントにはとんだ仕掛けをしてます!代償は結構なモノでしたが(ボソッ)そして何かあったら必ずペンダントで私を呼んでね!私自身は行けないと思うけれど、何らかの手助けはできると思うのから!あと産まれた赤ちゃんはローラントと名付けました。あまりに旦那に似てるから(笑)おっぱいを離さないから困ってます。でもすくすく元気に育ってます!ネネさんの赤ちゃんも無事に産まれることを願って····フレアより』
フレアちゃん·····ありがとう。
私はフレアちゃんの優しさに涙が出てきた。
早速アリア様に事情を話、ペンダントと渡した。
「こんな物まで申し訳ないわ····」
かなりアリア様は恐縮されていたけれど、嬉しそうにペンダントを受け取ってくれた。
でも·····。
私はこのペンダントが役に立つ出来事が起こらなけばと願った。
たが、それから数年後に恐れていた出来事が起こる。
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